新型コロナによる恐怖相場、選別的な投資でリスク耐性を強化 | ピクテ投信投資顧問株式会社

新型コロナによる恐怖相場、選別的な投資でリスク耐性を強化

2020/03/18アルテ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

新型コロナウイルスの感染が世界に広がる中、世界経済の先行き不透明感が急速に高まりました。こうした中、当ファンドでは、景気敏感セクターを中心に株式の組入れを削減し、ポートフォリオのリスク量を低減しました。債券部分でも米国超長期国債を買い増すなどしてデュレーションを長期化し、ポートフォリオのリスク耐性を強化しています。

2月の投資環境と 運用状況

世界の株式市場は月前半、中国人民銀行による大規模な資金供給が好感された他、中国における新型コロナウイルスの感染拡大が鈍化の兆しを見せたことなどを受け、高値圏での推移となりました。しかし月後半は、米アップルが新型コロナウイルスの影響で売上見通し達成が難しいと発表したことや、新型コロナウイルスの感染者が世界各国で増加し世界経済の先行き懸念が高まったことから、急落し月間でも大幅な下落となりました。

一方で世界の国債市場は、世界経済の先行き不透明感が高まったことや投資家心理が急速に悪化したことなどを受けて、大幅に上昇(利回りは低下)しました。

ドル・円為替市場は、新型コロナウイルスの感染拡大が世界的な広がりを見せたことで一時的に円高・ドル安が進行する局面もありました。しかし月を通せば、米国経済の堅調さや日本経済への懸念などから、円安・ドル高が進行しました。ユーロ・円為替市場は、月初は軟調なユーロ圏の経済指標を受け円高・ユーロ安が進行しました。月後半は日本での新型コロナウイルスの感染拡大などを受けて円安圧力が強まり、月を通せば小幅な動きとなりました。

当ファンドの基準価額動向をみると、これまで2019年年初来以降、2020年2月半ばまでは緩やかながらも上昇基調が続いてきました。しかし、足元では、新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて、世界の金融市場が大きく変動するなか、当ファンドの基準価額も下落となっています(図表1参照)。

こうした市場環境下、当ファンドにおいては、株式の組入比率を引き下げ、より慎重な投資スタンスで臨んだことなどもあり、主要株式資産に比べると下落幅は小幅に抑えられました(図表2、3参照)。

 

主な投資行動: 大幅に株式の組入比率を引き下げ

資産配分については、新型コロナウイルスの世界的な拡大懸念を受けて、株式の組入れを大幅に削減するなどしました(図表4参照)。

株式部分では、新型コロナウイルスの問題でサプライチェーンに影響が出やすいことや、中央銀行による下支え策が期待しにくいことなどを背景に、日本株式や欧州株式の組入れを引き下げました(図表5の①、②)。

その一方で、世界環境関連株式や金鉱山株式(ETF)などについては、買い増しを行いました(図表5の③、④)。

債券部分では、英国長期国債や米国長期国債先物を全売却し、米国超長期国債先物や米国超長期国債(物価連動)に資金を振り向けました(図表5の⑤)。また、新興国債券(現地通貨建て)を売却するなどしました(図表5の⑥)。

基準価額の変動要因: 株式のマイナスが 響き全体でも小幅マイナス

新型コロナウイルスの感染拡大懸念を背景としたリスクオフの流れから、株式が基準価額に対しマイナスに寄与した一方で、債券はプラスの寄与となりました。株式部分では、世界的に株安が進行したことから、全般にマイナス寄与となりました(図表5の⑦)。

債券部分では、投資家心理の悪化やFRB(米連邦準備制度理事会)に対する金融緩和期待などから先進国国債がプラスに寄与しました(図表5の⑧)。

株式:防衛姿勢を強化

新型コロナウイルスは対象を選ばぬ無差別攻撃を行うかもしれず、誰が感染するかはわからないとしても、すべての市場や業種セクターが一律に影響を受ける公算は小さいと思われます。

地域市場には、供給網(サプライチェーン)の分断リスクが十分に織り込まれていないと考え、ユーロ圏株式や日本株式について組入比率を引き下げました。

新型コロナウイルスの今後の展開や感染のスピードが見通せないことを勘案すると、投資には慎重な姿勢で臨むことが極めて重要だと考えます。

ユーロ圏と日本は、中国とイランを除くと、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が相対的に高いと考えます。経済が低迷している上に、中央銀行には、金融政策の発動余地が殆ど残されていないためです。(2020年3月2日時点の)世界の主要政策金利は、FRBのFFレート誘導目標が1.50~1.75%であるのに対し、欧州中央銀行(ECB)の主要リファイナンス・オペ金利は0%、日本銀行の超過準備預金金利は-0.1%です。

一方、新興国の金融当局は、先進国に先んじて、新型コロナウイルス対策としての利下げを行っています(図表6、7参照)。
中国政府は、米国政府や欧州各国政府よりも積極的な封じ込め策を講じているように思われますが、景気対策についても、金融・財政両政策の併用や銀行システムへの直接支援を通じて欧米以上に積極的な対策を講じており、景気浮揚に成功する公算が高いと考えます。
こうした状況が、金融危機時の中国市場の強い抵抗力を説明しています。MSCI中国株価指数が年初来3月2日までで-2%の下落に留まる中、全世界株価指数は3倍以上の下げを記録しています。

業種セクターでは、資本財・サービス・セクターの脆弱さが際立つように思われます。マクロ経済リスクに晒されている上に、個別企業には、既に、サプライチェーン分断の影響が現れています。

債券:割高な安全資産

債券市場の指標とされる米国国債利回りは史上最低水準で推移し、30年国債利回りは史上初の2%割れを記録しています(図表8参照)。一方、FRB議長が自ら示唆した通り、新型コロナウイルスがパンデミックの様相を呈して世界中に広がる脅威は追加緩和の確率を大きく引き上げています(3月3日に米国は0.5%の利下げを実施)。先回の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は、「中国で発生した新型コロナウイルスの想定される波及効果が経済の先行きに新たなリスクをもたらしている」と警告しています。

米国の政策立案者には、政策発動の余地が残されています。1970年以降の金融緩和局面の分析に基づいて試算すると、生起確率は極めて低いと考えられるものの、景況が急速に悪化した場合、FRBには、150ベーシスポイント(1.5%)の利下げと3兆ドルを上限とする資産買入の必要があるとみています。

一方、景況が悪化する局面での社債投資は特にリスクが高いと思われます。投資適格債および非投資適格債の国債とのスプレッドは、企業利益あるいは債務不履行(デフォルト)率が悪化するリスクを投資家が取ったとしても、リスクの対価をもたらしません。状況を更に悪化させているのが、社債市場の信用の質の悪化基調です。経済協力開発機構(OECD)は2月公表の報告書で、投資適格債の中で最も信用力が低いBBB格の社債が2018年以降に発行された社債全体の半分以上を占める状況に警告を発しています。このことが示唆するのは、将来の景気の悪化が過去の信用市場の動揺時以上にデフォルト率を上昇させ得るということです。

加えて、ハイ・イールド債券をはじめ企業のレバレッジは上昇基調で、金融セクターを除く社債の発行残高はGDP(国内総生産)比47%と過去最高水準に達しています。この点も今後、景気後退が長引いた場合には社債市場の中でも相対的に信用リスクの高いセクターのデフォルト(債務不履行)リスクが高まることが想定され、注視が必要と考えます(図表9参照)。

金価格は7年ぶりに高値を更新していますが、中国国外で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、需要の増加が見込まれます。英国王立造幣局は、金の延べ棒と金コインの需要の伸びが、ここ数日、500%に迫っていることを報告しています。また、2月の金市場へのネットの資金流入は30億ドルを上回ります。

金と米国国債は割高感が強いとしても、新型コロナウイルスが経済や金融市場に及ぼす影響を回避したいと考える投資家の買いを阻止することは出来ないと考えます。

 

今後の 運用方針

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、短期的な世界経済の不透明感が急速に高まっています。こうした中、我々は新型コロナウイルスの問題が長期化するシナリオは想定しておらず、感染源である中国経済は2020年第2四半期以降は回復することを基本シナリオとして見込んでいます。
ただし、他の地域では時間差を伴って影響が顕在化してくる恐れがある為、一段の下振れリスクも視野に入れて動向を注視します。金融政策については、より緩和的になることが期待されますが、政府による財政政策とも併せて、内容や規模を見極める必要があると考えます。

こうした環境下、バリュエーションの観点からは債券に対して株式の投資妙味が高まっています。株式部分では、より選別的な銘柄選択が必要であると考えており、環境関連やハイテク関連の長期的な成長テーマを持つ銘柄を選好する一方で、景気敏感なセクターや新型コロナウイルスの問題で影響が出ている銘柄については、慎重なスタンスを継続します。新興国株式については、魅力的なバリュエーション水準ですが、短期的な新型コロナウイルス問題の影響が懸念される為、ポジションを解消しています。

債券部分では、世界の国債は一段と割高感が強まっています。しかし、米国国債などについては、世界経済が下振れした際のヘッジ効果も期待されることから、一定の保有を継続する方針です。
新興国債券については、現地通貨建て債券より米ドル建て債券を選好します。

(なお、3月15日にFRBは2回目の緊急利下げを行い 現時点での米国の政策金利は0%~0.25%となっています。)

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