世界経済と株式市場の一段の悪化懸念 | ピクテ投信投資顧問株式会社

世界経済と株式市場の一段の悪化懸念

2019/06/14アルテ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

米中間の貿易摩擦の激化によって、両国が関税率を引き上げていることが、世界経済と企業業績の先行きに対する懸念を高めています。このような不透明感の高まりによって、資産配分については引き続き慎重な姿勢を維持します。

5月の投資環境と 運用状況

2019年年初以降、当ファンドの基準価額は緩やかながらも引き続き上昇基調となっています(2019年6月10日時点)。(図表1参照)(2019年5月末までの基準価額変動要因は図表2参照)。

世界の株式市場は、米トランプ大統領が対中関税の引き上げを発表し、中国も報復措置を打ち出すなど、米中通商問題の激化を背景に下落しました。米国が中国の通信機器大手メーカーに対する取引規制を発表したことや、メイ首相が退陣を表明し英国の欧州連合(EU)離脱の先行き不透明感が高まったことも株価の下落要因となりました。業種別では、公益やヘルスケア、生活必需品など景気変動に左右されにくい業種の下落率が小幅に留まりました。
米国債券市場は、米中貿易戦争の激化を受けて先行き不透明感から安全資産である債券相場は上昇(利回りは低下)しました。欧州債券市場は、欧州委員会がユーロ圏の成長予測を引下げたこと、英国のメイ首相が退陣を表明するなど欧州連合(EU)離脱の先行きが不透明となったことなども受け、中核国のドイツを中心に国債市場は上昇(利回りは低下)しました。
ドル・円為替市場は、米中貿易戦争の激化などを受けリスク回避姿勢が高まり円高・ドル安が進行しました。トランプ米大統領がメキシコからの輸入品全てに5%の関税をかける方針を示したことも円買いを誘いました。ユーロ・円為替市場は、米中通商交渉の激化からリスク回避姿勢が高まり円が選好されたことに加え、欧州委員会がユーロ圏の成長予測を引き下げたことや、ドイツの景況感指数が市場予想を下回ったことなどからユーロ安が進み、円高・ユーロ安となりました。

2019年5月は米中貿易戦争の激化などを背景に市場の値動きが大きくなる中で、当ファンドの基準価額も前月末比で下落となりましたが、2019年4月末に比べてさらに株式の比率を抑え、ディフェンシブなポートフォリオとしていたことなどから、世界の株式市場の下落幅に比べて小幅な下落に留まりました(図表3参照)。

主な投資行動 ~株式を大幅に削減しディフェンシブ性をさらに高める~

資産配分としては前述の通り、ポートフォリオのディフェンシブ性を高める為に、株式の組入れを大幅に削り、債券やキャッシュなどの安全資産の組入れを引き上げました(図表4参照)。

 

 

株式部分では、北米株式を中心に、欧州、日本、新興国など、地域横断的に組入れを削りました。また、2020年の米大統領選挙に向けて、今後米国の医療制度改革を巡る不透明感が重石になると見て、ヘルスケア株式を全売却しました。

債券部分では、オーストラリア長期国債や、米国長期国債、米国長期国債(物価連動)などを追加で購入し、金利感応度を高めました。また、グローバル転換社債型新株予約権付社債を買い増しました。グローバル転換社債型新株予約権付社債は、株価上昇局面で値上がりし、株価下落局面での値下がりが相対的に抑えられる傾向があります。足元では割安感が強いこともあり、投資妙味があるものと見ています。また、新興国市場のボラティリティが上昇したことから、新興国債券(現地通貨建て)を一部売却し、ポートフォリオのリスク量を調整しました。

基準価額の変動要因 ~債券はプラス寄与となるも、株式のマイナスが響く~

当ファンドの2019年5月の基準価額の変動要因としては、合意が期待されていた米中通商協議が決裂し、投資家のリスク選好姿勢が急速に後退する中で株式要因が基準価額に対してマイナスに寄与しました。
特に、中国株式の下落率が大きかったことなどから、新興国株式が大きなマイナス寄与となりました。また、世界ディフェンシブ株式などを含む世界株式は、下落率は相対的に抑えられていたものの、組入れが高いことからマイナス寄与が大きくなりました。

一方で、安全需要の高まりを受けて債券がプラスの寄与となり、株式によるマイナス寄与を一部相殺しました。特に、オーストラリア長期国債や米国超長期国債などの先進国国債が大きくプラスに寄与しました(図表5参照)。

株式: 株価の一段の下げを予想

5月の世界の株式市場は、4月の上昇分が剥げ落ちた格好となりました。米中の貿易協議が短期間で合意に至る公算は小さく、今後は市場の一段の下げが見込まれます。 米国株式は特にぜい弱です。1-3月期の企業業績は予想外に良好だったとはいえ、国内経済は減速しつつあり、企業利益は伸びの鈍化が見込まれます。株式アナリストは、直近(1-3月期)の決算発表開始時に年内の企業利益成長率予想を下方修正しています(図表6参照)。

米国株式は、相対的に高水準のバリュエーション(図表7参照)と景気敏感セクターに偏った市場のセクター構成を勘案すると、魅力が更に薄れます。米国市場は、日本を除く世界のどの主要市場よりも景気敏感銘柄の構成比が高いことに加え、史上初めて、景気敏感セクターの構成比が新興国市場を上回っています。従って、米国株式はアンダーウェイトを維持します。

英国のブレグジットを巡る懸念が高まっています。こうした中でポンド安が英国の輸出企業にとっては、業績のプラス要因となるとも考えられるものの、短期的には株式市場の変動幅が大きくなると懸念されることなどから当ファンドにおいては組入比率を低減させました。

新興国についての見方では、ピクテの景気循環分析によると、経済を取り巻く状況が5月月間を通じて、世界の多くの地域で悪化したこと、また、4月に経済の急激な減速に見舞われた中国も例外ではないことを示唆しています。中国政府が導入した景気浮揚策は、ここ数週間のうちに効果が薄れた感があることから、貿易摩擦の再燃は今後数ヵ月の先行きを案じさせます。こうしたこともあり、当ファンドでも新興国株式の組入れについても低減させました。
とはいえ、新興国の経済基盤は、先進国と比べて、概ね遥かに堅固であり、中国は、金融・財政両面で、追加の景気浮揚策を講じる十分な余地を残しています。 事実、中国は、ピクテの流動性指数がプラス圏に留まる数少ない国の一つです(図表8参照)。中国経済の信用の状況には改善が見られ、中小企業向け銀行融資の拡大を示唆する兆しも散見されます。これに対し、先進国では、中央銀行がバランスシートの縮小を続けており、リスク性資産を巡る流動性の状況も特に良好というわけではありません。このような観点からすると、新興国資産は先進国資産よりも魅力的だと思われます。

 景気変動の影響に左右されやすい銘柄には投資妙味が少ないと考えます。MSCI世界株価指数では、景気敏感セクターが、ディフェンシブ(景気の変動に左右されにくい)・セクターに対して、長期的には平均して10%程度上回っていますが、現在は17%程度と割高となっています。

債券: 新興国債券市場は本領発揮

貿易摩擦の激化がリスク性資産を下押す環境にあっても、債券の投資妙味は高くありません。世界の国債利回りが大きく低下する状況では、債券の割高感が際立っているからです。 もっとも、債券市場には魅力的な投資対象も残っています(図表9、10参照)。

例えば、現地通貨建て新興国国債は、良好な投資収益をあげる可能性を提供しています。新興国通貨は、最近の増価をもってしても、米ドルに対する適正価値を大きく下回る水準に留まっており(図表11参照)、新興国の良好な経済環境を背景に、上昇基調を続ける公算が大きいと思われます。新興国の経済成長は、引き続き、先進国を上回って推移しており、双方の景気先行指標の格差は拡大基調です。ドル建て新興国国債についても相対的に堅固な新興国経済が、新興国国債の米国国債に対するスプレッド(利回り格差)の縮小に資すると期待されます。

このように新興国債券については相対的に魅力があるとみているものの、足元のボラティリティの上昇を受けて、当ファンドにおいては現地通貨建ての新興国債券の組入比率を低下させ、リスク量の調整を行いました。

先進国市場では、引き続き米国国債については相対的に魅力があるとみています。ユーロドル先物には年内に1回以上の利下げが織り込まれていますが、経済を取り巻く状況の一段の悪化に際して、米国国債が、費用対効果の高いヘッジ手段であることに変わりはないとみられるからです。

今後の 運用方針

米中貿易戦争を巡る先行き不透明感が高まる中、世界経済や企業業績の下振れリスクが意識される展開となっています(図表12、13参照)。

ピクテが算出する景気先行指数は、引き続き先進国経済の成長鈍化を示唆している他、中国経済などについても減速する可能性を示しています。また、マクロ経済環境の悪化を受けた企業業績の一段の悪化も懸念しており、特に米中貿易戦争によるサプライチェーンの分断の影響には警戒しています。金融政策面においては、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が強まっているものの、これに対する期待感はある程度織り込み済みであると見ており、これらを勘案して株式に対しては慎重な姿勢を維持します。

債券については、足元の先進国国債の利回りの低下を受けて同資産の割高感が意識されるほか、社債についてもリスクに見合う十分なリターンを期待しづらい地合いが継続すると見ています。一方で、新興国債券は引き続き利回り、通貨の両面で割安であり、投資妙味があるものとして注目していきます。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

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