投資戦略~引き続き防衛的な投資スタンスを堅持 | ピクテ投信投資顧問株式会社

投資戦略~引き続き防衛的な投資スタンスを堅持

2019/10/16クアトロ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

製造業を中心に景気減速感が強まっており、引き続き防衛的な投資スタンスを堅持します。具体的には、ディフェンシブ性の強い株式や、国債・金といった安全資産の比重を高めたポートフォリオを継続する方針です。ただし一足早く景気が減速している欧州ではいずれ財政政策が打ち出される可能性もあると見ており、欧州株式の組入れ比率の引上げも検討します。

9月の投資実績と市場環境

クアトロの2019年9月30日の基準価額は、前月末比で-7円(-0.06%)の11,230円となりました。 (図表I参照)2019年9月の基準価額変動要因の内訳は、株式+61円、債券-31円、オルタナティブ+13円、先物・オプション -29円などとなりました。

 

 

 

 

 

世界の株式市場は上昇しました。米中の閣僚級通商協議の10月開催が合意されたことを受けリスク回避の動きが後退したことや、欧州中央銀行(ECB)が予想どおり金融緩和策を実施したことなどが株式市場の上昇要因となりました。月後半には米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げが決定されたものの今後の政策金利予想の見方が分かれたことや、米トランプ大統領弾劾に向けた動きなどを受けて下落したものの、月間では上昇となりました。業種別では、金融、エネルギー、素材、公益などが市場平均を上回って上昇した一方、ヘルスケアは下落、コミュニケーション・サービス、情報技術は小幅な上昇にとどまりました。

世界の国債市場は下落(利回りは上昇)しました。8月の米ISM非製造業景況感指数が予想を上回る内容だったことや、米中貿易協議の進展期待などから、安全資産に対する需要がやや後退し、債券相場は反落しました。また米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は予想通り金融緩和を行いましたが、追加的な金融緩和には慎重と受け止められたことも、債券市場にとってマイナス材料となりました。

ドル・円為替市場は、米中貿易協議が進展し閣僚級協議開催の示唆などを受け改善期待が高まったことや、FRBの早期の大幅利下げ観測が後退したことなどを受けて、円安・ドル高が進行しました。ユーロ・円為替市場は、英国の欧州連合(EU)離脱期限が延長されるとの期待が高まったことや、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測が後退したことなどを背景に、円安・ユーロ高が進行しました。

運用状況と今後の運用方針

当月の基準価額は前月末日比-7円の下落となりました。株式では世界優良株式やセクターニュートラルクオリティ世界株式ETFなどの優良株に加えて、公益株や生活必需品ETFなどディフェンシブ性が強い株式など、幅広い戦略がプラス寄与となりました。オルタナティブでは東証REITが引き続きプラス寄与となった一方、このところ好調だった金は反落したためにマイナス寄与となりました。債券では短期的に買われ過ぎていた主要先進国の債券相場が下落したことから、米ドル建て公社債やユーロ建て債券を中心に、幅広い戦略がマイナス寄与となりました。

 

 

当月の投資行動としては、株式の比率を前月と同程度に留める一方、債券の組入れ比率をやや引下げ、現金比率を高めました。株式部分では前月同様に世界優良株式や生活必需品株式、ミニマムボラティリティ株式など下落局面に強い戦略を中心としました。債券部分では短期的に相場の過熱感が強まっているとの見方から、米ドル建て公共債の比率を引下げると同時に、仏国債の先物の買い持ち玉を削減しました。オルタナティブ部分では大きな変更は行いませんでした。(図表IV、V参照)

今後の方針としては、製造業を中心に世界経済の減速感が強まっており、いずれ個人消費にも悪影響を及ぼす可能性が否定できないことから、慎重な投資スタンスを維持します。具体的には、生活必需品やミニマムボラティリティ株式、公益株などディフェンシブ性の強い株式や、国債・金といった安全資産の比重を高めた保守的なポートフォリオを継続する方針です。ただし一足早く景気が減速している欧州では、景気下支えのために財政政策が打ち出される可能性も視野に入れ、市場が過度に悲観的に振れる局面があれば、欧州株式の組入れ比率引上げを検討します。

 

 

 

 

 

 

 

株式:新興国市場を下方修正

世界の主要中央銀行が打ち出した金融刺激策が、株式市場の短期的な上昇相場をもたらしていると考えられます。ECBによる一連の金融緩和策と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに加え、中国当局も引き締めの手を緩めています(8頁図表3-2参照)。

 

 

とはいえ、足元の市場の上昇は、弱気相場内での上昇局面に過ぎないと思われます。 理由の一つは、既に過去最長記録を更新した米国の景気拡大局面が終盤に差し掛かりつつある兆候が認められることです。米国国債の利回り曲線(イールドカーブ)の形状等、景気後退(リセッション)入りを警告するサインが、ここ暫くの間、点灯していたことに加え(図表1参照)、企業利益は伸びの鈍化が顕著です(図表2参照)。同時に、米・中間の貿易戦争が景気を下押す状況が続いています。

 

 

 

市場の動静からも、慎重な姿勢を維持せざるを得ません。何年もの間グロース株に出遅れてきたバリュー株は、9月に入って、上昇相場を展開しています(図表3参照)。もっとも、足元の債券利回りの上昇を勘案するとグロース株の出遅れに意外感はありません。利回りの上昇は将来の予想利益の現在価値を減ずるからです(図表3参照)。上述の要因の全てが、地域市場および業種セクターに対する慎重な姿勢を促しています。

 

 

従って、ここまで順調に上昇してきた新興国市場と金融セクターを、いずれも、オーバーウェイトからニュートラルに下方修正しました。一方、情報技術セクターは、アンダーウェイトからニュートラルに上方修正しました。

もっとも、株式市場には先行きの明るい市場も見受けられます。ユーロ圏市場と英国市場は、主にバリュエーションの観点から、オーバーウェイトを維持します(10頁図表6-3参照)。世界貿易の縮小を受けたドイツ経済のリセッション入りの可能性は、既にドイツ市場に織り込まれていると考えられます。法人税減税やインフラ関連支出等、財政拡大の公算が強まっていることから、投資家心理はひとたび改善に転じれば、その後大きく改善する可能性が高いと思われます。

英国市場を取り巻く状況もユーロ圏の状況と同様です。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る懸念が英国市場を世界で最も割安な市場としており、通貨ポンドの割安感も際立ちます(10頁図表6-3、11頁図表 7-1参照)。多くの悪材料が織り込み済であることから、政局の混乱に対して何らかの解決策が提示されるならば、市場の大幅反発の公算が高く、20%程度の上値余地があるようにも思われます。

債券・為替:価値の発掘が難しいマイナス金利下の市場

債券は、魅力に欠ける投資対象となっています。直近ではマイナス利回りで取引されている債券が過去最高の15兆ドル規模となっているからです(図表4参照)。JPモルガン世界国債指数で測ったグローバル債券の実質利回りは過去最低水準まで低下しています。(図表5参照)

 

 

とはいえ、債券に全く投資しないというわけにはいきません。投資家には、全体的に割高な債券のなかでも、極めて割高な債券を識別することが求められます。

欧州のソブリン債と社債は魅力に欠けると考えます。欧州市場は、マイナス利回りで取引される債券の債券全体に占める比率が世界中の全ての市場を上回っており、ユーロ投資適格社債については、過去最高の60%以上がマイナス利回りです。

同様に、マイナス利回りで取引される債券の比率が高い日本国債もアンダーウェイトとしています。

ユーロ圏および米国のハイイールド債もアンダーウェイトとしています。信用格付けは悪化、レバレッジは上昇基調で、金融セクターを除く社債の発行残高はGDP(国内総生産)比47%と過去最高水準に達しており、ITバブル崩壊時の2000年或いはグローバル金融危機発生時の2008年に付けた水準を上回り、注視が必要とみています(図表6参照)。

 

 

一方、現地通貨建て新興国国債は、ニュートラルを維持します。利回りは5.2%前後と6年ぶりの低水準に留まるものの、新興国通貨の増価による債券価格の上昇が見込まれるからです。ピクテの試算では、新興国通貨は対米ドルで25%程割安な水準にあり、新興国の相対的に高い経済成長を勘案すると正当化が困難です。

通貨の中では、先行きが良好だと思われる英ポンドをオーバーウェイトに上方修正しました。ブレグジットに起因する政局と経済の不確実性を受け、英ポンドは対米ドルで34年ぶりの安値に沈んでいますが、悪材料は大方織り込み済みだと思われます。ピクテの分析は、英ポンドが、購買力平価モデルで測った適正価値を12%程度下回って取引されていることを示唆しています。従って、ブレグジットに関連する想定外の好材料が、英ポンドの上昇相場をもたらす可能性も考えられます。株式と債券の他では、スイスフランと金のオーバーウェイトを維持します。双方ともに、ボラティリティが上昇し、先行きの不確実性が強まる環境で、安全資産としての価値を発揮し、他資産を上回るリターンを上げることが期待されます。

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(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

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