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2022年3月のバイオ医薬品市場
2022/04/27

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概要


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バイオ医薬品関連企業の株価動向

3月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。

2022年3月のバイオ医薬品市場は、株式市場が全般的に上昇する中、上昇しました。地上侵攻を進めるロシア軍がウクライナ軍の激しい抵抗に遭って後退する動きも見られ、1ヵ月程前には不可能だと思われていた停戦合意の可能性が浮上したことなどが株式市場の上昇要因となりました。とはいえ、地政学リスクやインフレ高進を巡る懸念が投資家心理を左右する重要な要因であり続ける状況は変わりません。

株価が大きく上昇した銘柄としては、アルジェニクス(オランダ)、ホライゾン・セラピューティクス(米国)、ジェンマブ(デンマーク)などが挙げられます。アルジェニクスは、2022年に承認された重症筋無力症治療薬ビブガルトの皮下注射剤のフェーズ3治験で良好な結果が得られたことが好感され、株価が大きく上昇しました。

株価が大きく下落した銘柄としては、ナテラ(米国)などが挙げられます。ナテラは収益認識の基準への疑いから空売りの標的となり、株価が大きく下落しました。しかし同社の収益認識の基準は業界の慣行に沿ったものであるように思われます。

今後のバイオ医薬品市場見通し

バイオ医薬品セクターについては、2022年には米食品医薬品局(FDA)への信頼が高まり、状況が好転するものと考えます。また大手医薬品企業や大手バイオ医薬品企業は多額の現金を有しており、魅力的な技術や治療薬候補などを持つバイオ医薬品企業とのM&Aや業務提携などの動きが注目されます。他方、バイオ医薬品株式市場は、このところ米国株式市場を下回るパフォーマンスとなっていますが、バリュエーション(投資価値評価)が再び魅力的な水準となり、センチメント(市場心理)も弱気であることから、長期的な価値を見出す機会となっている可能性があると考えます。また米食品医薬品局(FDA)の新長官就任により、FDAに対する信頼度の向上も期待されます。ただし現在、ウクライナ情勢の動向や米国などの金融引き締めの動きなどはバイオ医薬品株式も影響を受ける可能性がある点には注意が必要です。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。

バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる


バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)

バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、今後3年間の売上高の伸び率は年率で+4.6%と、先進国企業よりも高い伸びが見込まれています。(図表7参照)

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)

バリュエーション

新薬の開発動向が順調に推移していることやバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています。(図表9参照)

個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。


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