運用担当者が考える2018年の振り返りと2019年の投資戦略 | ピクテ投信投資顧問株式会社

運用担当者が考える2018年の振り返りと2019年の投資戦略 グローバル

2019/01/18アルテ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

2019年の世界の投資環境は、米中の貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱、主要国の中央銀行による金融引き締めの動きなどさまざまな不透明要因から影響を受けると見られます。このような環境の下、当ファンドの運用担当者が2019年の投資戦略についてどのように考えているのかをご紹介します。

2018年は、市場の期待が激変し得ることを認識させられた年でした。10-12月期の僅か数営業日のうちに投資家心理が急転し、景気過熱から差し迫った景気後退(リセッション)を懸念するものへと様変わりしました。

2018年は、分散投資の成果が上がらずに終わった年でもありました。MSCI世界株価指数を構成する各国指数および各セクター指数の大半が、米国国債指数や社債指数と同様、マイナスのリターンに終わったからです。12月の急騰がなかったとしたら、世界国債指数も、同じ運命を辿ったものと思われます。事実、ドルベースの投資家にとっては、主要な資産クラスの年間騰落率が全てマイナス圏に沈み、1986年以降では初めて、米ドル現金が最も高いリターンをあげました。

読者の方々は、ピクテの投資戦略が、まさにこの種のボラティリティに備えるものであり、とりわけ、下振れリスクの最小化が求められる局面で、有意義かつタイミングを捉えた資産配分変更を行う機動性を備えていることをご理解いただけると考えます。ですから、2018年12月の市場動向が夏場に予想していた状況とは異なるものであることが明らかとなった時点で、対応策として、資産配分に大幅な変更を行いました。

ボラティリティの急騰局面は、運用担当者の実力が試される極めて難しい時期となる一方で、投資の好機を提供します。ピクテの資産配分の枠組みは、市場の期待と経済の実態が大きく乖離することがあり、これが超過リターンを実現する機会を提供し得るとの認識のもと、2002年に策定されました。2019年中には市場が混乱する局面が多々予想されますが、このような局面にどう対応するかが資産配分を決めることとなります。 

2018年の振り返り

ピクテの運用の柔軟性は、昨年10-12月期中に最大限試されることとなりました。世界経済の双璧を成す米国と中国が従前の予想とは異なる動きを見せていることが明らかとなったため、短期見通しを大幅に変更したからです。

ピクテでは、中国経済の減速を予想はしていたものの、市場に織り込まれていると見ていました。また、下半期に導入された金融ならびに財政刺激策が、予想外の景気の改善につながる状況を見込んでいました。経済の減速が既に市場に織り込まれているならば、景気敏感株が市場全体を上回るリターンを上げるだろうとの見立てだったのですが、このような見方に基づいた資産配分の変更は時期尚早でした。

事実、上述の施策は、広範な景気浮揚を図るというよりは、(個別の機能不全が金融制度全般に波及する)システミックリスクの回避を主眼としたものだったのです。また、中国経済の減速予想が一年を通じて急速に新興国市場に織り込まれていった一方で、先進国市場は状況を理解しきれていませんでした。米国、欧州および日本の企業業績予想は、中国および東南アジア全域からの大幅な売り上げ増を見込んだものでした。貿易を巡る緊張の激化が、他の要因と相俟って、域内経済の見通しの再評価を強いることとなり、楽観的な業績予想は姿を消し始めました。大きく売られた景気敏感株に集中的な投資を行っていたファンドの10月のパフォーマンスは大幅に悪化し、中国の景気浮揚を見込んだ従前の見通しの大幅な修正を余儀なくされました。

ピクテのマクロ経済および流動性分析は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの一時停止、或いは、量的引き締め(量的金融緩和縮小)策の修正の可能性を示唆していました。FRBは、金融政策の伝播には遅れが伴うことを勘案し、過去の趨勢(トレンド)を上振れる経済の持続的な成長を見るのではなく、金融引き締め策が金利敏感セクターに影響を及ぼし始めているという事実を注視するものと考えていました。ところが、FRBは、雇用統計や賃金上昇率等の遅行指数に注目し続け、ピクテが予想していた以上の期間を通じて利上げ路線を堅持し続けたのです。FRBのタカ派的な姿勢は、当初の予想を超える急激な景気減速につながる公算が大きいと考えます。

投資戦略の再検証

ピクテのポートフォリオは、中国経済の回復に起因する利益の上振れ予想の恩恵とドルベースの資本コストの低下期待を見込んで構築したものですが、これが時期尚早だったことは明らかです。従って、中国経済の減速とFRBの利上げの継続を勘案し、戦略の変更を行って、景気敏感株に偏った組入れから、景気の減速や信用スプレッドの拡大、また、信用環境の引き締めが強まるとの見通しに沿った組入れへの変更を行いました。換言すると、成長セクターの組入れを減らし、債務の少ない優良企業の組入れを増やしたことになります。社債の組入れは引き続き回避し、世界経済の減速を織り込み済みの株式に注力します。また、久々に、ポートフォリオのリスクの大半を、米国およびオーストラリアの国債を中心としたソブリン債を通じて取っています。魅力的な実質利回り、高いインフレ期待、経済の減速予想等が良好なリターンを実現する可能性を提供していると考えます。

グローバル株式指数は2018年の高値から15%程度、地域市場の株価指数の多くは20%以上も下落しており、経験則でいう弱気相場に突入していますが、業績予想は一段の大幅な悪化が見込まれます。たとえ一時的なものであっても景気減速を裏付けるデータが発表されれば、業績予想の一段の引き下げを促す公算が大きいと考えます。このような状況は、バリュエーションが長期平均近辺に留まることを勘案すると、株式の先行きが明るくないことを示唆しています。下振れ傾向の強い第1四半期(1-3月期)決算が、今年は、FRBの利上げと中国経済の失速で例年以上に悪化する公算が大きいならば、市場の下げに見舞われる範囲は広そうです。

実体経済の資金調達

今後数ヵ月は市場の下げが懸念されるものの、世界経済の基盤を成す構造は堅固であるとの見方には引き続き確信を持っています。景気循環は歴史に審判を委ねるべきだと考えているからではありません。次の景気後退局面は、いつ起ころうとも、過去の景気後退局面とは異なるものになるだろうと考えるからです。10年に及んだ今回の景気拡大は、銀行融資の規模を遥かに上回る、前例を見ない規模のプライベート・デット投資を通じた資金調達に支えられたものだからです。

過去には資金調達の殆どが銀行融資を通じて行われ、銀行は特異な規制環境下で、乗数効果を通じてマネーを創出してきました。例えば、10ポンドの預金が、100ポンドの銀行融資として使われました。このような金融システムのレバレッジは、強力な景気拡大を促す一方で、景気減速を増幅させました。企業が債務不履行(デフォルト)に陥ると貸出元本の返済がリスクにさらされるため、資金を融資した銀行は、即刻、不足分の埋め合わせを迫られます。損失の埋め合わせのために資本準備金の取り崩しを余儀なくされる銀行は、残りの準備金の保全のため、実体経済から、貸し手の区別なく、迅速に、資金を回収します。調達資金の減少は経済成長の減速を意味し、最終的には、より深刻な減速に至る悪循環を創り出します。

今回の景気拡大局面は、実体経済の長期の資金ニーズが、主に、レバレッジをかけない長期資金の貸し手によって、直接充当されました。プライベート証券の投資家、年金基金、生命保険会社等は、債券、ローン、プライベート・デットの形態で、過去の景気循環を遥かに上回る規模の資金を実体経済に提供しました。実体経済における資金の提供者が、銀行から、レバレッジをかけない長期資金の貸し手に移ったため、デフォルトが発生した際の経済全体からの全面的な資金引上げにつながる状況が是正されました。年金基金や生命保険会社等の機関投資家は、投資先から即刻資金を引き上げることが(殆ど)ありません。損失を受け入れ、長い年数をかけて、保険加入者または契約者と相互負担するためです。融資の際の銀行からのシフトは、資金調達、ひいては、経済の安定を生む結果となることから、金融危機以降の金融制度における最も重要な転換(シフト)になったと考えます。

とはいえ、レバレッジドローン担保証券が近時の債務証券の限界的な買い手であることには懸念を禁じ得えません。資金調達の仕組みの変化が、ピクテが考えるように大きな影響を及ぼすとしたら、次回のリセッションは過去のリセッションと比べて軽微に終わる可能性があるかもしれません。経済全般が収縮しているわけではなく、堅調な経済が広範囲に及んでいるにも係わらず小売セクターが苦戦を強いられているように、景気の低迷は、特定の企業または業種セクターが、それぞれの特性のゆえに影響を被ることが多いからです。

ピクテの分析は、景気の失速あるいは企業業績の悪化を巡る懸念が深刻な景気収縮予想に繋がり始めた兆しが現れた時には、長期性の資金を株式市場や信用市場に投じる極めて魅力的な機会になることを示唆しています。また、市場のパニック時には、企業、投資テーマ、業種セクターならびに地域市場を通じてリターンのばらつきが増す傾向が強いことから、微妙な調整を可能とする資金配分には実りある環境となるはずです。

市場構造とリスクモデルへの依存

昨年は、ボラティリティが短期間で急騰することを再認識させられた年でした。株式のボラティリティが3年半にわたって安定推移した後、市場最低水準を更新しましたが、その後、2018年10-12月期中に、トレンドが一転する結果となりました。

次に提起したいのは、リスクが不変ではなく、一つの数字では捉えきれない程の広い範囲を網羅するということです。リスクモデルには、瞬時のうちに、また、すべてが同時に、混乱状態に陥る傾向が認められますが、これはモデルがソーセージを作る機械のように作動するからです。機械が作るソーセージの品質は、機械そのものの精巧さよりも機械に投入される材料によって決まります。ですから、ピクテでは、モデルに投入するデータを、モデルの計測結果と同程度に吟味しています。

過去10年間のモデルの改善点の多くは、特定のリスク要因から、ポートフォリオを認識し、隔離することにありました。特定のリスク要因からポートフォリオを隔離したと思っていた人の多くが、後になって、そうではなかったことに気付くことが多々あるように思われることから、ピクテでは、より全体的な手法を取っています。同一のリスク要因がポートフォリオのパフォーマンスを左右する要因だったことが明らかとなる場合が多いからです。これは、ポートフォリオの分散とリスク低減のために、類似のモデルを全く同じ手法で用いる運用担当者の数が増え続けているからだと思われます。レバレッジを多用する、最も洗練された投資家の一部は、ポートフォリオの安定と市場のボラティリティを有効なファクターモデルと関連付けていたようですが、両者間の「信頼」関係は、市場の流動性が枯渇した途端、不適切な場所に過度のリスクを残す結果となったのです。

2018年10-12月期には、多くのプロの投資家がレバレッジ取引の解消を余儀なくされたことが確認されていますが、解約請求が積み上がっていることから、このようなトレンドは、2019年1-3月期も継続すると思われます。

ピクテの分析は、市場が急落する中、足元数ヵ月間、株式ETF(上場投資信託)にネットの資金流入があったことを示唆しています。投資家のETF回避の動きが起こるとしたら、市況の一段の悪化が予想されます。ピクテの市場構造分析は、このように、リスク管理の一部を形成しており、顧客の資産保全に極めて有効であると考えています。

市況回復の可能性

目先の数ヵ月については、米国および中国の動向を注視していきます。米国が世界経済の唯一のけん引役であることが判明するならば、直近のサイクルは従来予想よりも早期に終了する公算が大きいと思われます。過剰な資金が米国に集中して流入するならば、世界の均衡が大きく崩れる可能性があるからです。一方、中国経済が再び加速するとしたら、直近のサイクルの延長が求められることとなるでしょう。

資本コスト安定化の兆しが現れるかどうかも注視しています。足元数ヵ月間の債券利回りの低下は好材料ではあるものの、リスク資産には、安定した実質利回りとインフレ期待の方がより好ましい環境を提供すると考えるからです。

ピクテの慎重な投資姿勢は、成長期待の低下、市場の過剰流動性の縮小およびレバレッジの解消を併せて総合的に判断した結果です。このような局面では、柔軟かつ大胆に資産配分を行う者に投資の好機が提供される傾向が認められますが、ピクテもこのような範疇の一員です。ピクテの投資目標は高水準の実質リターンを実現することですが、このような目標が設定できるのは、投資の好機が到来した時に、まとまった資金を投じることが可能だからです。発作をおこしているかのような足元の市場動向は、顧客のために価値を見出す千載一遇のチャンスを提供する公算が大きいと考えます。

市場のコンセンサス予想が過度の悲観に傾くところでは、大きな価値を発掘することが可能だと考えますが、この種の投資手法には繊細さが求められます。例えば、ピクテでは、欧州中央銀行(ECB)の量的引き締め(量的緩和の縮小)が、周縁国の国債等、欧州債の実質利回りの上昇をもたらすことを懸念しています。資本コストの上昇は、市場に吹き付ける強い逆風を表します。一方、この10年前後で初めてのことですが、市場のコンセンサス予想は、欧州株式が新しい年の有望資産であるとは見ていないようです。ピクテでは、欧州市場に慎重な姿勢を維持しつつ、状況が正当化される時のために、投資スタンスを再考する準備を整えています。

英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)リスクは、従来通りに概ね回避し、政治の不確実性に起因して生じることが予想されるボラティリティの上昇を警戒しています。一方、ピクテのバリュエーション・モデルは、相対ベースでみても絶対ベースでみても、英国株式に大きな価値があることを示唆しています。従って、英国株は常に注視しています。

2018年の大部分の時期は低迷していた新興国資産が、足元のポートフォリオでは、中心的な位置を占め始めています。現地通貨建て債券であれ、米ドル建て債券であれ、株式であれ、新興国資産全般に価値が認められます。新興国企業の業績予想は、世界経済の大幅な減速を前提としているため、先進国株式に比べると安全な領域が広いと考えます。

米国株式の長期的な見通しは、損なわれていないと考えます。米国経済は、株主のために、高い自己資本利益率(ROE)を創出する企業を育成することの出来る類まれな能力を有しています。もっとも、PER等のバリュエーション指標に圧力がかかると同時に業績予想が低下しつつある状況が意味するのは、市場予想の一段の低下であり、投資の好機の到来です。

原油価格の急落は、2016年の場合に類似した、米国ハイイールド債市場の動揺を引き起こす可能性があることから、動向を注視しています。もっとも、当面のところ、クレジット債のプレミアム(上乗せ利回り)が、リスク調整時に株式から資金を移すほど高いとは思われません。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

当資料をご利用にあたっての注意事項等

当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、投資信託説明書(交付目論見書)等をお渡ししますので必ず内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。


ページの先頭へ戻る