新興国のリスクへの「耐性」、「バーナンキ・ショック時」と比較 | ピクテ投信投資顧問株式会社

新興国のリスクへの「耐性」、「バーナンキ・ショック時」と比較

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ポイント

様投資家がリスク回避の動きを強める中、新興国の中でも特に経済のファンダメンタルズがぜい弱とみられる国の株式・通貨の下落率が大きくなっています。特に、当ファンドの投資対象となる労働人口増加国はファンダメンタルズがぜい弱とみられる国が多いことなどから、足元の基準価額の下落幅が大きくなっています。2013年のバーナンキ・ショック時と今の新興国のファンダメンタルズの状況を比較し、新興国のリスクへの耐性を検討しました。

リスク回避の動きの強まりなどを背景に 株・通貨ともに下落

米国の保護主義的な通商政策をめぐる懸念に加えて、米国の長期金利・米ドルの上昇により債務負担増や輸入インフレ率上昇などへの懸念、さらには各国の政治情勢などを受けて、投資家はリスク回避の動きを強めています。

こうした中、新興国の中でも特に経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)がぜい弱とみられる国の株式や通貨の下落率が大きくなっています(図表1、2参照)。

例えば、ブラジルは、経常赤字国であり、また、債務残高が拡大していることなどで経済のぜい弱性が懸念されるほか、10月の大統領選挙などを控えた政治的な動きや、経済改革の進展が懸念されることなどから、株式・通貨ともに下落率が大きくなっています。

マレーシアは、5月の総選挙で事前予想に反して、61年続いた与党連合体制が敗れ、野党連合が勝利しました。それにより誕生した新政権は、政府債務が従来公表されていた値を上回ることを明らかにするなど、債務問題が深刻化するとの懸念が高まったことなどから、下落率が大きくなっています。

また、南アフリカやメキシコ、インドは新興国株式市場の平均(図表1の「新興国」)に比べて下落率が小幅に留まっていますが(2018年4月27日~6月25日、現地通貨、配当込みベース)、経常赤字国であり、比較的経済のファンダメンタルズがぜい弱とみられやすい国とされます。

このほかにも、アルゼンチンやトルコなども株式・通貨の下落率が大きくなりました。

図表1:2018年4月末以降の主な株式市場動向 期間:2018年4月27日~2018年6月25日、図表2:2018年4月末以降の主な対円レート 

 

当ファンドのパフォーマンスについて

当ファンドは、新興国の中でも潜在的な経済成長力が高いと期待される労働人口増加国の株式に投資を行っています。

2018年5月末時点のファンドの組入国をみると、南アフリカ、ブラジル、インド、メキシコ、マレーシア、トルコなどとなっており、新興国の中でも経済のファンダメンタルズがぜい弱とみられる国が多くなっています(4ページ目のご参考参照)。

中長期的には、若い労働力が所得を増加させ、消費を拡大することなどにより、相対的に高い成長が期待できる国ではあるものの、足元のような市場のリスク回避局面では、現状の経済のファンダメンタルズのぜい弱性などが注目され、こうした市場から投資資金を引き揚げる動きが強まり、株式・通貨が下落する傾向が加速しています。

こうした市場の流れを受けて、当ファンドの基準価額は足元で新興国株式市場の平均に比べて下落幅が大きくなっています(図表3参照)。

2013年の「バーナンキ・ショック」時に 起こったこと

2013年5月、当時の米連邦準備制度理事会のバーナンキ議長が量的緩和の縮小、引き締めを行う方針であると発言したことを引き金として、世界的に金融市場が動揺しました。このとき、米国の資金供給量が絞られる懸念から、米国債が売られ長期金利が急上昇しました。
こうした事態は、比較的リスクが高いとみられる新興国から資金を引き揚げる動きを加速させ、特に、経済のファンダメンタルズがぜい弱な国が大きな影響を受けました。

新興国を、主な経常黒字国(相対的経済のファンダメンタルズが底堅いとみられる国とする)と経常赤字国(相対的に経済のファンダメンタルズがぜい弱とみられる国とする)に分けて、株価の動き(米ドルベース)をみると、バーナンキ・ショック後、経常黒字国については相対的に影響が軽微であったのに比べて、経常赤字国の下落率は相対的に大きくなりました。
その後の反発局面(ここでは、経常赤字国の株価のボトムから1年後:期間:2013年8月末~2014年8月末とする)の上昇率は、経常赤字国が経常黒字国に比べて大きくなりました(図表4参照)。

足元の新興国株式市場では、貿易摩擦問題、米国の金利上昇、各国の政治的問題などリスク要因が複合的に存在しており、過去との比較を単純に行うことは困難ですが、外的要因としての米国の金利上昇(懸念)による影響の例として、この2013年のバーナンキ・ショック時の株価の動きは参考になると考えられます。

【2013年と足元の経済状況比較】
現時点では世界的な景気見通しは引き続き堅調に推移するとみられ、新興国各国についても、概ね、過去数年間に比べて、成長率は高まることが見込まれています。
また、経済成長の不安定要因ともなりうる、インフレ率については、新興国各国の通貨安による輸入物価上昇懸念はあるものの、足元の水準はメキシコやトルコなど2ケタのインフレ率となっている国を除けば概ね穏やかな水準にあります。
さらに、経常収支については、2013年に比べて、足元では赤字幅が縮小するなどの改善がみられる国もあり、特に資源国では原油・商品価格の堅調な推移が今後の経常収支の改善にも寄与すると予想されます(図表5参照)。

【2013年と足元の外貨準備状況比較】
また、通貨危機に対する「耐性」をみる上で、外貨準備の状況も注目されます。

新興国の資産から資金を引き揚げる動きが続き、通貨下落が加速した場合、その国の企業や金融機関は外貨の調達が困難となり、海外投資家が資金を回収できなくなる恐れがありますが、こうした最悪の場合に、最終手段としてその国の中央銀行が最期の貸し手として外貨準備を使う可能性があるためです。

外貨準備の状況を、対短期債務比および輸入カバー率の2つの指標(短期債務、輸入額の金額をどの程度外貨準備がカバーしているか、をみる指標)からみると、2013年に比べて、直近では改善のみられる国も多くみられます(図表6参照)。また、悪化した国についても、短期的に危機的状況に陥るような水準にはないと考えられます。

【2013年と足元の財政状況比較】
金融市場の混乱などにより実体経済が下振れした場合、財政政策などで対応する余地があるかも重要です。

ここでは、財政政策の余地として、各国の財政状況についてみると、2013年に比べて足元はメキシコやインド、マレーシアで財政赤字幅の改善がみられる一方、ブラジルやアルゼンチンなどでは財政赤字が拡大しています。

ブラジルの財政赤字は、2003年以降の左翼・労働者党のルラおよびルセフ政権時代におこなわれたバラマキ政治の影響ともいわれています。中道の現テメル政権下で財政再建を進めようとしているものの、不可欠とみられる年金改革は頓挫し、10月の大統領選挙で改革を強力に推進しようとする勢力が政権を握れるかについても、先行きは不透明です。

政府債務の大きさについては、2013年に比べて拡大しているものの、危険的な高水準にある国は少ないと考えられます。ただし、マレーシアについては前述のように足元で隠れ政府債務の存在などが示されており、実際の債務負担は図表7で示された水準より大きくなる懸念もあります(図表7参照)。

【2013年と足元の債務状況比較】
新興国では特に2008年のリーマン・ショック以降、債務が膨張していることが指摘されており、足元で米国の金利上昇を引き金に返済負担の増加などが懸念されています。

ここで言及するデット・サービス・レシオは、対外債務返済額(元本および利払いの合計支払い額)を輸出額(対外収入)で割ることで示される比率であり、外国からの借入金に対する返済能力を測る指標の1つとして用いられます。

足元で多くの新興国の返済能力は悪化(デット・サービス・レシオは上昇)しています。中でも、ブラジル、アルゼンチン、インドネシア、トルコなどは、一般に警戒ラインといわれる20%超の水準にあり、今後の動向に十分注視すべき点と考えられます(図表8参照)。

また、民間債務の増加も懸念されていますが、こちらについては、特に中国がリーマン・ショック後の大型景気刺激策の後遺症とも言われ、民間債務の対GDP比率は飛びぬけて高水準です。中国当局も債務圧縮に向け、理財商品の規制強化などや不採算部門における債務再編のための株式化などを進めています。

労働人口増加国でも、民間債務は大幅ではないものの、膨張している国が多く、金利上昇による負担がより大きくなる可能性があることはリスク要因と考えられます(図表8参照)。

 図表3:当ファンドの設定来の基準価額と 新興国株式の株価推移 日次、期間:2017年12月29日~2018年6月25日、図表4:2013年のバーナンキ・ショック前後の新興国の主な経常黒字国と主な経常赤字国の株価比較 月次、期間:2012年12月末~2014年8月末

図表5:経済成長見通しとインフレ率、経常収支の比較、図表6:外貨準備の状況比較、

クテ投信投資顧問作成 図表7:財政状況比較、図表8:債務状況比較

今後の動向にも 注視が必要

当ファンドの投資対象国である、労働人口増加国は、中長期的には相対的に高い経済成長が期待される一方、経済のファンダメンタルズが相対的にぜい弱であるために、市場のリスク回避局面では特に下落率が大きくなる傾向があります。

こうした国々で債務負担が増加している点などは懸念されますが、景気先行き見通しやインフレ状況、外貨準備などは2013年のバーナンキ・ショック時に比べて改善がみられる国も多いとみられます。

いずれにせよ、足元の新興国を取り巻く様々なリスクは、今後も当面、新興国の株式・通貨の値動きを大きくする可能性が残されており、各国の経済・政治動向等には十分注視していく必要があると考えます。

【ご参考】当ファンドの国別組入比率 2018年5月末時点、【ご参考】設定来のパフォーマンス推移 日次、期間:2017年4月28日(設定日)~2018年6月25日 

 

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。)

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