地球温暖化の脅威で加速する巨額の環境政策投資~公益に恩恵か | ピクテ投信投資顧問株式会社

地球温暖化の脅威で加速する巨額の環境政策投資~公益に恩恵か

2020/09/08グロイン
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ポイント

欧州委員会は欧州グリーンディール投資計画で1兆ユーロの投資を発表、英国では温室効果ガス排出を実質ゼロとする法案が成立、米国ではバイデン大統領候補が2兆ドルのクリーン・エネルギー投資を掲げるなど、地球温暖化の脅威で環境への取り組みが加速しています。この流れは、公益企業にとって追い風です。その理由は?

2050年までに温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す政策が進展、巨額の政策投資も

欧州では、欧州連合(EU)として2050年に、温室効果ガス排出が実質ゼロとなる「気候中立」を達成するという目標を掲げてます。2020年1月14日には、欧州委員会は「欧州グリーンディール投資計画」を発表し、今後10年間に欧州投資銀行を主軸として官民合わせて少なくとも1兆ユーロの投資を目指すとしています。

英国でも、2019年6月に主要国のなかでいち早く、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする法案が成立しています。

米国では、2020年11月の米大統領選の民主党の大統領候補、バイデン前副大統領が7月14日に、クリーンエネルギー経済を実現するための4年で2兆ドル(約214兆円)の投資計画を発表しました。

風力、太陽光を中心としたクリーンエネルギー発電へのシフトが加速

二酸化炭素排出量に占める電力をはじめとした公益事業関連の割合はおよそ4割で、次いで自動車などの運輸関連が24%と続きます(図表1参照)。

 

現在、世界の電力の発電源は二酸化炭素を大量に排出する石炭を中心とした火力発電の割合が多くなっています。このため、二酸化炭素排出量削減のために火力発電から二酸化炭素を排出しない風力や太陽光などクリーンエネルギーによる発電に発電源を大きくシフトしていく必要があります。

二酸化炭素排出ゼロに向けて必要とされる投資のおよそ半分近くが、風力や太陽光を中心としたクリーンエネルギーとこれらを拡充するために必要不可欠な送配電線網への電力関連の投資に向けられると予想されます。

国際エネルギー機関(IEA)は電力関連の年間設備投資が2040年には対2018年比で+375%増加すると予想しています。(図表2参照) 

風力、太陽光を中心としたクリーンエネルギー投資拡大とコスト低下で収益性拡大

石炭などの火力発電からクリーンエネルギー発電への移行と投資拡大は、電力料金の基礎となる資産の増加につながり利益増要因となると考えられます(5頁参照)。また、技術革新・設備の大規模化により、既に、太陽光や風力などのクリーンエネルギーによる発電コストは大幅に低下し、コスト面でも従来型の火力発電などと比べて優位性が高まっており、補助金や政府の支援にもはや頼る必要がなくなってきています(図表3参照)。ガソリン車に代わる電気自動車の普及は、電力需要拡大の一因にもなると見込まれます。こうした環境は、クリーンエネルギーを拡大する公益企業の収益に大きくプラス寄与するものと考えられ注目しています。

クリーンエネルギー投資拡大による環境への取り組みはESG投資においても注目

ESGはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス、企業統治)をさします。ESGは、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという観点で普及してきています。二酸化炭素の排出量が多くないか、環境汚染をしていないか、再生可能エネルギーを使っているかなどの取り組みは、Environment(環境)においての評価を高め注目されるとも考えます。当ファンドでは、銘柄選別にESG評価を取り込み重視しています。投資している企業へのエンゲージメント活動(企業との対話)を通じて、クリーンエネルギーへのシフトへの働きかけなどを行っています。

再生可能エネルギーや送電線事業を推進する企業

欧州の電力、総合公益企業のなかでは特に、イタリア電力公社(イタリア、電力)、イベルドローラ(スペイン、電力)、RWE(ドイツ、総合公益事業)、ポルトガル電力公社(ポルトガル、電力)などをはじめとした風力や太陽光などの再生可能エネルギーを推進している企業やナショナル・グリッド(英国、総合公益事業)などの送配電事業を所有している企業などに注目しています。次頁以降で欧州で温室効果ガス実質ゼロに向かって、再生可能エネルギーの推進の先駆者でイタリア最大の電力会社、イタリア電力公社と、再生可能エネルギーの拡大に不可欠な電力送電線網の拡充を行う英国の総合公益企業、ナショナル・グリッドをご紹介します。

ピクテでは、オンラインで、10月15日(木)にイタリア電力公社とナショナル・グリッドを招いてピクテ・グロイン・スペシャル・オンラインセミナーを開催予定です。

投資対象企業例: イタリア電力公社(イタリア、電力)

【会社概要】

総合電力・ガス販売会社。電力輸送および貯蔵サービスも手掛ける。再生可能エネルギー事業に強み。

世界各地で再生可能エネルギーをはじめとした事業を展開

【注目ポイント】

良好な2020年1-3月期決算を発表し、通期予想を継続。欧州の送電線や再生可能エネルギー事業中心の規制下事業は、需要変化や電力価格の影響を受けにくい業態。

欧州グリーン・ディールの恩恵を受けると考えられる企業のうちのひとつ。

同社は再生可能エネルギーの発電容量を2019年から2022年まで30%(年率9.3%)の拡大を計画。

 

 

 

 

投資対象企業例: ナショナル・グリッド(英国、総合公益事業)

【会社概要】

英国イングランド、ウェールズで送電網、英国全土でガス供給網を保有・運営するほか、米国北東部でも送電網を保有・運営。

【注目ポイント】

同社は2050年に向けて二酸化炭素排出量ゼロの目標を掲げる。2020年には対1990年比70%の削減を達成。(図表参照)

風力や太陽光発電の拡大は送配電網の拡充が不可欠。世界的な脱炭素化による送配電網の需要拡大の恩恵が期待される。

 

 

 

風力や太陽光などのエネルギーは天候に左右され、これまでは供給が不安定なことが問題でしたが、蓄電池のコスト低下や拡充、双方向の送電網によって、これまでより安定した供給が可能になりつつあります。また、電気自動車の普及も送配電網の必要性を高めます。このため、送配電網は温室効果ガス排出実質ゼロの実現に向けて欠かせないインフラとなります。 ナショナル・グリッドは送電線網事業に強みを持っており、再生可能エネルギーの拡大にともなって事業拡大が期待されます。

風力、太陽光などのクリーンエネルギーへの  シフトは公益企業の利益増要因に

一般的に世界の規制下の電力事業では、どれだけ利益をあげていいかは各国・地域の規制当局によって決められています。

規制下の電力料金をはじめとした公共料金の計算方法は複雑で国や地域によって異なりますが、単純化すると、料金は発電施設の資産価値(レートベース)に対して一定の利益を確保する算定レート(自己資本利益率(ROE)などが元になる)を掛けて、燃料費などのコストをプラスして設定されます。このため、設備投資を拡大し、発電施設の資産価値が増加すればするほど、増益要因となる仕組みになっています。

 

一般的な家庭の電力料金100ドルを例に簡略化して示してみると(下図参照)、 一般的家庭が電力料金を現在100ドル払っているとします。 その内訳をみると、①燃料費の45ドルをはじめとした実際の費用部分が85ドルです。この85ドル部分はそのまま価格転嫁するため電力会社の儲けになりません。これに、②レートベースつまり電力の料金算定の基礎となる資産価値に利益率、ROEを掛けて算出される15ドルが会社の利益です。これを上乗せしたものが現在の電力料金の100ドルとなります。電力の料金算定の基礎となる資産価値は新しい施設が増えるほど増加し、古い施設が増えると、減価償却が進むことで資産価値が減少します。

火力から風力、太陽光などのクリーンエネルギーに50%移行したとする場合を簡略化した例で表します(下図参照) 。これらのエネルギーは燃料費はかからないので、全体の燃料費は45ドルから22ドルに低下するとします。一方、新しい設備、資産が増えるので、利益が6割増え24ドルになります。つまり、企業の利益が増加しながら、燃料費の減少により、合計の電力料金は100ドルから90ドルへと10%低下することになります

 

火力から風力、太陽光などのクリーンエネルギーへのシフトでは、電力料金の低下が期待でき、消費者は満足するため、政治圧力などで規制当局が料金の値下げを要求するような事態になりにくく、一方、企業側も利益が増加が期待でき、好循環が生まれ易い環境となることが期待されます。

 

 

 

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