【Prix Pictet 作品解説シリーズ】 シャヒダル・アラム 「Still She Smiles(それでも彼女は笑っている)」 | ピクテ投信投資顧問株式会社

【Prix Pictet 作品解説シリーズ】 シャヒダル・アラム 「Still She Smiles(それでも彼女は笑っている)」

Shahidul Alam

2014年、多忙なHajeraが子供のシラミを取りながら児童養護施設の物資調達のための電話をする。

シリーズ:Still She Smiles (それでも彼女は笑っている)、2014年

© Shahidul Alam/Drik/Majority World


シャヒダル・アラム:1955年、バングラデシュ生まれ

Prix Pictet 第8回目テーマ「Hope/希望」 受賞候補


本シリーズの被写体であるハジェラ・ベグムは、幼少期には暴力や性暴力を耐え忍び、その後万引きや売春を強制させられました。彼女の人生には、笑顔になれることが殆どありません。それでも彼女は笑っています。


自分や他の人たちの生き方を変えるために、ハジェラはセックス・ワーカーを支援するグループを立ち上げました。そして依存症や貧困が原因で子どもを育てる事ができない親のもとにいる子たちのために孤児院を設立。現在、ハジェラと30人の子どもたちは、バングラデシュ、ダーカの片隅にある5つの小さな部屋で暮らしています。


意外なことに、ハジェラは怒りを抱えてはいません。悪夢のような過去については事細かに覚えていますが、孤児院を設立するのを助けてくれた友人たちの話をするのです。自分では子どもを産むことができないハジェラは、今では自分のことをお母さんと呼ぶ子どもたちのぬくもりを感じています。子どもたちにどうなって欲しいと思うかと尋ねられると、「愛される世界のなかで、威厳を持って育って欲しい」と答えました。


本シリーズの作品はこちらでご覧いただけます:Prix Pictet 英語ウェブサイト

https://www.prixpictet.com/portfolios/hope-shortlist/shahidul-alam/


 写真家、作家、キュレーター、人権擁護活動家として活躍するシャヒダル・アラムは、本格的に写真に取り組む前に、ロンドン大学で博士号(化学)を取得。1984年に故郷ダーカに戻り、エルシャド将軍を解任させようとする大衆闘争を記録した。バングラデシュ写真協会の会長を3期務めた後、受賞歴のあるDrik agency、 Bangladesh Photographic Institute、Chobi Mela festival、 Majority World agency and Pathshala、the South Asian Media Instituteを立ち上げた。新しいメディアの先駆者でもあるアラムは、1990年代初めにバングラデシュにEメールを導入した。彼の作品は、ニューヨークのMOMA、パリのポンピドゥー・センター、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールやテート・モダン、テヘランの現代美術館で展示された。また、ロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーや、スイスのヴィンタートゥール・ギャラリー、マレーシアの国立美術館、パリのケ・ブランリ美術館、ブリュッセル・ビエンナーレ、オークランド写真フェスティバルでゲスト・キュレーターとして従事した。バングラデシュのアーティストに送られる最高峰の文化賞であるシルパカラ賞や、ルーシー賞、ICP賞などを受賞。2018年度ルーシー賞、2019年度ICP賞を受賞。2018年には「タイム」誌のパーソン・オブ・ザ・イヤーの一人に選出された。これまで『My Journey as a Witness(証人としての旅)』(2011年)など何冊もの書籍を執筆・編集。個展「Kalpana’s Warriors(カルパナの戦士たち)」は、2015年にマルタ島で開催されたイギリス連邦首脳会議(CHOGM)で展示され、「Best Years of my Life(私の人生で最高だった時)」は2017年にベルリンで開かれた移住と開発に関するグローバル・フォーラム(GFMD)で展示された。ハーバード大学、スタンフォード大学、UCLA、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学で講演を行い、Prix Pictetと世界報道写真展では陪審員を務め、後者では議長を務めた。スタンフォード大学の客員教授で、英国王立写真協会の名誉会員でもある。



【Prix Pictet 作品解説シリーズ】

「Prix Pictet(プリピクテ)」は、地球の抱えるサステナビリティの問題の喚起を目的としてピクテが設立した権威ある国際写真賞です。毎回異なるテーマのもと選ばれた受賞候補作品は、日本を含む世界主要都市で展示されます。その作品の解説をシリーズで掲載して参ります。


<Prix Pictet 日本語ウェブサイト>

https://www.pictet.co.jp/company/prixpictet

<Prix Pictet Japan Award インスタグラム(Instagram)>

Prix Pictet Japan Award


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