投資戦略~金融緩和は既に織り込み済み、慎重姿勢を維持 | ピクテ投信投資顧問株式会社

投資戦略~金融緩和は既に織り込み済み、慎重姿勢を維持

2019/07/22アルテ
※投資リスク、手続・手数料等は、PDF版をご覧ください。

ポイント

米中貿易戦争などによる景気の下振れリスクが高まる中、欧米中央銀行がハト派姿勢を強めたことで、多くの資産が 上昇する展開となりました。しかし、金融緩和期待による追加的な上昇余地は限定的とみられることに加え、景気の 先行き不透明感は依然として高いことなどを勘案し、慎重な姿勢を維持します。

6月の投資環境と 運用状況

2019年年初以降、当ファンドの基準価額は緩やかながら も引き続き上昇基調となっています(2019年7月16日時 点)。(図表1参照)(2019年6月末までの基準価額変動 要因は図表2参照)。

6月の世界の株式市場は、米中通商問題に対する不透明感や イラン情勢の緊迫化が懸念材料となりました。しかし米連 邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長や欧州中央銀 行(ECB)のドラギ総裁からハト派的な発言が相次いだこと を好感し、株価は堅調に推移しました。業種別では、素材 や情報技術、一般消費財・サービスなどが大きく上昇した 一方、コミュニケーション・サービスや生活必需品、金融な どは市場平均を下回る上昇にとどまりました。

米国債券市場は、雇用統計や製造業景況感などの弱い 経済指標に加え、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC) の内容を受けて早期利下げ観測が高まったことから上昇(利回りは低下)しました。
欧州債券市場 は、ユーロ圏の5月のコアインフレ率が市場予想を下回っ たこと、欧州中央銀行(ECB)が政策金利据え置き期間の 延長方針を示したことで、債券相場は上昇(利回りは低 下)しました。

ドル・円為替市場は、米国の非農業部門雇用者数が市場 予想を大幅に下回ったこと、イラン情勢が緊迫化したこと などから円高・ドル安が進行しました。また、6月の米連邦 公開市場委員会(FOMC)でさらなる金融緩和姿勢が示唆 されたことも、ドル安材料となりました。
ユーロ・円為替市場 は、ドイツの製造業購買担当者景気指数(PMI)や製造業 受注が市場予想を上回ったことや、米国の金融緩和観測 を受けてユーロ高が進行し、月間を通じてみれば円安・ ユーロ高が進行しました。

こうした市場環境下、当ファンドの基準価額も前月末比で 上昇となりました。2019年5月末に比べて株式の比率を 引き上げましたが、依然として債券を中心としたポートフォ リオを維持しています。こうしたこともあり、5月から大きく反 発した新興国や先進国株式に比べると上昇幅は小幅に 留まりました(図表3参照)。

主な投資行動~依然、債券が中心だが、 株式の組入比率を引き上げ~

資産配分としては、組入比率を抑制していた株式の組入 れを引き上げました。一方で、債券の組入れは小幅に縮 小しましたが、依然としてポートフォリオの大部分を占める 水準を維持しています。

株式部分については、先進国と新興国の株価指数先物 やコールオプションを中心に組入れを引き上げました。

債券部分では、米国超長期国債を全売却し、一部を オーストラリア長期国債に振り向けることでデュレーション を短期化しました。加えて、メキシコ中期国債から新興国 債券(現地通貨建て)に資金をシフトしました。

オルタナティブ部分では、ポートフォリオの分散効果や魅 力的な利回りが期待できる経済インフラファンドに新規で 投資を開始しました。

基準価額の変動要因 ~株式・債券ともに大きくプラス寄与~

5欧米中央銀行のハト派姿勢が鮮明となり、金融緩和への 期待感が高まる中で、株式と債券が基準価額に対して 大きなプラスの寄与となりました。

株式部分では、世界ディフェンシブ株式や金鉱株式など を含む世界株式のプラスの寄与が大きくなりました。特 に、急騰した金価格に連れ高した金鉱株式のプラス寄与 が大きくなりました。

一方債券部分では、金融緩和期待を背景に新興国債 券のプラス寄与が大きくなった他、グローバル転換社債 型新株予約権付社債などの社債も大きく寄与しました。 転換社債型新株予約権付社債は株価上昇局面で値上 がりする価格特性があり、株高を受けて大きく上昇しまし た。

 

株式: 夏場が期待される欧州市場

世界貿易が縮小し、企業利益の先行きが危ぶまれる状 況では、株式投資に慎重な姿勢を維持することが賢明だ と考えます。

ピクテのモデルは、今後1年間の企業の利益成長率が、 市場のコンセンサス予想であるおよそ7%に対し、前年比 横這いに留まる、或いはマイナスに落ち込む可能性があ ることを示唆しています(図表6参照)。

米国株式は特にぜい弱です。ピクテのモデル上で最も割 高な株式市場であるというだけでなく、米国経済が6ヵ月 連続で減速し、主要先進国および新興国の経済成長を いずれも下回ることが、ピクテの景気先行指数によって示 唆されているからです。過去のデータは、米国の経済成 長率が名目ベースで3%を下回る局面で企業利益が減 少する傾向が認められることを示しています。

米国株式市場は、FRBの利下げがあったとしても、追加 的な恩恵を享受する公算は小さいと思われます。これ は、2019年下半期の大幅利下げが既に織り込まれてい るからです。更に、S&P500種株価指数等の主要株価指 数はテクノロジー等、規制の強化や貿易戦争に左右され やすい業種の構成比率が高いことにも留意が必要です。

これに対し、ユーロ圏株式の先行きは明るさを増していま す。域内の景気先行指数は、マイナス圏に留まるとはい え、3ヵ月連続で改善し、米国を上回っています。また、 ユーロ圏経済の原動力である消費は底堅さを維持してお り、銀行融資も改善基調です。株価純資産倍率(PBR)、 株価収益率(PER)ならびに株価売上高倍率(PSR)を勘 案したピクテのモデルで測定すると、欧州株式は米国株 式よりも割安です(図表7参照)。

一方、英国株式は、引き続き魅力的です。4.8%と高水準 の配当利回りに加え、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット) を巡る懸念に起因する英ポンド安が、多くの多国籍企業 の利益を押し上げています。

新興国株式も魅力的です。ピクテの景気先行指数は、新 興国経済が先進国経済を上回って成長するとみられ、こ うした中で新興国企業は先進国企業を上回る利益成長 が予想されると考えます(図表8参照)。

当月に当ファンドでは株式の組入比率を引き上げました が、前述のような市場環境を踏まえ、欧州株式について コール・オプションを購入することで組入比率を引き上げ たほか、英国株式、新興国株式についても組入比率を 引き上げました。北米株式についても、警戒感はあるもの の、短期的には値上がりの可能性があると考え、それに 備えてコール・オプションを購入し組入比率を引き上げま した。日本株式についても先物で購入し組入比率を引き 上げました。

債券: ハト派が優勢

債券先物に織り込まれた、投資家の1年先までの米国金 利見通しには驚かされます。半年前の50ベーシス・ポイ ント(0.5%)の利上げに対し、足元では100ベーシス・ポイ ント(1%)の利下げを予想しているからですが、このように 大幅な予想の修正は行き過ぎのように思われます。 市場は、実際の利下げの幅に失望することとなり、債券 利回りは上昇、価格は下落となる見通しです。

グローバル 債券市場は半年間の上昇相場を経て割高感が際立っ ていることから、当ファンドには依然として債券がポート フォリオの中心ですが、組入比率をやや引き下げました。

先進国の社債は、投資適格債、ハイイールド債ともに引 き続き割高です。企業の利益成長率が予想を下回る可 能性が高いことを勘案すると、このような状況は先行きを 警戒する危険信号のように思われます。同時に、信用格 付けは悪化、レバレッジは上昇基調で、金融セクターを除 く社債の発行残高はGDP(国内総生産)比47%と過去最 高水準に達しており、ITバブル崩壊時の2000年或いはグ ローバル金融危機発生時の2008年に付けた水準を上 回ります。

景気変動の影響を受け難いディフェンシブ資産について は、依然として、米国国債がユーロ圏国債を上回る利回 りを提供しています。実際に、ドイツ10年国債利回りは -0.3%と、史上、最低水準を更新して最も割高な水準に 達しており、ユーロ圏国債の45%は、利回りがマイナス圏 に沈んでいます。実質利回りでみると大きなマイナスと なっています。

一方、現地通貨建て新興国債券の先行きは、域内のイ ンフレ率の低下、金融緩和の可能性、割安な為替レート 等を背景に、明るさを増しています。ピクテのモデルは、 新興国通貨が米ドルに対して15~20%割安な水準に留 まることを示唆しています(図表11参照)。

また、金は6月に急上昇したものの、依然として割高感は みられません。 金や新興国資産については、米ドル安の恩恵を受ける資 産クラスであるという観点からも注目されます。

今後の 運用方針

米中貿易戦争などによる景気の下振れリスクが意識され る中、ピクテが算出する景気先行指数も世界経済の成長 鈍化を示唆しており、マクロ経済環境については弱い地合 いが継続しています(図表12、13参照)。

一方で、民間セクターにおける信用拡大が進んだ他、金 融政策についても、米連邦準備制度理事会(FRB)や ECBの金融緩和に対する期待感が高まっており、こうした 流動性に関する好材料を織り込む形で幅広い資産が上 昇する展開となりました。

ただし、株式市場では金融緩和期待は既に織り込まれ、 短期的には一段高が期待しづらいことや、企業業績に対 する一部の市場予想がやや楽観的であることなどから、 株式については慎重な姿勢を維持します。

債券についても、今後12ヵ月の間にFRBが1%の利下げを 行うことが既に市場に織り込まれているとみており、足元 で急進(利回りは低下)した先進国国債や社債などの上 値余地は限定的であると考えています。一方で、新興国 債券は引き続き利回り、通貨の両面で割安であり、投資 妙味があるものとして注目していきます。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

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