ファンドマネジャーからのメッセージ~2019年9月~ | ピクテ投信投資顧問株式会社

ファンドマネジャーからのメッセージ~2019年9月~ インド アジア 新興国

※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

インド経済は昨年のノンバンク危機を経た後、足元では自動車販売の減速などをはじめ景気減速懸念が高まっています。しかし、こうした景気減速により、長年の懸案事項の解消や優良企業にとっては追い風となる「プラス」の副作用などもあると考えられます。インドは豊富な労働人口、巨大な国内市場を抱え、中長期的には高い成長力を有しているとの見方に変わりはありません。

短期的に、 景気減速懸念が高まる

2018年に大手ノンバンク企業が債務不履行に陥ったことなどを受けて他のノンバンク企業や金融機関の信用不安が広がるなどの危機を経て、足元のインド経済は「減速」に直面しています。

特に減速ぶりを顕著に示しているのが自動車販売の動向です(図表1参照)。こうした自動車販売の不振の背景には、自賠責保険料の引き上げや燃料価格の上昇のほか、自動車ローンを扱う金融機関の貸し渋りなども影響しているとみられています。

このように足元のインドのマクロ経済状況は、芳しくはないものの、これには「プラス」の副作用もあると考えられます。

景気減速による 「プラス」の副作用も

「プラス」の副作用と考えられるものの1つ目は、より健全なバランス・シートを有している金融機関(資金の貸し手)にとっては追い風になる状況となる可能性があることです。
銀行やミューチャル・ファンドでは、リスク管理に疑問があるノンバンク企業への資金提供により慎重となっています。こうした傾向は、本質的に健全で保守的な事業展開を行ってきた優良な金融機関にとっては、市場シェアの拡大やより強固なプライシング・パワーの獲得につながると考えられます。

「プラス」の副作用の2つ目は、長年の懸案となっていた、債券市場において妨げとなってきた問題の解消期待です。これまで、インドにおけるクレジット・リサーチや格付けの質は低いものでしたが、これが解消に向かう可能性がでてきたわけです。
2つの格付け会社において各社のCEO(最高経営責任者)は無期限休職の判断が下され、これまで、実体とは異なる高い格付けが付与されていたかなどの調査が行われています。ミューチャル・ファンドでは、格付け機関が付与した格付けに依存せず、クレジット・リスクを評価するために財務状況をより念入りに調査するようになっています。
こうした流れにより、格付け機関とその情報を利用する顧客の双方がより適正なクレジット評価を行うことが期待されます。

優良企業の株式を妥当な価格で 購入する良好な投資機会に

「プラス」の副作用の3つ目は、流動性ストレスが株式市場の調整にもつながっている点です。景気の過熱期においては、多くの企業のオーナーは事業の拡大路線をとっていましたが、いまや、リスクが高い事業計画に対して資金の貸し手を見つけることは極めて困難となっています。一方で、質の高い堅実な経営に徹していた企業はこうした影響を受けていませんが、株式市場全体の調整局面においては、優良企業の株式も売却されることがしばしば見受けられます。

シュリラム・トランスポート・ファイナンスは、トラック向けのハイヤー・パーチェス(買取選択権付賃貸借)事業を手掛ける金融サービス会社です。同社が手がける事業分野は、強力な債権回収能力が求められ、それゆえに競争が少なく、高いリターンが期待できます。

インドのコングロマリット、ピラマル・エンタープライズは過去数年にわたって、シュリラム・トランスポート・ファイナンスに戦略的な投資を行ってきました。ピラマルは不動産ファイナンス事業も傘下に有していますが、この事業はここ最近では極めて流動性がタイトになっています。そこで、保有していたシュリラム・トランスポート・ファイナンスの株式を売却し、資金を確保せざるをえない状況に至りました。

我々投資家側からみると、こうした事態は優れた企業の株式を妥当な価格で購入できる機会ともなります。

米中貿易戦争の激化の影で、 インドは恩恵を受けることができるか?

米中貿易戦争の影響を受けて、製造業のサプライチェーンの状況をみると、明らかに、中国からその他のアジア各国へと移転する動きがみられます。そこで、インドは魅力的な移転先となりうるでしょうか?

この点に関しては今のところプラス材料・マイナス材料が混在しているとみています。サプライ・チェーンはより複雑化・分散化しており、単純に答えが出る問題ではないと考えられます。

しかし、確実な事実として、インドはより安価な労働力を豊富に有し、提供できることに加えて、巨大な国内市場を抱えています(図表2参照)。

ある調査会社によるビジネス環境ランキングにおいて、インドはモディ政権の改革の推進などのおかげで過去5年間で142位から77位まで順位を伸ばしています。

実際に、ポジティブな変化の兆しもみえています。昨年のインドからの電子製品の輸出は前年比で40%近い拡大をみせています。しかし、ベトナム(同ランキングで69位)、インドネシア(同73位)といったライバル国に比べると、まだまだ改善の余地があると考えられます。

今年5月の総選挙で勝利し2期目にはいったモディ政権では、優先政策課題の1つとして労働法の簡素化を掲げており、この点はビジネス環境の改善に役立つものと期待されます。

また、2017年に導入された物品・サービス税(GST)により、それまで州ごとに異なっていた税率で、中央・州と複雑な間接税の体系が一本化されました。これにより、ビジネスの簡素化・コスト削減につながるとされており、企業部門活性化や貿易の促進にもつながると期待されます。

貿易摩擦問題の中で、インドが世界貿易におけるシェアを拡大させるためには、より迅速で的を絞った政策アプローチが必要となるでしょう。そして、それが実現するならば、新たに数多くの雇用の創出につながることでしょう。

今後の見通し: 引き続き質の高い優良企業に厳選投資

当ファンドではインド株式の中でも、個別銘柄に注目し、成長が期待できる質の高い優良企業を厳選して投資を行っています。当ファンドの設定日(2018年4月3日)以降足元までのパフォーマンスをみると、インド株式市場を下回る推移となっていますが、2019年1-3月期には市場平均を上回るパフォーマンスを示しました。
その後、同4-6月期は市場全体の下落とともにマイナスに転じ、下落率も市場に比べてやや大きくなりました。
しかし、7月以降足元(9月5日)までをみると、市場・当ファンドともに下落傾向が続いているものの、当ファンドの下落幅は市場に比べると小幅となっています(図表3参照)。

長期的なインド市場の成長に対するポジティブな見方には変更はありませんが、短期的にはインド株式のバリュエーション(投資価値評価)水準は割高感もあり、引き続き、当面は慎重な投資スタンスで望むことが重要と考えています。ただし、銘柄間ではバリュエーション水準の格差はあり、特に中小型銘柄に出遅れ感があります。株価に出遅れ感のある質の高い経営を行う優良企業の株式については、良好な投資機会ととらえています。

当ファンドの運用においては、引き続きボトムアップアプローチによるファンダメンタルズ(基礎的条件)分析を行い、安定した成長が期待でき、バリュエーション(投資価値評価)に魅力ある企業を厳選する方針です。注目する中小型銘柄については、今後も構造的な成長が期待できる分野の銘柄であり、中長期的な投資スタンスで臨むことが重要であると考えます。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。 

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