グローバリゼーション
終焉の先

米中貿易戦争やコロナショックが私たちに気づかせた
「効率性を追求したグローバル生産体制」の危うさ。
脱グローバル化に備え、私たちが意識すべきものとは?

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グローバリゼーションを巡る近代史


「米中新冷戦」とも呼ばれる米中貿易戦争が、世界に張り巡らされたサプライチェーンを大きく揺さぶっています。
当初この話は、一部の中国製品に対する関税引き上げに留まっていましたが、その後は報復合戦が次第にエスカレートし、トランプ政権が中国企業ファーウェイの締め付けを強化するという、ハイテク分野での覇権争いにまで発展しました。

こうした自国の利益を優先する姿勢は、「ナショナリズム」と言われます。ナショナリズムが加速すると世界全体の利益ではなく、一国の利益を優先する傾向が強まります。その結果として起こるのが「脱グローバル化(脱グローバリゼーション)」の流れです。グローバル化が数十年にわたり進んできたため想像しづらいかもしれませんが、世界は以前にも脱グローバル化を経験していました。

18世紀後半から19世紀にかけて自由貿易主義を掲げるイギリスから始まった産業革命は、世界にグローバル化をもたらしました。しかし、2度の世界大戦を経験する中で、各国は自国経済圏外に対して高い関税を課す「ブロック経済」とも呼ばれる保護主義的な動きを見せ、脱グローバル化が進んでいくことになりました。その後、1945年のIMF(国際通貨基金)設立や後のWTO(世界貿易機関)協定へと受け継がれる1948年のGATT(関税及び貿易に関する一般協定)を経て自由主義の基礎が形成されると、冷戦終結とともにグローバル化は再び加速していきました。

しかし、現代社会で起こっていることは、米中貿易戦争やブレグジットといったグローバル化に距離を置く動きです。グローバル化を推し進めることによって発展してきた世界経済が、再び脱グローバル化へと舵を切ろうとしています。

グローバリゼーションを巡る近代史
グローバル化
産業革命
蒸気力と機械制工場の登場による技術革新と関税引き下げにより自由貿易主義が台頭
脱グローバル化
世界大戦
帝国主義を背景としたブロック経済化(保護主義)が拡大
グローバル化
戦後
大戦の反省から多国間の貿易自由化を促す動きが高まる
脱グローバル化?
2020年代
自国(民)の利益を優先するナショナリズムの台頭
  • 写真はイメージです。

脱グローバル化の背景にあるもの


脱グローバル化の流れが強くなった背景には何があるのでしょうか?その一つが「二極化」です。

グローバル化時代においては、生産性を追求したグローバル・サプライチェーンが構築されるため、先進国企業は高い利益を追求することができます。しかし、それは同時に賃金の高い先進国における雇用喪失を意味します。結果として、先進国における中間所得層が締め出され、高所得層と低所得層という「二極化」の構図が形成されます。

米中貿易戦争を例にとると、安い中国製品の輸入が減るということは、相対的に賃金が高い米国内で生産された製品に切り替えることを意味するため、モノやサービスの値上げにつながる可能性があります。それでも、多くの米国国民がトランプ政権の対中政策を支持した理由には、グローバル化の弊害として進んだ二極化に対する不満があったと考えることもできます。

グローバル化と二極化のイメージ

脱グローバル化で起こること


脱グローバル化が進んだ場合、世界経済には何がもたらされるのでしょうか?その一つの可能性として考えられるのが「インフレ」の到来です。

49ヵ国1142のサプライヤー。これは、2019年の米国アップルのサプライチェーンの規模を表しています。
グローバル化が進んだことで、アップルのような企業は様々な国や地域に生産拠点を設けて部品などを調達しています。その根底にあるのが、
「各国・企業は得意領域に特化・集中することで生産性を高め、高い利益を追求できる」という比較優位の考え方です。

グローバル化時代を生き抜いた企業は、原材料や輸送コスト、人件費、技術力などの様々な要因を考慮したうえで、現在のような研ぎ澄まされたグローバルなサプライチェーンを構築してきました。この結果、私たちは良質なモノやサービスを安価に享受することができています。しかし、生産性を犠牲にしてでも脱グローバル化を進めると単純にコストが上がってしまうため、製品やサービス価格の値上げにつながる(インフレ要因になる)と考えられます。

グローバル化と比較優位のイメージ

比較優位の概念

他国と同様のモノやサービスを生産している場合、生産の相対的な効率性が他国よりも高ければ比較優位を持つといいます。自由貿易の下では、比較優位を持つモノやサービスに集中することで、お互いがより質が高いモノやサービス、利益を得られるという概念。(経済学者デヴィッド・リカードが提唱)

脱グローバル化でも輝く優良株


今後、脱グローバル化の流れとともに世界の分断が進み、インフレ圧力が高まった場合、どういった投資行動がその備えとなるのでしょうか?

例えば、伝統的な資産の代表格である債券と株式を比べた場合、株式の方が長期的にみてインフレに対する耐性があると考えられます。
インフレの環境下においては金利が上昇する傾向があるため、すでに発行された債券自体の価値は低下していくことになります。一方、株価を左右する企業業績については、短期的には原材料コストや人件費の上昇などにより利益が圧迫されるものの、適度なインフレ率であれば値上げによって利益率を維持することができると考えられます。

ただし、どのような株式でもよいというわけではありません。例えば、質の高い商品を提供していたり、ブランド力のある企業であれば、値上げをしても容易に顧客離れを引き起こすことはないでしょう。しかし、そうではない企業の場合は、値上げによって顧客が離れていき競争力を失う可能性があります。

日本では20年以上にわたりインフレを意識する機会は、ほとんどありませんでした。しかし、世界ではその間もインフレが続いたため、日本の相対的な貧困化が進んできたと言われています。日本にいながらも世界の物価上昇を視野にいれつつ、グローバル優良企業の成長の果実を享受するという視点で考えた場合、グローバルな優良企業の株式に投資をするという選択に価値を見出すことができると考えられます。

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