インド株式市場を取り巻く懸念と今後の見通し | ピクテ投信投資顧問株式会社

インド株式市場を取り巻く懸念と今後の見通し インド アジア 新興国

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ポイント

2018年のインド株式市場は、インドの政治情勢や経済動向に加えて、貿易戦争や米国の金融政策動向などの世界的な要因などを受けて低調な動きとなりました。足元ではこれらの懸念は後退、解消の兆しもみられており、今後のインド株式市場にとってプラス材料となると期待されます。中長期的には、豊富な労働力を擁していることなどを原動力に高い経済成長が見込まれ、これを受けて、インド株式も相対的に好リターンが見込まれるとの見方に変わりありません。

様々な懸念の影響を受けた 足元のインド株式市場

インドは、世界第2位の経済大国である中国をも上回る経済成長力が見込まれています。こうした背景の一つには、労働人口が豊富で、こうした人々が所得を伸ばし、消費を拡大していることなどがあります。先進国や中国などと異なり、インドは当面、生産年齢人口(主に15~64歳)の増加が見込まれており、こうした人口動態の面での優位性が今後も中長期的な成長をもたらすものと期待されています。

このような高い成長見通しを背景に、インドの株式市場も中長期的には相対的に高い上昇率が見込まれると考えられます。しかし、短期的には、国内外の様々な懸念を受けて、下落する局面もあるとみられます。
2018年年初以降のインド株式市場の推移をみても、新興国株式全体と同様に低調な動きとなりました(図表1参照)。

最近のインド株式市場を取り巻まく懸念 ①総選挙の行方

まずは、2019年4月から5月にかけて予定されている総選挙を巡る不透明感などがあると考えられます。

2014年の総選挙で勝利したモディ首相(インド人民党)は、その後様々な改革を実施し、依然として課題は残るものの、市場ではその手腕が評価されていました(図表2参照)。 しかし、改革は「痛み」を伴うものであり、特に、モディ政権の政策で恩恵を受けにくかった農村部での不満は高まっていました。
こうしたこともあり、2018年12月初めに実施された地方選挙においてマディヤ・プラデシュ州、ラジャスタン州、チャッティスガル州の3州で野党国民会議派が第一党となったほか、テランガナ州とミゾラム州では地域政党が過半数を獲得するなど、与党インド人民党が全敗する結果となりました。

2019年の総選挙は、モディ現政権にとっては厳しい戦いとなることも懸念されますが、現時点でピクテでは、モディ首相が再選されることをメインシナリオとして考えています。ただし、与党インド人民党が単独過半数を獲得できず、他政党との連携による連立政権の可能性はあります。モディ首相が続投となれば、「改革」の継続に対する懸念が後退し、インド株式市場にとってポジティブな材料となるでしょう。

一方、モディ首相率いるインド人民党が政権の座を奪われた場合でも、改革は進捗ペースが遅くなったとしても、進むとみています。多くの有権者は構造改革を求めています。選挙で勝利したどの政党もその民意を無視することはできないとみています。

最近のインド株式市場を取り巻く懸念 ②経済のファンダメンタルズのぜい弱性

2018年の株式市場において、米国の利上げや米ドル高などを受けて、新興国の中でも特に経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)のぜい弱な国から資金が引き揚げられるとの懸念が高まりました。

インドも、財政・経常収支とも赤字(双子の赤字)を抱えており、経済のファンダメンタルズのぜい弱性が懸念された国のひとつとして、インド株式・通貨ルピーの押し下げ要因となりました。

また、インドは原油の輸入国であり、原油高も響き経常赤字が拡大しました。

足元のインドの予算収支は対GDP比で約3.4%の赤字となっています。この水準は、2014年(同約4.6%の赤字)からは改善していますが、政府目標(同約3.2%の赤字)には届きません。2019年2月に示された2019/2020年度予算案では総選挙に向け「選挙対策」的な、農家の所得支援や中間層の税負担軽減などが盛り込まれ、短期的に赤字額が拡大する恐れもあります。ただし、当局は、その後は同3%程度の赤字に落ち着くとの見通しを示しています。

一方、経常赤字については、足元では対GDP比で約2.5%の水準にあり、コントロール可能な水準にあると考えています。また、足元では原油価格は一時期に比べると、低下しています。また、米金融当局は利上げの一時休止を示すなどより柔軟な金融政策となっていることなども、インドの経常赤字に対する懸念を和らげるものと期待されます。
インドの経常赤字は、高い成長や改革への期待などを背景に海外直接投資(図表3参照)の流入拡大などがカバーしている状況です。足元の短期的な懸念が払拭されていけば、海外からの資金フローにも追い風となるものと期待されます。

 

最近のインド株式市場を取り巻く懸念 ③インフレへの懸念は?

モディ政権が誕生して以来、高い成長を実現しつつも、原油価格の安定や、インド準備銀行(中央銀行)による物価安定重視の政策運営などもあり、インドのインフレ率は概ね落ち着いた水準にありました。ただし、こちらも、短期的には、昨年の前半のように原油価格が急騰する局面などもあり、インフレが経済成長の足かせになるとの懸念が浮上することがあります。

前述の通り、原油価格は昨年に比べると低下し安定しつつあるようです。この点は、インドのインフレ上昇への過度な懸念の後退につながると考えられます。 さらに、足元のインフレ率が落ち着いていることなどから、利下げの可能性もあるとみており、景気の下支えになると期待されます。

最近のインド株式市場を取り巻く懸念 ④貿易戦争の影響は?

足元では米中の通商協議の進展期待が高まるなど、楽観的な見方も台頭していますが、2018年においては米トランプ政権の保護主義的な通商政策が、米中を中心とした貿易戦争につながり、世界的な懸念材料となりました。

インドは、米国向けの輸出のみならず、貿易全体でも国内総生産(GDP)に占める割合は依然として小さく(例えば、輸出では約11%程度、2017年)(図表5参照)、世界的な貿易戦争によっても、影響を受けにくいポジションにあると考えられます。
仮に、米国が中国からの輸入を制限し、他国・地域を輸入先として求め多様化を図る動きが強まれば、インドはその恩恵を受ける可能性もあると考えられます。

インドの経済見通し: 主要国の中でも高い成長が見込まれる

これまで好調なマクロ環境が続いてきただけに、このペースを維持できるか動向を注目する必要があると考えます。しかし、前述の通り、足元の安定的な原油価格の動向がインフレを抑制し、加えて、これまでの通貨ルピー安などもあり、経常赤字は縮小することなども期待され、インド経済にとってはプラス材料になると考えられます。

国際通貨基金(IMF)の見通しでは、2018年にはインドは中国の成長率を上回るものと見込まれており、今後についても、成長ペースの加速が見込まれています(図表6参照)。

この背景には、インドは1人あたりGDP(図表7参照)などの観点からみると、主要新興国の中でも低水準であり、今後の伸びしろが大きいと考えられています。また、人口動態の観点からも、今後も生産年齢人口の増加が見込めるなど優位性がある状況です。圧倒的に豊富な労働の担い手が所得を増加させ、消費が拡大することで、経済成長をけん引すると見込まれます。

 

インド株式市場の見通し: 高い成長率を反映していくものと期待

前述の通り、短期的にも相対的に高い経済成長率が見込まれていることに加えて、中長期的にも構造的な成長が期待できる分野が数多く存在しているといった潜在力を反映して、インド株式市場は中長期的には相対的に高い成長が見込まれるとの見方には変更がありません。

ただし、高い成長性に対する期待などから、インド株式のバリュエーション(投資価値評価)水準は、過去平均を上回る水準にあるなど割高感も否めません(図表8参照)。 2018年に株価が相対的に低調となった中小型銘柄については、それまでの過熱感が解消され、バリュエーション(ここでは予想PER)水準は低下しています。

このようにバリュエーション水準の過熱感が解消したとみられる銘柄の中には構造的な成長が期待できる銘柄も多く存在しており、中長期的にみると投資の好機となる可能性もあると考えられます。銘柄を十分選別することが重要となるでしょう。

中長期的には、個別企業のファンダメンタルズに注目した厳選投資で好リターンを

当ファンドでは、中長期的に成長が期待できるインド株式の中でも特に個別企業のファンダメンタルズに注目した厳選投資を行っています。2019年2月末時点の当ファンドのポートフォリオの状況をみると、より確信度の高い銘柄に絞込み、26銘柄に投資を行っています。

短期的には国内外の様々な懸念の台頭などにより、値動きが大きくなる可能性があることは、今後も十分に留意する必要があると考えますが、中長期的にみれば、当ファンドのように個別企業のファンダメンタルズをしっかりと調査し、質の高い企業を厳選して投資を行う手法は、市場平均を上回るリターンの源泉になると考えており、今後も、こうした投資手法に徹していく方針です。

当ファンドと同様の運用戦略をとるピクテのインド株式運用戦略のパフォーマンスを過去10年間と長期でみると市場平均を上回るリターンを実現しました(【ご参考】参照)。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。 

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