バイオ医薬品株式の状況、新薬承認とM&Aの動き | ピクテ投信投資顧問株式会社

バイオ医薬品株式の状況、新薬承認とM&Aの動き

2017/07/21バイオ毎月
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ポイント

年初来、バイオ医薬品関連株式は米国株式を上回る上昇率となっていますが、大手バイオ医薬品関連企業の株価収益率(PER)は依然として米国株式を下回り、過去と比較しても低水準にあります。このような状況の中、新薬の承認やM&Aの動きは継続すると見られており、引き続きバイオ医薬品関連株式の動きが注目されます。

 

年初来でナスダック・バイオテック指数は17.1%上昇

バイオ医薬品関連株式の代表的な指数であるナスダッ ク・バイオテック指数は、年初から2017年6月30日まで に+17.1%上昇しており、同期間の米国株式(S&P500 種)の+8.2%上昇を大きく上回る上昇率となっています (図表1参照)。

特に2017年6月はバイオ医薬品関連株式が大きく上 昇しました。米国のトランプ大統領が進めている薬価改 定の取り組みの中で、製薬業界に対する規制が比較的 緩やかなものにとどまるとの見方がメディアの報道で示 されたことや、良好な治験結果の発表などを背景にが ん治療薬を開発する複数のバイオ医薬品企業に対す るM&A(合併・買収)期待が高まったこと、大手証券会 社が代表的なバイオ医薬品企業のひとつであるバイオ ジェン(米国)の投資判断を引き上げたことなどが、バイ オ医薬品関連株式上昇の要因となりました。

記載の指数はあくまでも参考指数であ り、特定のファンドの運用実績を示すものではありません。また、データは過 去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではあり ません。

 

米国株式と比べ、大手バイオ医薬品関連 企業のPERは依然として割安な水準に

年初来で株価が大きく上昇しているバイオ医薬品関連 企業ですが、株価収益率(PER)の水準は歴史的に見 ても割安な水準にあります。

大手バイオ医薬品関連株式のバリュエーションを S&P500種バイオテクノロジー指数の株価収益率 (PER)で見ると、2017年6月30日時点のPERの水準は 16.5倍と1993年11月以降の中でも最低に近い水準に 位置していることがわかります(図表2参照)。また現在 は、米国株式(S&P500種株価指数)の21.5倍を下 回っていますが、1993年11月以降で見ても、PERが米 国株式を下回って推移した期間は今回を含めて4回し かありません。

 

記載の指数はあくまでも参考指数であ り、特定のファンドの運用実績を示すものではありません。また、データは過 去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではあり ません。

過去、PERが低水準になった後、 株価は大きく反発

1993年11月以降の実績をみると、2017年6月30日現 在の大型のバイオ医薬品関連株式のPERの水準は 16.5倍ですが、PERが15~20倍の水準をつけた後、株 価は2年間で平均90%上昇していました(図表3参照)。

記載の指数はあくまでも参考指数であ り、特定のファンドの運用実績を示すものではありません。また、データは過 去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではあり ません。

新薬の承認、M&Aは継続

過去の水準からみて割安な水準にある大手バイオ医 薬品関連株式ですが、2015年半ばにかけてバイオ医 薬品関連株式の上昇の背景となっていた、新薬の承認 と新薬候補の臨床試験/研究開発の進展、バイオ医薬 品企業をターゲットとしたM&Aの動きについては、今後 も継続するものと考えます。

 

2017年の新薬承認件数は、半年で2016 年を上回る

新薬の承認件数については、2017年は6月23日現在 で23件の治療薬が承認されています(図表4参照)。 2016年は22件と、前倒し承認されたことなどが影響し 2015年に比べ大幅減となりましたが、2017年について は、半年間で2016年の件数を上回る早いペースとなっ ています。

2017年1月には、トランプ大統領はセルジーンやアム ジェンなどのバイオ医薬品企業を含む大手製薬企業の 経営陣と会談しましたが、その席でトランプ大統領は、 同時に新薬の承認プロセスの迅速化を確約しています。 また、2017年5月には新薬承認手続きの簡素化を提 唱してきたスコット・ゴットリーブ氏が米食品医薬品局 (FDA)長官に就任したことも、新薬の承認プロセス迅速 化に対する期待を高めています。

 

記載の指数はあくまでも参考指数であ り、特定のファンドの運用実績を示すものではありません。また、データは過 去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではあり ません。

 

M&Aのための十分な資金をもつ大手医薬 品企業

既存の主力薬が特許切れに直面している大手医薬品 企業や、特定の主力薬への依存が高い大手バイオ医 薬品企業は、将来にわたって業績の成長を実現するた めに、有望な新薬候補(パイプライン)を充実させる必 要があり、M&Aの動きが継続しています。

先進国の代表的な株価指数であるMSCI先進国株価指 数のうち、ヘルスケアセクターに分類される企業は131 社ですが、この131社が保有する「現金・現金同等物お よび短期投資」は、約4,369億ドル(約48兆円)(2017 年5月末時点集計注1)にのぼります。また代表的なバイ オ医薬品の株価指数であるナスダック・バイオテック指 数の構成銘柄のうち、時価総額上位20社が保有する 「現金・現金同等物および短期投資」は、約763億ドル (約8兆4,000億円) (2017年5月末時点集計注1)と なっており、大手のバイオ医薬品企業についても、有望 なパイプラインを持つバイオ医薬品企業を買収する力 があると言えます。

 

米トランプ政権のレパトリ(資金還流)減税 がM&Aを後押しする可能性

また米トランプ政権によるレパトリ減税がM&Aの動きを 後押しする可能性があります。レパトリ減税とは、米国企 業が海外に滞留させている未課税利益(海外留保利 益)を米国内に還流する際にかかる税金に対する減税 措置になります。現行では米国では、海外での利益に 対しても35%の法人税が課せられることから、多くの米 国企業は海外で稼いだ利益を海外に留保しています。 この額は推定で2兆6,000億ドル(約290兆円)と言わ れており、減税措置が決定した場合は多くの資金が米 国に還流することが予想されています。

主要米国企業の海外保有現金の業種別内訳をみると、 ヘルスケアセクターは情報技術(IT)セクター(32%)に 次ぐ23%の比率を占めています(図表5参照)。

また企業別の海外保有現金をみても、ファイザーやメ ルクなどの大手医薬品企業やアムジェンやギリアド・サ イエンシズなどの大手バイオ医薬品企業など多くのヘル スケア企業が上位となっています(図表6参照)。

現時点では、トランプ大統領が提案している税制改革 案については、今後、議会での審議を控えており、その ままの内容で可決されるかどうかは不透明です。 しかし、レパトリ減税の法案が可決されれば、企業は M&Aにあたっての資金計画をたてやすくなることから、 金額の大きなM&Aが成立する可能性が高まると考えら れます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。

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