投資戦略~波乱含みの相場展開を警戒し、下値リスクを低減 | ピクテ投信投資顧問株式会社

投資戦略~波乱含みの相場展開を警戒し、下値リスクを低減

2019/08/16アルテ
※投資リスク、手続・手数料等は、PDF版をご覧ください。

ポイント

株式や債券などが金融緩和期待を織り込んで高値圏で推移する中、主要中央銀行の金融政策や米中通商協議などの行方に対する思惑から、波乱含みの相場展開となることも予想されます。そのため、割高感が意識される株式や債券については慎重な姿勢を維持し、下値リスクを意識した運用をしていく方針です。

7月の投資環境と 運用状況

7月の市場概況は、6月末の大阪サミットの際に米中通 商協議の再開が合意されたことや、米連邦準備制度理 事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)による利下げ観測が 強まったことが好感され、世界の株式市場は上昇しまし た。 業種別では、情報技術やコミュニケーション・サービス、生 活必需品などが市場平均を上回って上昇した一方、エネ ルギーは下落し、ヘルスケア、素材、公益などは小幅な 上昇にとどまりました。

一方、世界の債券市場は6月の米雇用統計が市場予想を上回る好調な結果だったことから軟調な局面もありましたが、FRBの利下げ観測を背景に、月を通じては債券相場は上昇(利回りは低下)しました。また、ECBの次期総裁に国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が指名されたことへの期待感や、英国の合意なき欧州連合(EU)離脱観測が強まったことなどもサポート要因となりました。

ドル・円為替市場は、米国の重要な経済指標が堅調だったことや、FRBの予防的な利下げによって米国経済が再び加速するとの期待感などから、円安・ドル高が進行しました。その反面、イラン情勢の緊迫化や米中協議で目立った進展が見られなかったことは円高・ドル安要因となりました。
ユーロ・円為替市場は、ECBの次期総裁にIMFのラガルド専務理事が指名されたことで緩和的な金融政策が継承されるとの思惑や、ユーロ圏の経済指標が総じて軟調だったことなどから、円高・ユーロ安が進行しました。

2019年年初以降、当ファンドの基準価額は緩やかながらも引き続き上昇基調となり(図表1参照)、7月月間でも小幅ながらも市場要因・為替要因ともにプラス寄与となり、上昇しました(図表2参照)。
また、8月に入ってトランプ米大統領が、対中国追加関税第4弾の発動を発表し、米中貿易戦争がエスカレートしました。さらに、中国が人民元安加速を容認しているとし、為替操作国に認定するなど、通貨安戦争の様相も呈し始め他コトなどを受けて、世界的に政治・経済に対する先行き不透明感が高まり、世界の金融市場が大きく変動しました。

こうした局面において、当ファンドでは、株式・債券の組入比率を引き下げ、キャッシュ比率を高めるなど、これまで以上にディフェンシブ性を高めたポートフォリオとしていた(後述の「投資行動」および図表4参照)ことにより、株式資産などに比べると相対的にマイナスの影響度を小幅にとどめることができたとみています(図表3参照)。

主な投資行動 ~キャッシュ比率を高め、 ディフェンシブ性を高める~

資産配分としては、株式および債券、両資産の短期的な割高感が意識されることから、これらの組入れを引き下げました。また、売却した資金についてはキャッシュとして保有し、ポートフォリオのディフェンシブ性を高めました(図表4参照)。

株式部分では、経済成長の勢いに改善がみられないことや、中国の景気刺激策の効果がやや不透明であることなどから、新興国株式の組入比率を引き下げました。一方で、割安感が強まっている英国の大型株式を買い増しました。足元で英ポンド安が進行していることも同市場をサポートするとみています。加えて、米国株式の短期的な割高感が意識されることから、株価が下振れするリスクをヘッジするため、S&P500のプット オプションを購入しました。その他、ポートフォリオの分散効果を高めるため、金鉱株式の組入れも小幅に引き上げました。

債券部分では、豪州や米国などの先進国国債を売却し、デュレーションを短期化し、ポートフォリオの金利感応度を抑制しました。

基準価額の変動要因 ~株式・債券ともにプラス寄与~

FRBの利下げが確実視され、欧州、新興国の中央銀行においても金融緩和観測が強まる中で株式と債券が基準価額に対しプラスに寄与しました。

株式部分では、世界ディフェンシブ株式や金鉱山株式を含む世界株式がプラスに寄与しました。

債券部分では、新興国債券(ドル建て)や新興国債券(現地通貨建て)などの新興国債券がプラスに寄与しました。また、株価上昇局面で値上がりしやすいグローバル転換社債型新株予約権付社債も上昇したことで、社債などもプラスに寄与しました(図表5参照)。

株式: バリュエーション水準に注目

世界経済が減速し、企業の利益成長率が悪化する状況では、引き続き、バリュエーションが妥当な水準から割安な水準で推移するセクターや地域が注目されます。 セクター別では金融セクターやディフェンシブ・セクターがバリュエーション面での魅力があると考えられます。

地域別では、米国株式が最も割高とみられます。バリュエーション面でも利益成長面でも先行きが暗い、最悪の組み合わせの市場の一つと考えられます。 また、S&P500種株価指数先物の投資家のネットのポジションが相当高位に留まっていることを考えても、市場急落の公算が一段と大きくなると見ています。こうしたこともあり、当ファンドにおいては、株価の下振れリスクに備えて、プットオプションを購入し対応しています。

MSCI世界株価指数構成銘柄の利益予想のネットの上方修正の比率、つまり予想の修正全体に占めるネットの上方修正の比率で測った利益の伸びの勢い(アーニングズ・モメンタム)は、大幅に悪化しています。
企業の収益性には世界的に下押し圧力がかかっていますが、このような状況は、株式アナリストの予想に反映されていないと考えられます。企業利益の伸びの鈍化は今後も続き、株式アナリストのコンセンサス予想を下回ると思われます。ピクテのモデルは、今後12ヵ月の1株あたり利益成長率を1%と予測しており、株式アナリストのコンセンサス予想の8%前後を大きく下回ります。

英国株式は、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る懸念を嫌気して割安感が際立ち、投資妙味が強まっているとみています。また、配当利回りは、グローバル株式の2.5%に対して、5%と高水準です。

一方、新興国株式市場では、バリュエーション面での割安感はありますが、当ファンドにおいては、足元の経済成長の勢いが鈍いことなどを背景に組入比率を引き下げました。

債券: ディフェンシブ性資産の供給不足

これまでには、投資ポートフォリオのボラティリティ(変動率)を抑えるために先進国債券に頼ることが可能だった時期がありましたが、足元の状況は一変しています。13兆ドル相当の先進国債券の利回りがマイナス圏に沈んでいるからです。JPモルガン世界国債指数の実質利回りは過去最低でマイナスを付けており、今後3~6ヵ月については、投資適格債市場を構成するいかなる債券にも、ベンチマークの組入比率を上回る保有は正当化されないと考えます。
債券市場の上昇相場の基盤は、脆弱さを増しているように思われます。

理由の一つは、利下げ期待が過度に楽観的なことです。米国では、フェデラルファンド金利(FFレート)先物に、今後12ヵ月で各25ベーシスポイント(0.25%)の3回の追加利下げが織り込まれていますが、このような期待はFRBが講じた予防的利下げをはるかに上回るものであり、行き過ぎだと考えます。

ピクテが注視するテクニカル指標も警戒信号を発しています。とりわけ、投資家の国債のポジションから示唆されるのは、中短期的な市場急落の確率が増し、当該資産クラスが「買われ過ぎ」の状況にあることです。バリュエーション指標も市場の支えにはなっていません。ピクテのモデルが算出するバリュエーション・スコアのランキングでは、最も割高な4つの資産クラスのうち3つが債券です。また、世界国債ならびに米国の国債および投資適格社債は、いずれも長期的な傾向を1.5標準偏差上回る割高な水準で推移しています。

国債および投資適格社債全般について正しいと言えることは、ユーロ圏および米国のハイイールド債にも該当すると考えられます。信用格付けは悪化、レバレッジは上昇基調で、金融セクターを除く社債の発行残高はGDP(国内総生産)比47%と過去最高水準に達しており、ITバブル崩壊時の2000年或いはグローバル金融危機発生時の2008年に付けた水準を上回ります。

一方、新興国ソブリン債、特に現地通貨建て国債の先行きは、比較的良好です。利回りが魅力的な水準であることに加え、当該債券リターンの主要な源泉である新興国通貨がピクテの通貨評価モデルでは対米ドルで20%以上割安な水準にあるからです。

今後の 運用方針

世界経済は消費需要が底堅さを見せるものの、製造業は世界的に低調に推移しており、投資の伸びは大きく鈍化しています。また、ピクテが算出する景気先行指数も、引き続き鈍化しており、世界経済の減速を示唆しています。

こうした脆弱な環境のもと、2019年後半以降、企業業績の悪化することが懸念されています。加えて、足元の株式市場は主要中央銀行の金融緩和期待を十分に織り込んでおり、一層の上値余地は限定的であるとみていることから、株式については引き続き慎重な姿勢を維持します。

一方で、FRBは、予防的措置であることを強調しながらも、現在の景気サイクルの中で初めての利下げを実施しました。こうした中、世界の国債は割高に推移しています。ただし、米国国債は相対的に高い実質利回りが期待できることから注目しています。また、新興国市場についても割安感などから注目していきます。
加えて、金や金鉱山株式は高い分散効果があることから引き続き選好する方針です。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

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