広がる新型コロナウイルスへの懸念、機動的な運用を継続 | ピクテ投信投資顧問株式会社

広がる新型コロナウイルスへの懸念、機動的な運用を継続

2020/02/18アルテ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

世界経済の景気先行指数は引き続き安定的に推移していますが、新型コロナウイルスの感染拡大による経済的な影 響に注意が必要であると考えます。その為、当ファンドでは日本株式や欧州株式、新興国株式など、市場感応度の高 いポジションを中心に株式の組入れを大幅に削りました。今後は、現状のリスク水準を維持しながらも、機動的な運用を 継続する方針です。

1月の投資環境と運用状況

世界の株式市場は月初、中国人民銀行による預金準備率の引き下げなどがプラス要因となった一方、米国によるイラン革命防衛隊司令官殺害や米ISM製造業景況指数の悪化などがマイナス要因となり、上下する動きとなりました。その後、米国とイランの対立懸念が早期に後退したことや、米中貿易協議の第1段階合意が署名に至ったことなどを背景に中旬にかけては上昇基調となりました。下旬に入ると新型コロナウイルスの感染拡大懸念が広がったことで下落に転じました。

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界経済への悪影響が意識されたことから、世界の国債市場は大幅に上昇(利回りは低下)しました。

ドル・円為替市場は、米国がイランの司令官を殺害したことで中東情勢が緊迫したことや、中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済への懸念が高まったことから、円高・ドル安が進行しました。

当ファンドの基準価額動向をみると、2019年年初来以降緩やかながらも上昇基調が続いています(図表1参照)。

こうした流れは2020年以降足元(2020年2月14日)までも継続しています。2020年1月単月をみると、月後半の新型コロナウイルスの感染拡大懸念などを受けて世界の株式市場は全体的に低調な動きとなりました(円換算ベース)。
こうした中、当ファンドにおいては、株式の組入比率を引き下げ、より慎重な投資スタンスで臨んだことなどもあり、新興国株式や日本株式などに比べると下落幅は小幅に抑えられました(図表2、3参照)。

主な投資行動: 株式の組入比率を引き下げ

中東情勢を巡る不透明感や新型コロナウイルスの感染拡大懸念が高まったことなどを受けて、株式の組入れを大幅に削減し、債券やキャッシュに資金をシフトしました(図表4参照)。

株式部分では、欧州株式のコール オプションを手仕舞うなどして欧州株式の組入比率を引き下げた他、市場感応度が相対的に高いアジア(除く日本)株式や日本株式などを一部売却しました(図表5の①~③)。新興国株式についても、より外部環境に左右されにくく、成長力のある銘柄に資金を集中させるなどしました(同④)。加えて、ESG(環境・社会・ガバナンス)が長期的な投資テーマとして注目されるとの見方から、世界環境関連企業株式を新たに組入れました(同⑤)。

債券部分では、米国を中心に長期または超長期の国債を買い増すことで、デュレーションを長期化し、ポートフォリオの金利感応度を高めました(同⑥)。また、リスク調整の観点から新興国債券を一部売却しました(同⑦)。

基準価額の変動要因: 株式の下落が響き全体でも小幅マイナス

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に対する懸念を背景に投資家心理が冷え込む中、債券、オルタナティブが基準価額に対しプラスに寄与した一方、株式がマイナスに寄与し、全体としては小幅にマイナスとなりました。

株式部分は全般にマイナス寄与となりました(図表5の⑧)。欧州株式(除く英国)および新興国株式のマイナス寄与が大きくなりました。債券は、市場センチメントがリスクオフに傾倒する中で主に先進国国債が大きくプラスに寄与しました(同⑨)。

株式:価値(バリュー)の追求

世界の株式市場では高値更新が相次いでおり、2020年1月の市場でも、MSCI全世界株価指数およびS&P500種株価指数が最高値を更新しました。その結果、株式には僅かながら割高感が出始めており、新型コロナウイルスによる経済への打撃を巡る懸念が強まる中、バリュエーションの正当化が困難さを増しています。

こうした環境では、成長株(グロース株)よりも割安株(バリュー株)の魅力が強いと考えます。セクターでいうと、金融セクターなどで割安感が強い一方、一般消費財・サービスセクターなどには割高感があると考えます。同セクターは、これに加えて新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるサブ・セクターもあるため、注視が必要です。

また、地域市場の中では、引き続き、英国市場の投資妙味が強いと考えます。国内政局が安定さを増していることに加え、英国市場には高いインカム収益を提供する能力があるからです。FT100株価指数の配当利回りは4.7%前後とS&P500種株価指数(1.8%)の2倍以上に達します。

米国株式との比較では、ユーロ圏株式も魅力的です。(株式リターンがリスクフリー・レートをどれだけ上回るかを予測する)リスク・プレミアムは、米国株式がドイツ株式を大きく下回ります。ドイツ経済は、ここ数ヵ月、米中の貿易摩擦を受け低迷してきましたが、先行きを楽観させる根拠が見受けられます。欧州域内の消費活動は、小売売上高が前年比2%強、住宅ローンの伸びが過去最高を更新する等、堅調です。また、ドイツの景況感にも改善が見られます。景況感に続いて、(経済の実績を集計して発表される)ハードデータが、ピクテの予想通り改善するならば、ユーロ圏の株式市場は恩恵を受けることが期待されます。

米国株式は、ほぼ全ての指標で見て割高です。(株価収益率(PER)を利益成長率のコンセンサス予想で除した)PEGレシオは、史上最高を更新していますが、これは、ほぼ4標準偏差に相当する上昇だったことになります(図表6参照)。

 

ただし、米国は国内経済に力強さが回復する可能性があること(住宅ローン金利の低下を受けて住宅活動が回復しつつあることに加え、住宅以外の不動産投資に回復の初期の兆しが見られることなど)が先行きを期待させるほか、FRBによる金融緩和、企業業績が予想以上に底堅いことなどはプラス要因であると考えます(図表7参照)。

 

債券: より防衛的な資産の組入れ

グローバル経済の見通しは、中期的には楽観的ですが、短期的には慎重な姿勢を維持しており、従って、ディフェンシブ性の強い防衛的な資産を保有し続けることが重要と考えます。

米国国債については、新型コロナウイルスの感染拡大による経済的な打撃に備える保険になると考えます。

もっともこのようなポジションは主に短期戦略に基づくものです。中期的な観点では、債券市場の中でも新興国債券等の相対的にリスクの高いセクターが有望だと見ています。新興国債券は利回りが魅力的であることに加え(図表8参照)、ピクテのモデルは最大で25%前後、新興国通貨が過小評価されていることを示唆しています(図表9参照)。
ピクテが予想する新興国通貨の反発は、現地通貨建て新興国債券の投資家にとってはリターンの主要な源泉となるはずです。通貨の上昇は、過去10年のトータルリターンの25%を占める場合もあったからです。

中国元建て債券は特に魅力的です。今月後半以降、JPモルガンの代表的な債券指数であるGBI-EM指数への組入れが予定されており、世界2位の債券市場の国際化が試されることになります。中国元建て中国国債は、組入れ上限の10%に達するまで、10ヵ月以上をかけて徐々に指数に組入れられることになっています。

先進国社債は、引き続き、組み入れを回避します。2019年には2桁のリターンを記録したものの、今年は苦戦が予想され、国債との利回りスプレッドは、2018年の最も縮小した水準から拡大しています。米国国債の利回り曲線(イールドカーブ)は、社債市場の中でも相対的にリスクの高いセクターの債務不履行(デフォルト)率が、向こう5年で現状の2倍の水準に上昇し、6%に迫ることを示唆しています。

また、金については引き続き注目資産です。金は、伝統的に、経済活動鈍化の可能性に備える保険機能を提供します。また、低位の実質金利が金価格を下支えします。実質金利の低下が金価格の上昇をもたらすわけですが、足元、米国5年国債のインフレ調整後利回りは-0.7%前後と7年ぶりの低水準に留まります。

今後の運用方針

世界経済の景気先行指数は引き続き安定的に推移していますが、短期的には新型コロナウイルスの感染拡大による経済的な影響に注意が必要であると考えます。

米国では、良好な消費者信頼感や上向きな住宅市場などを背景に景気先行指数は改善傾向にあります。ユーロ圏でも、依然として貿易や関税などを巡る不透明感が残るものの、製造業を中心に底打ちの兆しがみられます。金融政策に目を向けても、欧米の主要中央銀行が金融緩和策を継続しており、概ね良好な状況だと考えています。
一方、足元で安定していた中国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、短期的な不透明感が急速に高まりました。金融、財政両面からの景気下支え策が期待されるものの、当面は警戒する必要があると考えます。

こうした環境の下、債券は割高に推移し、株式の投資妙味が相対的に高い状況が継続しています。

当ファンドでは、足元で大きく株式の組入れを引き下げましたが、当面は現状のリスク水準を維持する方針です。

また、株式部分では、財務体質が健全なクオリティ株式を選好する他、欧州株式や英国株式についても、バリュエーション水準が魅力的であることなどから注目しています。一方で、これまで選好していた新興国株式は、新型コロナウイルスの影響が見極められるまで、積極的にリスクをとることは控えるものとします。

債券部分については、先進国国債の割高感が一段と上昇しました。しかし、リスク資産下落時のヘッジ効果が期待されることから、相対的に利回りが高い米国国債を中心として、一定程度の保有を継続する方針です。また新興国債券については、引き続き割安に推移しているものの、新興国株式と同様、当面は動向を注視します。

金についても、有効な分散投資ツールとしての保有価値を高く評価しています。

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