再び「成長」を取り戻せるか、岐路に立つブラジル | ピクテ投信投資顧問株式会社

再び「成長」を取り戻せるか、岐路に立つブラジル

2016/05/23IFブラジル
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

2015年年末にかけて大きく下落したブラジル株式市場は、2016年に入って原油・商品価格の持ち直しや政権交代期待などを背景に一転して大幅上昇となりました。今後、さらなる株価の上昇には企業業績の改善や、経済立て直しに向けた様々な改革が実行されていく必要があると考えられ、今後の政治・経済、企業業績動向には注目です。

2016年に入って急上昇したブラジル株式

2014年年末以降のブラジル株式は大きく上下する展開となりました。2015年年初にかけては原油・商品価格の上昇などが追い風となり上昇基調を辿りましたが、その後、2015年年末にかけては最大の貿易相手国である中国における景気減速懸念や原油・商品価格の下落などを受けて、景気低迷が深刻化するとの見方や財政悪化懸念に加えて、国営企業であるブラジル石油公社(ペトロブラス)の汚職問題を巡る政治的混乱や米国の利上げ時期を巡る見方などがマイナス材料となり、株価は大きく下落しました。2016年に入って、原油・商品価格に持ち直しの兆しが見られ始めたことに加えて、ルセフ大統領が2014年の大統領選挙前に社会保障関連の予算を不正操作したとして野党が弾劾請求をしたことを契機に、弾劾手続きが進み、政権交代した場合、喫緊の課題である経済や財政の立て直しが進むとの期待の高まりなどから、大きく上昇に転じました(図表1参照)。※ここ最近のブラジルの政治動向については2頁目をご参照ください。

今後の注目点は?企業業績見通し、政策見通し

足元では2016年以降の株価急上昇を受けて、バリュエーション(投資価値評価)水準もまた急上昇したことや、 5月12日に上院においてルセフ大統領の弾劾裁判設置が賛成多数で可決したことで、ルセフ大統領は停職となり、今後の政策動向の様子見姿勢などから足元のブラジル株式市場には一服感が見られます。また、米国の追加利上げ時期を巡る見方なども重石となっています。

予想株価収益率(PER)をみるとブラジル株式市場全体では2016年4月末時点で13.2倍と過去10年間の平均(10.9倍)を上回り、また、新興国株式平均(11.8倍)を上回る水準に達しています。しかし、特に株価や業績面で変動率が大きいエネルギーおよび素材セクターの企業を除いたブラジル企業の予想PER水準をみると、過去10年間の平均をやや下回る水準にあり依然として割高感はありません(図表2参照)。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

しかし、今後もブラジル株式市場が持続的に上昇基調となるには、企業業績の本格的な改善が待たれます。 12ヵ月先予想1株あたり利益水準をみると、足元では若干のモメンタムの改善の兆しもみられます(1頁目の図表3参照)。過去数年間にわたって大きくモメンタムが悪化してきたエネルギーと素材セクターの企業については特に回復余地が大きく、足元の原油・商品価格の持ち直しなどが追い風となると考えられます。

また、ルセフ大統領が停職し、テメル副大統領が大統領代行に就任し暫定政権が発足しています。8月以降に上院でルセフ大統領の弾劾の最終的な採決が行われるとみられますが、弾劾が可決すればテメル大統領代行が正式に大統領に昇格する見通しです。テメル大統領代行の出身政党であるブラジル民主運動党(PMDB)はより改革志向の産業界寄りの政策を提唱しており、こうした改革が議会で支持され実行されていけば、長年、成長の足かせと言われてきたいわゆる「ブラジル・コスト」(複雑で負担の大きい税制、労働・雇用関連の過剰な優遇措置、インフラ不足による流通コスト高など)が低減し、時間は要するとみられますが再び「成長」が期待できる国となる可能性もあります。

いずれにしても、今後のブラジルの政治・経済、企業業績動向には注視していくことが重要であると考えます。

~ご参考~
ルセフ大統領の弾劾手続き進展、暫定政権の政策動向にも注目
2016年5月12日、ブラジル上院はルセフ大統領の弾劾手続きの継続を賛成多数で可決しました。ルセフ大統領の停職により大統領代行となったテメル副大統領による政策動向に注目が集まっています。

ブラジル上院:弾劾手続きの継続について賛成多数で可決

2016年5月12日、ブラジルの上院はルセフ大統領に対する弾劾手続きの継続について賛成多数(賛成55、反対22)で可決しました。弾劾手続きの継続が決まったことで、ルセフ大統領は最大で180日間の停職となり、大統領の職務はテメル副大統領が代行することになります(図表4参照)。今後については、上院で弾劾裁判が開催され、上院の3分の2(54議席)以上の賛成により、ルセフ大統領は失職することになります。

テメル氏は同日、就任後初の記者会見を行い、失業者が1,100万人に達し、物価上昇率もほぼ2桁という経済状況に危機感を表明、暫定政権を「救国」のための政府と位置づけました。テメル氏は早速組閣に取り組み、財務相にエンリケ・メイレレス前ブラジル中銀総裁を任命しました。

どこに注目すべきか:弾劾手続きと暫定政権の動向

ルセフ氏の弾劾手続きの継続の賛成が55となり、弾劾裁判での最終的な可決に必要な54議席を上回ったことから、ルセフ氏の失職が視野に入ってきました。

今後について、テメル氏率いる暫定政権がブラジル経済を回復できるかどうかに焦点をあてると、次の点に注目が必要と考えます。

まず、組閣の顔ぶれです。この点ではプラスの期待もあります。例えば、財務相に任命されたエンリケ氏は今後、財政健全化など市場に歓迎される政策を打ち出す可能性があり、市場に一定の期待が見られます。ただし、他の閣僚ポストは未定の部分も多く、最終的な評価は今後の決定を見る必要があります。

次に、暫定政権のまとまりです。テメル氏の政策ですが、報道などからは、省庁をスリム化し、民間部門の活動余地を広げる意向があるように思われます。このような政策はブラジルの構造問題である高コスト解消への期待という点で市場は前向きに評価する可能性はあるといえます。特に、社会保障制度の赤字が予算編成のネックとなる中、例えば社会保障省の今後の動向などが注目点となるかもしれません。

そこで暫定政権が構造改革に一枚岩で取り組めるかどうかが重要なポイントになると見られます。議会ではルセフ大統領弾劾に反対したテメル氏に対する抵抗勢力が存在する上、暫定政権の中でも足並みが揃わなければ、かえって政治混乱が深刻化する懸念も考えられる点に注意が必要です。

暫定政権の動向を占う上で、財政目標策定の動きに注目しています。テメル暫定政権は2016年財政目標(プライマリーバランス(基礎的財政収支)の対GDP(国内総生産)比率:現行は0.4%)を早急に策定する必要がありますが、過去、議会では財政目標の策定に手間取っており、暫定政権が一枚岩で動けるかどうかの試金石となりそうです。

ルセフ氏の弾劾手続きは今後も混乱する局面があるかもしれませんが、最終的に上院で弾劾が可決される可能性が高いとみられます。ただし、ブラジル経済の本格的な回復のためには、弾劾手続きの進展だけでは不十分であり、暫定政権が取り組むべき課題は多くあるものと考えられます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

当資料をご利用にあたっての注意事項等

当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、投資信託説明書(交付目論見書)等をお渡ししますので必ず内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

ページの先頭へ戻る