機動的な運用を継続、荒れ相場で戦術的投資機会を捕らえる | ピクテ投信投資顧問株式会社

機動的な運用を継続、荒れ相場で戦術的投資機会を捕らえる

2020/04/21アルテ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

世界経済の大幅な落ち込みが懸念される中、株価などが大きく調整しましたが、各国で大規模な金融・財政政策が打ち出されている他、短期的に投資家心理にも持ち直しの兆しが見られており、当ファンドでは慎重かつ選別的に株式の組入比率を前月の水準から引き上げています。しかし、今後も不安定な環境が予想されることから、機動的な運用を継続する方針です。

3月の投資環境と 運用状況

世界の株式市場は、欧州や米国で新型コロナウイルスの感染者が急増する中、世界経済や企業業績への影響が懸念されたことに加え、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国が追加減産で合意できず、原油価格が急落したことで、エネルギー株を中心に下げ幅を拡大する動きとなりました。下旬には米国で2兆ドル規模の景気刺激策が成立するなど、各国政府や中央銀行による対応への期待から上昇基調となりましたが、月間では大幅な下落となりました。

一方、世界の国債市場は、月半ばには、財政支出拡大観測や、流動性を求める動きから売られる局面もありましたが、月後半に米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が緊急措置として、国債購入の増額や流動性供給策を公表したことなどから上昇(利回りは低下)し、月を通しても上昇(利回りは低下)しました。

ドル・円為替市場は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への懸念が世界的に強まったことや、産油国の間で減産合意に至らず原油価格が急落したことなどからリスク回避姿勢が強まり、円高・ドル安が進行しました。
ユーロ・円為替市場は、イタリアやスペインなど欧州での新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化したことや、ユーロ圏諸国が景気下支えのための財政拡大策に消極的だったことから、円高・ユーロ安が進行しました。

当ファンドの基準価額動向をみると、これまで2019年年初来以降、2020年2月半ばまでは緩やかながらも上昇基調が続いてきました。
しかし、その後、3月後半にかけては新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて、世界の金融市場が大きく変動するなか、当ファンドの基準価額も下落しました。足元では、3月23日を底に反発の兆しもみられています。こうした変動の大きい市場環境下、当ファンドにおいては機動的なアロケーションの変更によって、下落局面では下値リスクの低減、反発局面ではその恩恵を享受すべく努めました。

主な投資行動: 大幅に株式の組入比率を引き下げ

不安定な市場環境の下、機動的にアロケーションの見直しを行いました。

月初、市場変動率が急騰したことを背景に、株式と債券間の相関が上昇し分散効果が見込みにくい環境だった為、キャッシュを多く保有することでポートフォリオの下値リスクを調整しました。その後、各国が大規模な金融・財政政策を発表したことや、株式が株価調整を受けて割安感が強まったこと、投資家心理が持ち直したことなどを勘案し、株式の組入れを月末にかけて積み上げました。また、株式部分では、ヘルスケア関連銘柄が多いスイス株式先物を購入(図表5の①)した他、日米欧の主要株価指数先物(同②)などを購入しました。一方で、世界ディフェンシブ株式の組入れを削減しました(同③)。

債券部分では、米国超長期国債(物価連動)の組入れを大幅に削り(同④)、中長期の米国国債に資金を振り向ける(同⑤)ことで、デュレーションを短期化しました。また、世界投資適格社債を新たに組入れるなどしました。一方で、新興国債券(ドル建て)は不安定な相場環境が予想されることから組み入れを引き下げました(同⑥)。

オルタナティブ部分では、世界不動産を一部売却しました(同⑦)。

 

基準価額の変動要因: いずれの資産もマイナス寄与

このような環境下、当ファンドはいずれの資産もマイナスとなり、基準価額のマイナス要因となりました。株式部分では、全体的にマイナス寄与となりましたが、配分比率の高い世界株式の寄与が特に大きくなりました(図表5の⑧) 。債券部分では、米ドルの強い需要を背景とした流動性の低下などが懸念されたことなどを受け、新興国債券(ドル建て)のマイナス寄与が大きくなりました(同⑨)。また、オルタナティブ部分では、世界不動産が大きくマイナス(同⑩)に寄与しました。

株式:防衛的な投資姿勢の維持

グローバル株式には割安感が見られ、過去20年強の期間で最も割安な水準に留まる銘柄も散見されます。MSCI世界株価指数の株価収益率(PER)は、2月19日に付けた21倍から、3月25日には15倍に低下しています。

こうした水準がどれほど魅力的かは、投資期間次第です。株式市場によって提供される、安全資産利回り(リスクフリー・レート)を上回る超過収益を予測する株式リスクプレミアムは、総じて、過去最高水準近辺に留まることから、株式は債券と比較すると、長期投資家にとっては、かつてないほど魅力的であることが示唆されます。ピクテのモデルは、今後5年の米国株式の実質リターンが年率平均7.5%となり、米国債券の-3.5%を大きく上回ることを示唆しています。

もっとも、短期的な観点からすると、足元の状況には、より繊細な対応が必要です。新型コロナウイルスの感染拡大との戦いに勝利する時期が分からないからですが、政策立案者は、どれほどの経済的な打撃に対処しなければならないかがわかっていません。

世界の企業は、今後の景気後退(リセッション)局面で利益に大きな影響を受けます。ピクテのGDP見通しに基づいて試算すると、2020年の米国の企業利益は、少なくとも10%の落ち込みが予想されます。

地域別では、引き続き、新興国を選好します。新型コロナウイルスによる経済的な打撃が先進国よりも小さく、4-6月期中にも経済成長が見込まれるからです。中国経済は、既に、回復し始めているように思われます。

一方、欧州および米国は、ニュートラルを維持します。バリュエーションは、既に、最も確率の高い景気予測を反映していると考えるからです。足元の株式のバリュエーショ ンの変化が世界のGDP成長率の3~4%の縮小に相当することを示唆しています。

業種セクターでは当然ながら、市場全体を上回るリターンを確保したヘルスケア・セクターは注目されます。また、テクノロジー・セクターの下げも相対的に見て小幅に留まりました。在宅勤務、SNSやオンラインショッピング、3Dプリンターの利用等、企業の従業員や消費者が従来以上にテクノロジーを利用しているだけでなく、(ネットベースで)手元資金を確保するテクノロジー関連企業が、業界統合の進展を背景に高水準の利鞘を維持する公算が大きいからです。世界経済が減速し、銀行の貸し渋りが続く状況では、当セクターの優位性が更に強まるものと考えます。

一方、一般消費財サービス・セクターは、新型コロナウイルスの労働市場への影響が明らかになるにつれて、恐らく、最も大きな打撃を受けることが予想されます。また、割高感が払拭されていません。

債券: 高格付け債(投資適格債)の先行き改善

リスクは急速に拡大しているものの、投資の好機も同様であることが、社債市場に注目する投資家に示されています。米国市場では、投資適格債の先行きが幾分ながら明るさを増しています。FRBの資産買入プログラムが一部の社債にも適用され、市場の下支えとなることが予想されるためです。

米国投資適格債の(米国国債に対する)利回り格差(利回りスプレッド)は、米国企業(発行体)の利払い能力を巡る懸念が強まって、1月末以降拡大し350ベーシスポイント(3.5%)以上の水準まで達していましたが(図表7参照)、FRBが、高格付け企業に限定して、2つの企業支援策(緊急信用供与枠および社債買入のための特別目的会社の設定)を講じたことから、スプレッドは、今後数ヵ月、縮小基調を辿ることが予想されます。

ユーロ圏の状況も同様で、ECBも量的緩和の対象に社債を含むこととしています。従って、米国およびユーロ圏の投資適格債については先行き見通しが改善したと考えています。社債市場の中でファンダメンタルズの改善が見られるのは投資適格債セクターに限られることについては注意が必要です。

投資適格債とは対照的に、ハイイールド債は、近い将来、もう一段の売りに晒される公算が大きいように思われます。企業(発行体)のバランスシートを弱体化させる恐れのある景気の減速に対する保険として、十分な利回りスプレッドを提供していない場合が殆どだからです。今後デフォルト率が高まる可能性もあり注意が必要です(図表8参照)。

投資適格債とは異なって中央銀行の支援が得られないことから、米国ハイイールド債およびユーロ・ハイイールド債を取り巻く脆弱な状況は変わりません。米国およびユーロ圏のハイイールド債市場には、足元の利益で年間の利払いコストを賄うことの出来ないゾンビ企業が増す一方です。国際決済銀行(BIS)によると、ゾンビ企業は世界の企業全体の5~10%に達しています。米国の非投資適格債は、エネルギー企業の比率が高いため、とりわけ脆弱です。原油価格の急落を受けて利益に強い下押し圧力がかかるエネルギー企業は、米国ハイイールド債指数の15%強を占めています。従って、米国ハイイールド債、ユーロ・ハイイールド債ともに、警戒が必要であると考えます。

一方、現地通貨建て新興国債券は、引き続き魅力があると考えています。新興国の中央銀行が相次いで追加緩和策を講じていることから、短・中期債利回りは、大幅な低下が見込まれます。今回のグローバル危機の目立った特徴として注目されるのは、新興国の中央銀行が先進国の中央銀行と同様の非伝統的な施策を講じていることです(図表9参照)。

今後の 運用方針

多くの国や地域が都市封鎖に踏み込む中、経済活動が広範囲で落ち込んでおり、世界経済がリセッションに陥る蓋然性が高まっています。また、大幅な企業業績悪化懸念も台頭しており、株価は大きく調整しました。こうした中、我々は上半期における世界の景気後退は世界金融危機(リーマン・ショック)よりも深刻な水準を見込んでいますが、下半期に回復することを基本シナリオに据えています。

また、新型コロナウイルスの影響は依然として不透明感が強いものの、大規模な金融・財政政策が多く打ち出されており、景気後退が長期化するリスクの低減や、金融市場の安定化に寄与するものとみています。

また、バリュエーションの観点からは、株価調整などを背景に株式の債券に対する割安感が一段と高まりました。こうした状況を鑑みて、株式の組入れを戦術的に引き上げていますが、機動的なポートフォリオの見直しが必要であると考えています。また、株式部分では、引き続き選別的な銘柄選択が必要であると考えており、環境関連やハイテク関連の長期的な成長テーマを持つ銘柄を選好します。
一方で、景気敏感セクターや新型コロナウイルスの問題で影響が出ている銘柄については、割安に推移しているものの慎重なスタンスを継続します。

債券部分では、足元のクレジット・スプレッドの急拡大で割安感が強まっていることや、主要中央銀行による下支えも期待されることから投資適格社債などに注目していきます。新興国債券(ドル建て)については、短期的には市場の脆弱性が指摘されることなどから動向を注視しています。 金については引き続き高い分散効果が期待されることから保有を継続します。

 

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