投資戦略~信用リスク削減を視野に保守的な運用を継続(短縮バージョン) | ピクテ投信投資顧問株式会社

投資戦略~信用リスク削減を視野に保守的な運用を継続(短縮バージョン)

2020/04/23クアトロ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

新型コロナウィルスの感染拡大による景気の大幅な落ち込みが懸念される一方、各国がリーマン・ショック時を上回る大規模な経済政策を打ち出しており、相場は振れ幅が大きい不安定な展開が当面続くものと思われます。このため株式部分ではディフェンシブな戦略を主体に、また債券部分ではクレジットリスクの削減を視野に入れ、保守的な運用を継続します。

 

3月の投資実績と市場環境

クアトロの2020年3月31日の基準価額は、前月末比で-475円(-4.15%)の10,958円となりました。 (図表I参照) 2020年3月の基準価額変動要因の内訳は、株式-243円、債券-182円、オルタナティブ-124円、先物・オプション+75円などとなりました。 (図表II、III参照)

世界の株式市場は下落しました。欧米で新型コロナウイルスの感染者が急増する中、経済や企業業績への影響が懸念されました。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国との減産合意が決裂し原油価格が急落したことも、エネルギー株の下落を誘いました。下旬には米国で2兆ドル規模の経済対策が成立したことで買戻しの動きが見られたものの、月間では大幅な下落となりました。

世界国債市場は上昇(利回りは低下)しました。月初、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響が懸念されたことや原油価格が暴落したことなどを背景に、世界国債市場は上昇(利回りは低下)しました。月央には利益確定の動きなどから国債が売られる局面もありましたが、月後半には米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が国債購入の増額や流動性供給策を発表したことで世界国債市場は再び上昇(利回りは低下)し、月を通しても上昇(利回りは低下)しました。

ドル・円為替市場は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への懸念が世界的に強まったことや、原油価格が急落したことなどからリスク回避姿勢が強まり、円高・ドル安が進行しました。

 

運用状況と今後の運用方針

当月の投資行動としては、債券(図表V②)やオルタナティブ(図表V③)の比率を引下げて、キャッシュ(図表V④)の比率を引上げました。株式(図表V①)の比率は低位に維持しました。株式部分では世界ディフェンシブ株式や先物の組み入れを引下げる一方、デジタル・コミュニケーション株式やヘルス関連株式の比率を引上げました。債券部分ではユーロ建て債券(円)や米ドル建て新興国債券(円)などを削減しました。オルタナティブ部分では、東証REIT(ETF)や市場中立型日本株ロング・ショート戦略の組み入れを引下げました。

 

当月の基準価額は前月末比-475円の下落となりました。

株式では世界ディフェンシブ株式、低ボラティリティ世界株式、水関連株式など、幅広い銘柄がマイナス寄与となりました(図表VI①) 。一方、月央以降に組入れを開始したヘルス関連株式はプラスに寄与しました。オルタナティブでは東証REITが大きくマイナス寄与となった他、市場中立型日本株式ロング・ショートなどの市場中立型戦略も不振でした(図表VI②) 。債券では、米ドル建て公共債(円)、米国の物価連動国債(ETF)がプラス寄与となる一方、米ドル建て新興国債券(円)やユーロ建て債券(円)など、信用リスクを内包した戦略のマイナス寄与が拡大しました(図表VI③) 。

今後の方針としては、新型コロナウィルスの感染拡大による景気の大幅な落ち込みが懸念される一方、各国がリーマン・ショック時を上回る大規模な金融・財政政策を打ち出しており、強弱両材料から相場は振れ幅が大きい不安定な展開が当面続くものと思われます。こうした中、株式部分ではディフェンシブ性の高い戦略を中心に保守的な運用を継続することとします。債券部分ではデュレーションを長めに維持しながらも、相場がリバウンドする機会があればクレジットリスクの削減を検討する方針です。

 

資産配分:大型経済対策

【米国失業過去最高水準~投資タイミングか】

世界の経済活動は停止しつつあります。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、世界の人口のほぼ3人に1人が自宅待機を強いられ、工場の操業停止や商業施設の閉鎖が広がっているからです。政策立案者が直面する課題の重大さを証明するのが米国の新規失業保険申請件数で、3月21日までの1週間に328万件(前週比約300万件増)の申請があり、4月3日には661万件と過去最高を更新しています(図表1-1参照) 。このような環境では、企業利益、配当ともに急激な落ち込みが確実視されることから、金融市場はめまいのするような激しいボラティリティの上昇に見舞われています。S&P500種株価指数を例に取ると、ここ数週間で、1929年の世界恐慌や1987年のブラックマンデー時に匹敵する35%に近い下げを記録しています(図表1-2参照)。

市場は米国の2020年4-6月期GDPを20%-30%減(前期比年率)と織り込んでいるとみられます。

【財政出動、流動性供給が長期停滞を回避】

平時とかけ離れた異常な状況が展開する局面では大胆な施策が求められますが、各国政府および中央銀行が講じているのは、まさしく大胆な施策です。世界の中央銀行による景気刺激策は今年の世界のGDP(国内総生産)の10%に相当します(図表1-3参照)。 一方、各国政府による財政刺激策はGDPの3%超(図表1-4参照)に相当するものと思われます。こうした極めて大胆な国際協調策のおかげで、世界経済は長期停滞を回避できると考えます。とはいえ、投資家は警戒姿勢を弱めるべきではありません。新型コロナウイルスによる経済への影響の程度が明らかになるにつれ、金融市場は、今後数週間のうちにも、再度、ボラティリティの急上昇に見舞われる可能性があるからです。

こうした状況を踏まえ、株式および債券の投資評価は、いずれも、ニュートラル(ベンチマークと同じ投資比率)とします。

 

 株式:防衛的な投資姿勢の維持

【株式は過去20年で最も割安】

グローバル株式には割安感が見られ、過去20年強の期間で最も割安な水準に留まる銘柄も散見されます。MSCI世界株価指数の株価収益率(PER)(実績)は、2月19日に付けた21倍をピーク3月23日には14倍まで低下し、3月31日には16倍となっています(図表2-1参照)。

【株式は対債券で長期投資でかつてなく魅力的】

こうした水準がどれほど魅力的かは、投資期間次第です。株式市場によって提供される、安全資産利回り(リスクフリー・レート)を上回る超過収益を予測する株式リスクプレミアムは、概ね過去最高水準近辺に留まることから、株式は債券と比較すると、長期投資家にとっては、かつてないほど魅力的であることが示唆されます。ピクテのモデルは、今後5年の米国株式の実質リターンが年率平均7.5%となり、米国債券の-3.5%を大きく上回ることを示唆しています。

もっとも、短期的な観点からすると、足元の状況には、より繊細な対応が必要です。新型コロナウイルスの感染拡大との戦いに勝利する時期が分からないからです。政策立案者は、どれほどの経済的な打撃に対処しなければならないかがわかっていません。

世界の企業は、今後の景気後退(リセッション)局面で利益に大きな影響を受けます。ピクテのGDP見通しに基づいて試算すると、2020年の米国の企業利益は、少なくとも10%の落ち込みが予想されます。

【地域別では新興国選好】

地域別では、引き続き、新興国を選好します。新型コロナウイルスによる経済的な打撃が今のところ先進国よりも小さく、4-6月期中にも経済成長が見込まれるからです。中国経済は、既に、回復し始めているように思われます。

【欧州および米国ニュートラル】

一方、欧州および米国は、ニュートラルを維持します。バリュエーションは、既に、最も確率の高い景気予測を反映していると考えるからです。足元の株式のバリュエーショ ンの変化が世界のGDP成長率の3~4%の縮小に相当することを示唆しています。

【業種別ではヘルスケア、コミュニュケーションサービス、金融をオーバーウェイト】

業種セクターでは、当然ながら、市場全体を上回るリターンを確保したヘルスケア・セクターのオーバーウェイト(ベンチマークより高い投資比率)を維持します。

テクノロジー・セクターの下げも相対的に見て小幅に留まりました。在宅勤務、SNSやオンラインショッピング、3Dプリンターの利用等、企業の従業員や消費者が従来以上にテクノロジーを利用しているだけでなく、(ネットベースで)手元資金を確保するテクノロジー関連企業が、業界統合の進展を背景に高水準の利鞘を維持する公算が大きいからです。世界経済が減速し、銀行の貸し渋りが続く状況では、当セクターの優位性が更に強まるものと考えます。

テクノロジー・セクターは、ピクテのモデルで測ると最も割高なセクターであることから、コミュニケーション・サービス・セクターを選好します。(テクノロジー・セクターと)同様の特性と投資機会を有しながら、相対的に手頃な価格での投資が可能であることから、オーバーウェイトに引き上げました。

金融セクターにも投資の好機があると考えます。金融セクターは直近の20年強で最も割安な水準に留まることから、議論の余地はあるとしても、近い将来の市場反発の可能性に対する割安なヘッジ手段を提供すると考えます。特に注目されるのは、銀行セクターが、2008年~2009年にかけてのグローバル金融危機時とは極めて異なる立ち位置にあることであり、大手行の大多数が、手元の余剰資本で損失を吸収することが可能だと考えられることです。

【一般消費財サービス・セクターのアンダーウェイト】

一方、一般消費財サービス・セクターのアンダーウェイト(ベンチマークより低い投資比率)を維持します。消費財セクター、中でも一般消費財サービス・セクターは、新型コロナウイルスの労働市場への影響が明らかになるにつれて、恐らく、最も大きな打撃を受けることが予想されます。また、割高感が払拭されず、ピクテのモデルで測ると、テクノロジー・セクターに次いで2番目に割高です。

 

債券:高格付け債(投資適格債)の先行き改善

【米国、ユーロ圏投資適格社債ニュートラルへ】

リスクは急速に拡大しているものの、投資の好機も同様であることが、社債市場に注目する投資家に示されています。米国市場では、投資適格債の先行きが幾分ながら明るさを増しています。FRBの資産買入プログラムが一部の社債にも適用され、市場の下支えとなることが予想されるためです。

米国投資適格債の(米国国債に対する)利回り格差(利回りスプレッド)は、米国企業(発行体)の利払い能力を巡る懸念が強まって、1月末以降拡大し350ベーシスポイント(3.5%)以上の水準まで達していましたが(図表3-1参照)、FRBが、高格付け企業に限定して、 2つの企業支援策(緊急信用供与枠および社債買入のための特別目的会社の設定)を講じたことから、スプレッドは、今後数ヵ月、縮小基調を辿ることが予想されます。ユーロ圏の状況も同様で、ECBも量的緩和の対象に社債を含むこととしています。従って、米国およびユーロ圏の投資適格債を、いずれも、アンダーウェイトからニュートラルに引き上げます。

社債市場の中でファンダメンタルズの改善が見られるのは投資適格債セクターに限られることについては注意が必要です。投資適格債とは対照的に、ハイイールド債は、近い将来、もう一段の売りに晒される公算が大きいように思われます。企業(発行体)のバランスシートを弱体化させる恐れのある景気の減速に対する保険として、十分な利回りスプレッドを提供していない場合が殆どだからです。今後デフォルト率が高まる可能性もあり注意が必要です(図表3-2参照)。

【ハイ・イールド債券アンダーウェイト継続】

投資適格債とは異なって中央銀行の支援が得られないことから、米国ハイイールド債およびユーロ・ハイイールド債を取り巻く脆弱な状況は変わりません。米国およびユーロ圏のハイイールド債市場には、足元の利益で年間の利払いコストを賄うことの出来ないゾンビ企業が増す一方です。国際決済銀行(BIS)によると、ゾンビ企業は世界の企業全体の5~10%に達しています。米国の非投資適格債は、エネルギー企業の比率が高いため、とりわけ脆弱です。原油価格の急落を受けて利益に強い下押し圧力がかかるエネルギー企業は、米国ハイイールド債指数の15%強を占めています。従って、米国ハイイールド債、ユーロ・ハイイールド債ともに、アンダーウェイトを維持します。

【新興国債券オーバーウェイト継続】

一方、現地通貨建て新興国債券は、オーバーウェイトを維持します。新興国の中央銀行が相次いで追加緩和策を講じていることから(図表3-3参照) 、短・中期債利回りは、大幅な低下が見込まれます。今回のグローバル危機の目立った特徴として注目されるのは、新興国の中央銀行が先進国の中央銀行と同様の非伝統的な施策を講じていることです。

 

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