2020年3月の基準価額動向と運用方針 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2020年3月の基準価額動向と運用方針

※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

2020年3月のノアリザーブ1年の基準価額は下落しました。新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大する中、株式が急落、債券や金も換金売りから下落しました。資産配分では、債券の組入れを引き下げ、キャッシュや金の組入れ比率を引き上げました。

2020年3月の基準価額は下落

2020年3月31日のノアリザーブ1年の基準価額は、前月末比で-640円の10,704円となりました。同期間の主な変動要因は、株式-450円、債券が-62円、金が-59円、為替が-58円となりました。基準価額は前月末比-5.64%の下落となっています(図表①参照)。

なお、円資産の比率は、為替ヘッジをしている資産の比率を引き下げた一方、キャッシュの比率を高めたことなどから前月末より小幅に上昇し64.2%となりました。

運用方針:割高感が意識される債券から金やキャッシュに資金をシフト

当月の投資行動は、資産配分では、債券の組入れを引き下げ、金やキャッシュなどに資金を振り向けるなどしました。

債券部分では、世界経済の先行き不透明感が高まる中、信用リスクの拡大が意識されることから、短期新興国社債や世界中短期債券、ユーロ建て債券など、社債を含むファンドを売却した他、割高感が意識される優良先進国国債や米ドル建て公共債券などの先進国国債を一部売却するなどしました。また株式部分では、景気敏感な欧州株式を全売却し、長期的な成長が見込まれるデジタル・コミュニケーション関連企業株式やヘルス関連株式を購入するなどしました。

ファンドのリスク(価格変動)は足元、大きく上昇

ノアリザーブ1年の設定来のリスクは、株式等と比較すると相対的に低位に推移してきましたが、新型コロナウイルスの影響で金融市場の価格変動が大きくなる中、上昇しました。(図表②参照)

  

ノアリザーブ1年と主要資産の騰落率

2020年3月は、円ベースで見ると世界的に株式市場が大きく下落、国債市場も軟調な動きとなりました。

このような状況下、ノアリザーブ1年も下落しました。(図表③参照)

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による世界経済の先行き懸念を背景に、株式市場が急落、債券や金も資金確保のための換金売りが出たことなどが影響し値動きが大きくなりました。

  

今後の運用方針~引き続きディフェンシブ性を意識

今後の運用方針については、前月に続き、現状のリスク水準を維持しながらも、ポートフォリオのディフェンシブ性を意識した運用を行っていきます。

欧米を中心に新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、世界経済は一時的にせよ、大幅な落ち込みが懸念されています。これに対して各国は、リーマン・ショック時を上回る金融・財政政策を打ち出しているものの、市場の先行きに対して楽観的になれるものではありません。しかし、これまでの相場下落で株価の割安感が強まっている他、市場心理も相当に悲観的に振れています。こうした状況を総合的に勘案し、株式比率は現状程度を維持しながらも、中国株式やデジタル・コミュニケーション関連企業株式など、相場反転の初期の局面で相対的にリターンに貢献することが期待される戦略への組入れを高める方針です。また、債券は現状のデュレーション水準を維持しながら、信用リスクをやや引き下げる方針です。また、未曾有の金融・財政政策は中長期的にはインフレ要因であることから、金の組み入れ比率は高位に保ちます。

 

引き続き当面の変動については注意が必要

ノアリザーブ1年は、市場環境の見通しに変化がある場合、「円安、インフレに備える局面」、「円高に備える局面」、「金利上昇に備える局面」など市場の様々な局面に応じて資産配分の変更を行います。

新型コロナウイルスの感染拡大の動向や世界経済などについて先行きに不透明感が見られる中、株式や為替市場の変動率が大きくなる可能性があります。市場の動きに配慮しつつ、引き続きバランスの取れたファンド運営を心がける方針です。

株式:防衛的な投資姿勢の維持

グローバル株式には割安感が見られ、過去20年強の期間で最も割安な水準に留まる銘柄も散見されます。MSCI世界株価指数の株価収益率(PER)(実績)は、2月19日に付けた21倍をピーク3月23日には14倍まで低下し、3月31日には16倍となっています(図表2-1参照)。

こうした水準がどれほど魅力的かは、投資期間次第です。株式市場によって提供される、安全資産利回り(リスクフリー・レート)を上回る超過収益を予測する株式リスクプレミアムは、概ね過去最高水準近辺に留まることから、株式は債券と比較すると、長期投資家にとっては、かつてないほど魅力的であることが示唆されます。ピクテのモデルは、今後5年の米国株式の実質リターンが年率平均7.5%となり、米国債券の-3.5%を大きく上回ることを示唆しています。

もっとも、短期的な観点からすると、足元の状況には、より繊細な対応が必要です。新型コロナウイルスの感染拡大との戦いに勝利する時期が分からないからです。政策立案者は、どれほどの経済的な打撃に対処しなければならないかがわかっていません。

世界の企業は、今後の景気後退(リセッション)局面で利益に大きな影響を受けます。ピクテのGDP見通しに基づいて試算すると、2020年の米国の企業利益は、少なくとも10%の落ち込みが予想されます。

地域別では、引き続き、新興国を選好します。新型コロナウイルスによる経済的な打撃が今のところ先進国よりも小さく、4-6月期中にも経済成長が見込まれるからです。中国経済は、既に、回復し始めているように思われます。

一方、欧州および米国は、ニュートラルを維持します。バリュエーションは、既に、最も確率の高い景気予測を反映していると考えるからです。足元の株式のバリュエーション変化が世界のGDP成長率の3~4%の縮小に相当することを示唆しています。

業種セクターでは当然ながら、市場全体を上回るリターンを確保したヘルスケア・セクターは注目されます。また、テクノロジー・セクターの下げも相対的に見て小幅に留まりました。在宅勤務、SNSやオンラインショッピング、3Dプリンターの利用等、企業の従業員や消費者が従来以上にテクノロジーを利用しているだけでなく、(ネットベースで)手元資金を確保するテクノロジー関連企業が、業界統合の進展を背景に高水準の利鞘を維持する公算が大きいからです。世界経済が減速し、銀行の貸し渋りが続く状況では、当セクターの優位性が更に強まるものと考えます。一方、一般消費財サービス・セクターは、新型コロナウイルスの労働市場への影響が明らかになるにつれて、恐らく、最も大きな打撃を受けることが予想されます。また、割高感が払拭されていません。

 

債券:高格付け債(投資適格債)の先行き改善

リスクは急速に拡大しているものの、投資の好機も同様であることが、社債市場に注目する投資家に示されています。米国市場では、投資適格債の先行きが幾分ながら明るさを増しています。FRBの資産買入プログラムが一部の社債にも適用され、市場の下支えとなることが予想されるためです。

米国投資適格債の(米国国債に対する)利回り格差(利回りスプレッド)は、米国企業(発行体)の利払い能力を巡る懸念が強まって、1月末以降拡大し350ベーシスポイント(3.5%)以上の水準まで達していましたが(図表3-1参照)、FRBが、高格付け企業に限定して、 2つの企業支援策(緊急信用供与枠および社債買入のための特別目的会社の設定)を講じたことから、スプレッドは、今後数ヵ月、縮小基調を辿ることが予想されます。ユーロ圏の状況も同様で、ECBも量的緩和の対象に社債を含むこととしています。従って、米国およびユーロ圏の投資適格債については先行きの見通しが改善したと考えています。ただし社債市場の中でファンダメンタルズの改善が見られるのは投資適格債セクターに限られることについては注意が必要です。

投資適格債とは対照的に、ハイイールド債は、近い将来、もう一段の売りに晒される公算が大きいように思われます。企業(発行体)のバランスシートを弱体化させる恐れのある景気の減速に対する保険として、十分な利回りスプレッドを提供していない場合が殆どだからです。今後デフォルト率が高まる可能性もあり注意が必要です(図表3-2参照)。

投資適格債とは異なって中央銀行の支援が得られないことから、米国ハイイールド債およびユーロ・ハイイールド債を取り巻く脆弱な状況は変わりません。米国およびユーロ圏のハイイールド債市場には、足元の利益で年間の利払いコストを賄うことの出来ないゾンビ企業が増す一方です。国際決済銀行(BIS)によると、ゾンビ企業は世界の企業全体の5~10%に達しています。米国の非投資適格債は、エネルギー企業の比率が高いため、とりわけ脆弱です。原油価格の急落を受けて利益に強い下押し圧力がかかるエネルギー企業は、米国ハイイールド債指数の15%強を占めています。従って、米国ハイイールド債、ユーロ・ハイイールド債ともに引き続き警戒が必要と考えます。

一方、現地通貨建て新興国債券は、オーバーウェイトを維持します。新興国の中央銀行が相次いで追加緩和策を講じていることから(図表3-3参照) 、短・中期債利回りは、大幅な低下が見込まれます。今回のグローバル危機の目立った特徴として注目されるのは、新興国の中央銀行が先進国の中央銀行と同様の非伝統的な施策を講じていることです。

 


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