投資戦略~不安定な相場環境考慮し、防衛的投資スタンス強化 | ピクテ投信投資顧問株式会社

投資戦略~不安定な相場環境考慮し、防衛的投資スタンス強化

2019/06/18クアトロ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

合意目前と思われていた米中貿易交渉が突然暗礁に乗上げ、当面は世界の株式市場は下値を探る展開が予想されます。また企業業績にも下方修正リスクがあると見ています。このため、株式は下落局面に相対的に強い戦略を多めとした保守的なスタンスを維持します。債券部分では総じて強気スタンスを維持するものの、目先は一旦利益確定売りを行うことも検討します。

5月の投資実績と市場環境

クアトロの2019年5月31日の基準価額は、前月末比で-56円(-0.52%)の10,765円となりました。 (図表I参照)2019年5月の基準価額変動要因の内訳は、株式-89円、債券+19円、オルタナティブ-18円、先物・オプション+35円などとなりました。

世界の株式市場は、米トランプ大統領が対中関税の引き上げを発表し、中国も報復措置を打ち出すなど、米中通商問題の激化を背景に下落しました。米国が中国の通信機器大手メーカーに対する取引規制を発表したことや、メイ首相が退陣を表明し英国の欧州連合(EU)離脱の先行き不透明感が高まったことも株価の下落要因となりました。業種別では、公益やヘルスケア、生活必需品など景気変動に左右されにくい業種の下落率が小幅に留まりました。

米国債券市場は、トランプ米大統領が中国からの輸入品に対する関税率を引上げたことや、中国大手通信機器メーカーに対する禁輸措置が報じられたことで、先行き不透明感から安全資産である債券相場は上昇(利回りは低下)しました。欧州債券市場は、欧州委員会がユーロ圏の成長予測を引下げたこと、英国のメイ首相が退陣を表明するなど欧州連合(EU)離脱の先行きが不透明となったことなども受け、中核国のドイツを中心に国債市場は上昇(利回りは低下)しました。

ドル・円為替市場は、米中通商交渉の激化などを受けリスク回避姿勢が高まり円高・ドル安が進行しました。トランプ米大統領がメキシコからの輸入品全てに5%の関税をかける方針を示したことも円買いを誘いました。

ユーロ・円為替市場は、米中通商交渉の激化からリスク回避姿勢が高まり円が選好されたことに加え、欧州委員会がユーロ圏の成長予測を引き下げたことや、ドイツの景況感指数が市場予想を下回ったことなどからユーロ安が進み、円高・ユーロ安となりました。

 

 

運用状況と今後の運用方針

当月の投資行動としては、当ファンドでは先物を中心に株式の構成比を引下げる一方、米国の超長期国債先物を買い増すなどして、金融市場の不安定な動きへの備えを強めました。また米中の問題が新興国通貨安を招くリスクを考慮し、新興国の現地通貨建て債券から同じく新興国の米ドル建て債券への入替え取引を進めました。オルタナティブ部分では、東証REITのETFを買い増しました。

当月の基準価額は前月末比-56円の下落となりました。株式部分では、世界優良株式やセクターニュートラルクオリティ世界株式(ETF)、デジタル・コミュニケーション株式など、幅広い戦略がマイナスに寄与しました。 オルタナティブでは市場中立型日本株式ロング・ショート戦略などがプラス寄与したものの、大中華圏の株式ロング・ショート戦略や金がマイナス寄与となりました。 債券では米ドル建て公共債や先進国高利回り優良国債、ユーロ建て債券など、先進国の債券が総じてプラスに寄与しました(図表IV、V参照)

今後の運用方針としては、米中貿易協議の不透明感が高まる中、世界の株式市場も下値を探る展開が予想される上、業績見通しも下方修正リスクが残っており、引続き警戒が必要と考えます。このため引続きヘルス関連や生活必需品などのディフェンシブセクターや低ボラティリティ戦略などを中心とする保守的な株式ポートフォリオを維持します。債券部分では米国を中心にデュレーションを長めとする強気スタンスを継続するものの、短期的に買われ過ぎと思われる局面があれば、一旦利益確定売りを行うことも検討します。

 

株式:米国株式市場に立ち込める暗雲

5月の世界の株式市場では、4月の上昇分が剥げ落ちた格好となりました。米中の貿易協議が短期間で合意に至る公算は低く、今後は市場の一段の下げが見込まれます。

米国株式は特にぜい弱です。1-3月期の企業業績は予想外に良好だったとはいえ、国内経済は減速しつつあり、企業利益は伸びの鈍化が見込まれます。株式アナリストは、直近(1-3月期)の決算発表開始時に年内の企業利益成長率予想を下方修正しています。

企業の売上高は概ねGDPに連動しますが、利益は複雑です。税率、規制、人件費など様々な変動要因があげられますが、賃金伸び率が名目GDP成長率を上回るような状況、言い換えれば実質賃金伸び率が生産性を上回るような状況になると、一般的に企業の利益率は低下します。OECDの実質単位労働コストは、1970年代から一貫して低下していますが、直近5年の変化率はプラスに転じています。利益率の変動は利益変動に大きく影響します。米国の法人税の引き下げ(35%→21%)は、過去10年の増益の20%を説明するだけインパクトの大きいものでしたが、この影響が一巡するにもかかわらず、市場は企業の利益率の上昇を予想しており、楽観的すぎるとみています。

米国株式は、相対的に高水準のバリュエーションと景気敏感セクターに偏った市場のセクター構成を勘案すると、魅力が更に薄れます。米国市場は、日本を除く世界のどの主要市場よりも景気敏感銘柄の構成比が高いことに加え、史上初めて、景気敏感セクターの構成比が新興国市場を上回っています。従って、米国株式はアンダーウェイトを維持します。

景気変動の影響に左右されやすい銘柄には投資妙味が少ないと考えます。MSCI世界株価指数では、景気敏感セクターが、ディフェンシブ(景気の変動に左右されにくい)・セクターに対して、長期的には平均して10%程度上回っていますが、現在は17%程度と割高となっています。一方、自動車および銀行株は出遅れ感が強く、一株当たり純資産価格と同等の水準で取引されていますが、これは市場平均を50%程度下回る水準です。

貿易戦争がテクノロジー銘柄に及ぼし得る影響を軽視してきた投資家にはつけが回り始めています。トランプ政権が中国の通信大手、ファーウェイを制裁の対象としたことは、新しい「ハイテク冷戦」を巡る懸念を引き起こし、世界のサプライチェーンに組み込まれたテクノロジー銘柄の、突然の制裁に対するぜい弱性を浮き彫りにしています。米国の半導体銘柄は高値を15%以上下回り、1年前の水準で推移しています。

 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

債券:新興国債券市場は本領を発揮

貿易摩擦の激化がリスク性資産を下押す環境にあっても、債券の投資妙味は高くありません。世界の国債利回りが大きく低下する状況では、債券の割高感が際立っているからです(図表4参照)。 もっとも、債券市場には魅力的な投資対象も残っています。例えば、現地通貨建て新興国国債は、良好な投資収益をあげる可能性を提供しています。

新興国通貨は、最近の増価をもってしても、米ドルに対する適正価値を大きく下回る水準に留まっており、新興国の良好な経済環境を背景に、上昇基調を続ける公算が高いと思われます。新興国の経済成長は、引き続き、先進国を上回って推移しており、双方の景気先行指標の格差は拡大基調です。

ドル建て新興国国債もオーバーウェイトとしているのは、相対的に堅固な新興国経済が、新興国国債の米国国債に対するスプレッド(利回り格差)の縮小に資すると思われるからです。

国際金融協会(IIF)の調べでは、4月現在、新興国国債市場には8ヵ月連続で資金が流入しており、流入金額は総計240億ドルに達しています。 先進国市場では、引き続き、米国国債をオーバーウェイトとしています。ユーロドル先物には年内に1回以上の利下げが織り込まれていますが、経済を取り巻く状況の一段の悪化に際して、米国国債が、費用対効果の高いヘッジ手段であることに変わりはないからです。

欧州市場では、ドイツ国債が最も割高で、指標の10年国債利回りは過去最低水準を更新しています。英国国債はアンダーウェイトに下方修正しました。ブレグジットを巡る政治・経済の不確実性は残るものの、失業率は44年ぶりの低水準に留まり、賃金の伸び率は10年ぶりの高水準を記録し、個人消費は引き続き堅調です。英中央銀行(イングランド銀行、BOE)が年内利上げを行う公算は低いとはいえ、投資家は来年の金融引き締めの可能性を軽視し過ぎているように思われます。ピクテのモデルは、英国国債が割高であることを示唆しています。

社債については、投資適格債、ハイイールド債ともにアンダーウェイトとします。貿易戦争が経済成長を下押し、投資家心理が悪化する状況を勘案すると、社債は割高感が強いと思われます。

通常、景気サイクルのピークではインフレ率も高く、グローバル債券の利回りも相対的に高いことが一般的ですが、いまの利回り水準は低く、また、政府債務が対GDP比で高止まる中、デュレーションは8.3年とリスクが過去最高水準にあります。今後、景気後退局面に差し掛かれば、金融政策の余地は限られてくるでしょう 米国債の今後5年間の実質リターンはマイナスになることが想定されるなか、最も危険なアセットクラスは米国ハイイールド債です。米国ハイイールド債のデフォルト率は3.5%と低いままですが、先行性の高い米国長短金利差(10年―2年)はデフォルト率の上昇を示唆しています。

主要通貨は、いずれもニュートラルを維持します。一方、経済の不確実性が高まる状況での有効なヘッジ手段となるゴールドはオーバーウェイトを維持します。

 

 

景気後退局面を示唆するもの~固定資本形成の動向

 

家計、企業、貿易などに関するマクロ経済指標など複数の指標でみた景気後退確率は景気後退局面の水準には至っていません。先行指標となる長短金利差(米国10年国債利回り-1年国債利回り)からみた景気後退確率も、高まりつつあるものの、景気後退の分岐点の水準には至っていません。

家計負債ギャップからみると、リーマンショック時、欧州債務危機時の水準ではないことから、景気後退の引き金にはなりがたいとみられます。

今後、景気後退の引き金となりえるのは、固定資本形成の動向がカギとなるとみています。OECDの固定資本形成(対GDP比)は、長期トレンドを5%上回る状態にあります。1970年からの長期トレンドからの乖離具合をみると、概ね5%がピーク水準だったことが分かります。その後、米国は景気後退に突入しています。今後数年間は投資が減少することが示唆されており、注視する必要があると考えられます。

 

関税引き上げの世界の輸出へのインパクト

 

ピクテの世界景気先行指数と世界の実質GDP成長率の動向を見ると、実質GDP成長率の水準は潜在成長率を上回りますが、下落傾向が続いています。ただ、短期的なモメンタムを3ヵ月移動平均で見ると落ち着きも見られることから、向こう1~2四半期先の下落傾向に落ち着きが見られる可能性もあります。地域的に見ると先進国は弱く、中国を筆頭とした新興国の景気先行指数に改善が見られます。

供給サイドは全般に回復が鈍く、世界の鉱工業生産にも回復の兆しが見られません。米中貿易問題の影響で、設備投資などが手控えられていることが背景と見られます。

世界の輸出の状況を指標で見ると先行性を示す台湾輸出、もしくは新規輸出受注は底を打ったようにも見えます。ただし、これらは5月以降の米中貿易問題の悪化を反映してないため、再び悪化する可能性も考慮する必要があります。他の輸出関連の経済指標にも同様の注意が必要であるとみられます。

貿易に注意が必要な理由として米国の関税を見ると、5月前は平均が3%程度ですが、今回の追加関税(2000億ドルに対し10%から25%に引き上げ)で同税率は約4.3%、仮に残りの中国からの輸入品全てに追加関税を課すと、7%程度に上昇する見込です。これは国際的な水準でも高い水準です。

インフレ率は(上昇)懸念は低く、一時的な上昇は過去の原油価格上昇を反映したもので、元に戻ると見ています。 各中央銀行は概ね緩和姿勢をとると見られます。ほぼ全ての先進国の中央銀行で現状の政策金利は修正テイラールールを下回る運営で、緩和的です。新興国ではトルコは例外的に引き締め姿勢ですが、これは例外です。

 

 

 

 

 

 

 

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