投資戦略~金融市場混乱のなか防御的な投資スタンス継続(短縮バージョン) | ピクテ投信投資顧問株式会社

投資戦略~金融市場混乱のなか防御的な投資スタンス継続(短縮バージョン)

2020/03/16クアトロ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

新型コロナウイルスの影響で世界経済の不確実性が高まっており、金融市場は不安定な動きが続くと思われます。こうした局面では適正値から乖離した価格が形成されやすく、無闇に動くのは得策ではないと考えます。このため株式部分ではディフェンシブな戦略を、債券部分では金利低下余地がある米国債券を中心とした、防御的な投資スタンスを継続する方針です。

 

2月の投資実績と市場環境

クアトロの2020年2月28日の基準価額は、前月末比で-16円(-0.14%)の11,433円となりました。(図表I参照) 2020年2月の基準価額変動要因の内訳は、株式-73円、債券+32円、オルタナティブ+17円、先物・オプション+28円などとなりました。

世界の株式市場は下落しました。上旬は、米ISM景況指数が製造業、非製造業とも市場予想を上回ったことや中国人民銀行による大規模な資金供給などを背景に上昇しました。しかし月後半は新型コロナウイルスの感染者が各国で増加し、世界経済の先行き懸念が高まったことから、世界の株式市場は急落しました。業種別では、全てのセクターが下落する中、公益やヘルスケアなどは市場平均よりも小幅な下落にとどまりました。

世界国債市場は上昇(利回りは低下)しました。月初は中国の新規感染者拡大ペースの低下や、景気刺激策への期待から下落(利回りが上昇)する局面もありました。しかし中国以外で感染が拡大し株式市場の下落が加速したことなどから世界国債市場は急上昇(利回りは低下)しました。

ドル・円為替市場は、新型コロナウイルスの感染拡大が世界的な広がりを見せたことで一時的に円高・ドル安が進行する局面もありました。しかし月を通せば、米国経済の堅調さや日本経済への懸念などから、円安・ドル高が進行しました。

運用状況と今後の運用方針

当月の基準価額は前月末比-16円の下落となりました。 株式では世界ディフェンシブ株式、生活必需品株式(ETF)、世界環境関連株式など、幅広い銘柄がマイナス寄与となりました。一方、前月に大きく下落した中国A株(ETF)がプラスに寄与しました(図表VI①参照) 。

オルタナティブでは、東証REIT(ETF)がマイナス寄与となったものの、それ以外の戦略はいずれもプラス寄与となりました。中でもフィジカル・ゴールドや市場中立型欧州株式ロング・ショート戦略のプラス寄与が目立ちました(図表VI②参照) 。

債券では米国を中心に世界的な金利低下が進み、米ドル建て公益債(円) 、ユーロ建て債券(円)、米国の物価連動国債(ETF)など、多くの戦略がプラスに寄与しました(図表VI③参照) 。

当月の投資行動としては、株式の比率を引下げて(図表V①参照) 、キャッシュの比率を引上げ(図表V②参照)ました。株式部分ではセクターニュートラル型の優良株式戦略(ETF)を売却し、世界ディフェンシブ株式の比率をやや削減しました。その一方、世界環境関連株式を新たに組入れました。株式以外の資産においては、従前のポジションを概ね維持しました(図表V③参照) 。

今後の方針としては、新型コロナウイルスの影響で世界経済の不確実性が高まっており、金融市場も不安定な動きが続くものと思われます。こうした局面では適正値から乖離した価格が形成されやすいため、ポートフォリオの変更は必要最低限なものに止める方針です。株式部分では、ディフェンシブ株式や低ボラティリティ株式などの防衛的な戦略を中心としながらも、在宅勤務の広がりなどで需要拡大が見込まれるデジタル・コミュニケーション株式の組入れ比率を高めることを検討します。債券部分では、金利低下余地が大きい米国やカナダの債券を中心に、強気のスタンスを継続する方針です。

 

 

株式:防衛姿勢を強化

新型コロナウイルスは対象を選ばぬ無差別攻撃を行うかもしれず、誰が感染するかはわからないとしても、すべての市場や業種セクターが一律に影響を受ける公算は小さいと思われます。

【ユーロ圏、日本を一段階引き下げ】

地域市場には、供給網(サプライチェーン)の分断リスクが十分に織り込まれていないと考え、ユーロ圏をニュートラルに、日本をアンダーウェイトに、それぞれ一段階ずつ引き下げました。

新型コロナウイルスの今後の展開や感染のスピードが見通せないことを勘案すると、投資には慎重な姿勢で臨むことが極めて重要だと考えます。ユーロ圏と日本は、中国とイランを除くと、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が相対的に高いと考えます。経済が低迷している上に、先進国の中央銀行には、金融政策の発動余地が殆ど残されていないためです。(2020年3月2日時点の)先進国の主要政策金利は、FRBのFFレート誘導目標が1.50~1.75%(3月3日に緊急利下げで1.0~1.25%)であるのに対し、欧州中央銀行(ECB)の主要リファイナンス・オペ金利は0%、日本銀行の超過準備預金金利は-0.1%です。(図表1、2参照)

【中国および中国以外の新興国についてもオーバーウェイトを維持】

中国および中国以外の新興国についてもオーバーウェイトを維持します。新興国の金融当局は、先進国に先んじて、新型コロナウイルス対策としての利下げを行っています。

中国政府は、米国政府や欧州各国政府よりも積極的な封じ込め策を講じているように思われますが、景気対策についても、金融・財政両政策の併用や銀行システムへの直接支援を通じて欧米以上に積極的な対策を講じており、景気浮揚に成功する公算が高いと考えます。こうした状況が、金融危機時の中国市場の強い抵抗力を説明しています。MSCI中国株価指数が年初来3月2日までで-2%の下落に留まる中、全世界株価指数は3倍以上の下げを記録しています。

【ヘルスケア・セクターが恩恵を受けると予想】

株式のアンダーウェイトへの引き下げと同時に、業種セクターでは、資本財・サービスをニュートラルからアンダーウェイトに、金融をフル・オーバーウェイトからオーバーウェイトに引き下げました。

資本財・サービス・セクターは脆弱さが際立つように思われます。マクロ経済リスクに晒されている上に、個別企業には、既に、サプライチェーン分断の影響が現れています。

これに対し、恩恵を受けることが予想されるのがヘルスケア・セクターです。最も差し迫った課題は、新型コロナウイルスの感染が世界各地に拡大する中、医薬品需要が高止まる公算が大きいということです。ヘルスケア企業の利益成長率は10年以上にわたって安定推移していますが、この間の株価収益率(予想利益ベース、PER)は、株式市場全体と比べた相対ベースで見ると過去の平均を下回ります。こうしたプラスの要因が、米大統領選に起因して発生しかねないリスクの影響を和らげる可能性も考えられます。民主党の大統領候補者指名を争う選挙戦の先頭集団を走るサンダース氏は、国民皆保険を公約としているからです。

【バリュエーションは債券はどれも極端に割高】

過去20年間の相対バリュエーション(投資価値評価)でみると、債券はどれもゼロに近づいており極端な割高感がでています(図表5参照)。一方、株価急落で株式のバリュエーリョンは低下しました。ピクテは、1%の世界のGDP成長率の低下が5%の一株あたり利益(EPS)成長率の低下につながると試算しています。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響でEPS成長率の下振れは1-3月期だけでなくその後も継続することになるとみられます。(図表3~4参照)

債券:割高な安全資産

【金と米国国債は割高だがオーバーウェイト維持】

金と米国国債は割高感が強いとしても、新型コロナウイルスが経済や金融市場に及ぼす影響を回避したいと考える投資家の買いを阻止することは出来ないと考えます。従って、両資産ともにオーバーウェイトを維持します。

【米国国債利回りは史上最低水準だが、依然政策発動の余地有り】

債券市場の指標とされる米国国債利回りは史上最低水準で推移し、30年国債利回りは史上初の2%割れを記録しています(図表6参照)。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)議長が自ら示唆した通り、新型コロナウイルスがパンデミックの様相を呈して世界中に広がる脅威は追加緩和の確率を大きく引き上げています(3月3日に米国は0.5%の利下げを実施)。先回の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は、「中国で発生した新型コロナウイルスの想定される波及効果が経済の先行きに新たなリスクをもたらしている」と警告しています。

米国の政策立案者には、政策発動の余地が残されています。1970年以降の金融緩和局面の分析に基づいて試算すると、生起確率は極めて低いと考えられるものの、景況が急速に悪化した場合、FRBには、利下げと3兆ドルを上限とする資産買入の余地が残されています。

【金のオーバーウェイトは道理に適う】

金のオーバーウェイトは道理に適うと考えます。金価格は7年ぶりに高値を更新していますが、中国国外で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、需要の増加が見込まれます。英国王立造幣局は、金の延べ棒と金コインの需要の伸びが、ここ数日、500%に迫っていることを報告しています。また、2月の金市場へのネットの資金流入は30億ドルを上回ります。

【社債投資は特にリスクが高い】

一方、景況が悪化する局面での社債投資は特にリスクが高いと思われます。投資適格債および非投資適格債の国債とのスプレッドは、企業利益あるいは債務不履行(デフォルト)率が悪化するリスクを投資家が取ったとしても、リスクの対価をもたらしません。状況を更に悪化させているのが、社債市場の信用の質の悪化基調です。

米国ハイ・イールド債券をはじめ、先進国社債は、引き続きリスクが高まっています。2019年には2桁のリターンを記録したものの、今年は苦戦が予想され、国債との利回りスプレッドは、2018年の最も縮小した水準から拡大しています。今後、リスク回避の動きが高まった際には、米国をはじめ主要先進国の国債利回りは過去最低水準で推移しており、低下余地が少ないことから、利回りスプレッドが更に拡大した場合には、社債市場の利回り上昇(価格低下)リスクに留意が必要とみられます。

加えて、ハイ・イールド債券をはじめ企業のレバレッジは上昇基調で、金融セクターを除く社債の発行残高はGDP(国内総生産)比47%と過去最高水準に達しています。この点も今後、景気後退が長引いた場合には社債市場の中でも相対的に信用リスクの高いセクターのデフォルト(債務不履行)リスクが高まることが想定され、注視が必要と考えます。 (図表7参照)

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

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