株式は一段の引き上げ、地政学リスクへの警戒は継続 | ピクテ投信投資顧問株式会社

株式は一段の引き上げ、地政学リスクへの警戒は継続

2020/01/26アルテ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

世界経済の先行きについては、景気先行指数が長期トレンドを下回って推移するものの、新興国、先進国ともに安定 して推移していることから、慎重ながらも楽観的にみています。一方で、複数テーマにまたがる地政学リスクは依然とし て市場混乱を招きかねない為、現状のリスク水準を維持しつつも、機動的にポートフォリオの見直しを行う方針です。

12月の投資環境と運用状況

世界の株式市場は、月初に米ISM製造業景況指数が市場 予想を下回ったことなどを受けて一時下落したものの、その 後米中貿易協議が第1段階の合意に近づいているとの観 測が高まったことや英総選挙で与党保守党が勝利したこと などを背景に上昇し、月間でみても上昇となりました。

一方 で、世界の国債市場は小幅に下落(利回りは上昇)しまし た。米中貿易協議の進展について楽観的な見方が広がっ たことに加えて、11月の米雇用統計で非農業部門雇用者 数が市場予想を上回ったことや欧州でも独Ifo企業景況感 指数が市場予想を上回り、景気に底打ち感が台頭したこと などが価格下落(利回りは上昇)要因となりました。

ドル・円為替相場は、米中貿易協議を巡る合意の進展を 受けて円安・ドル高に転じる局面がありましたが、月末にか けてはポジション調整が主体の閑散な取引となり、結局は 前月比で変わらずの展開となりました。ユーロ・円為替市場 は、米中貿易協議の進展期待からリスク回避通貨である 円が売られたことや、ユーロ圏の景気底打ち感からユーロ が買われ、月を通せば円安・ユーロ高となりました。

当ファンドの基準価額動向をみると、2019年年初来では緩 やかながらも上昇基調が続いています(図表1参照)。

12月単月でも、上昇となりました。この背景としては、株式 市場全般が堅調に推移し、また、当ファンドにおいても株式 の組入比率を一段と引き上げたことなどが主なプラス寄与 となったことがあります。さらに、こうした市場環境下、日本 国債など先進国の債券利回りが上昇(価格は下落)する中 でも、当ファンドで注目してる新興国債券の価格は堅調に 推移したため、債券部分でもプラス寄与となりました(図表 2、図表3-1,3-2参照)。

主な投資行動: 株式の組入比率を引き上げ

資産配分では、債券の組入れを引き下げ、株式に資金を シフトしました(図表4参照)。

株式部分では、相対的に高い配当利回りで割安に推移し ている英国株式を購入した(図表5の①)他、投資家心理 の改善を受けて新興国株式も買い増ししました(図表5の ②)。また、株価上昇によってコールオプションの評価額が 大きく上昇したことも株式構成比上昇の一因となっていま す。

債券部分では、オーストラリア長期国債を一部売却した (図表5の③)他、割高感が強まったユーロ建てハイ・イー ルド債券を全売却しました(図表5の④)。

基準価額の変動要因: 株式市場の上昇が プラス寄与

株式市場が全般に良好なパフォーマンスとなる中で、主 に株式が基準価額に対しプラスに寄与しました。

特に米中貿易協議の進展期待が高まったことなどを背 景に新興国株式のプラス寄与が大きくなりました(図表5 の⑤)。同様に、債券部分でも新興国債券がプラス寄与 となりました(図表5の⑥)。

株式:英国株式、新興国株式の 投資魅力が高まる

2020年年初の投資環境には、昨年末に見られた投資 家の楽観的な姿勢を支持する根拠が散見されます。中 東をめぐる地政学リスクが台頭してはいるものの、米・中 の貿易交渉が進展し、英国を覆っていた不透明感が晴れて、世界経済が安定しつつあるからです(図表6参照)。

とはいえ、リスクが払拭されたわけではありません。米・中 の貿易交渉にしても英国のEU(欧州連合)離脱(ブレグ ジット)にしても、完全解決からは程遠い状況にあるうえ、 世界経済が説得力ある改善を見せているわけでもないか らです。また、年初の金融市場にはボラティリティが大きく 上昇する傾向があることに加え、流動性が逼迫する状況 も続いています。

ピクテの世界景気先行指数については、新興国指数が 先進国指数よりも上昇しており、製造業活動の水準も新 興国が先進国を上回ります。中国は、これまでのように新 興国の経済成長をけん引しているとは言えないかもしれ ませんが、中国政府は、2年間の景気刺激策が実体経 済に行き渡り、事業環境の安定化に成功したとして、国 内経済がさほど低迷しているわけではないことを保証して います。
新興国以外では、輸出受注が増加に転じたドイ ツ経済に景気回復の初期の兆しが見られるのに対し、米 国経済は強弱交錯の状況で、個人部門が堅調な一方、 貿易摩擦や大統領選の行方を懸念する企業部門につい ては慎重な姿勢を崩していません。

地域別の株式市場の中で最も割安感が強いのは英国で す。昨年12月の総選挙における保守党の圧勝を受け、 他市場とのバリュエーション格差は縮小に転じ始める可 能性があると考えます。

一方、グローバル株式については、注目している指標によ ると、投資家はより慎重な姿勢で投資に臨むべきであるこ とが示唆されています。ヒストリカル・ボラティリティが超低 水準から上昇しているため、市場の変動に備えて保険を 掛けるためのオプション購入のコストが上昇しています。

英国以外で魅力的だと考える唯一の市場が新興国です。 新興国の経済成長見通しは引き続き先進国を上回りま す。また、域内のインフレ圧力は落ち着いており、多くの国 で過去20年平均を下回ります。更に、新興国企業は、ド ル安の進行と、中国の金融、財政両面の景気刺激策か ら恩恵を享受することが期待されます(図表7参照)。

債券: 新興国資産の魅力は高まる

債券セクターの大半は、尋常とは言えないほど割高に思 われるかもしれませんが、新興国債券には価値が認めら れます。

こうした投資評価の根底にあるのは複数の要因です。
1つ目の要因は、新興国の消費者物価が沈静化している ことです。実際に、新興国と先進国のインフレ格差は何年 間も縮小基調を辿っており、域内各国の中央銀行が、こ の先、追加緩和を行うことを可能にしています。 新興国政府には、インフレ急騰の可能性を減じるために、 慎重な財政政策を講じる傾向が見られます。
2つ目の要因は、新興国債券の実質利回りが先進国債 券を300ベーシスポイント(3%)近く上回り、一段の価格上 昇余地を示唆していることです。両債券の利回り格差の 長期平均は150~200ベーシスポイント(1.5~2%)です。
3つ目の要因は、新興国通貨がドルに対して割安な水準 に留まっている(ように思われる)ことです。ピクテでは、 2020年中のドル安の進行を予想しており、特に現地通貨 建て新興国債券の押し上げ要因になると考えます。


今後の運用方針

ピクテが算出する世界の景気先行指数は長期トレンドを 下回っているものの安定してプラス圏を維持しています。 先進国の景気先行指数は製造業を中心に依然マイナス 圏にあるものの、米国では堅調な労働市場に支えられ景 気の改善が示唆されている他、欧州においてもドイツで輸 出受注の改善が期待され景気底打ちの兆しが見られ始 めています。その為、世界経済全体の見通しとしては慎 重ながらも楽観的な見方をしています。

地政学リスクを巡っては、英総選挙で与党・保守党が勝 利し投資家心理の改善に寄与したものの、離脱後の移行 期間を延長しない動きもあり、引き続き注視する必要が あると考えます

。一方で、米中貿易協議で第一段階の合 意に至ったとの発表は新興国の景気先行指数の改善に 大きく寄与しており、新興国市場における投資機会を創 出することが期待されます。

また金融政策については、米連邦準備制度理事会 (FRB)や欧州中央銀行(ECB)がハト派姿勢を堅持する 中、中国でも2020年1月に追加の金融緩和が期待され ており、概ね良好な状況だと考えています。こうした中、株式のバリュエーションは上昇したものの、債 券の割高感が相対的に強いことから、ポートフォリオでは 株式の組入れを引き上げています。

株式部分では、特に金融セクターなどの一部の景気敏感 セクターが割安に推移している為選好しています。英国 株式も相対的に高い利回りが期待されることから注目し ています。また、米中貿易協議の進展期待の高まりなど を背景に新興国株式の投資妙味も高いものとみていま す。

債券部分では、引き続き先進国国債やクレジットが割高 に推移する中、相対的に割安感のある米国国債(物価連動)に注目していきます。また、新興国通貨が依然とし て割安に評価されていることなどから、新興国債券を選 好するスタンスも維持します。

金についても、有効な分散投資ツールとしての保有価値 を高く評価しています。

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