投資戦略~戻り相場は限定的、保守的な投資スタンスを継続 | ピクテ投信投資顧問株式会社

投資戦略~戻り相場は限定的、保守的な投資スタンスを継続

2020/05/19クアトロ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

足下ではリスク資産を買い戻す動きが見られるものの、買い戻しが一巡した後は、景気や業績の回復力の鈍さが再認識され、相場が二番底を試す展開も否定できません。このため株式の比率を現状程度に抑制し、保守的な投資スタンスを継続する方針です。債券ではデュレーションを長めに維持する一方、割安感が強まっている米国投資適格債券への投資を検討します。

4月の投資実績と市場環境

クアトロの2020年4月30日の基準価額は、前月末比で +277円(+2.53%)の11,235円となりました。 (図表I参照) 2020年4月の基準価額変動要因の内訳は、株式+142円、債券+39円、オルタナティブ+42円、先物・オプション+45円などとなりました。 (図表II、III参照)

世界の株式市場は、大恐慌以来とされる大幅な経済指標の悪化や、原油価格の急落を受けて下落する局面もありました。しかし欧米の一部地域で新型コロナウイルスの感染拡大ペースに減速が見られたことや、米連邦準備制度理事会(FRB)による2兆3,000億ドル規模の支援策、さらにトランプ米大統領が経済活動の再開に向けた指針を示したことなどが支援材料となり、月間を通じてみれば大幅上昇となりました。

世界国債市場は上昇(利回りは低下)しました。月初、欧米の一部地域で新型コロナウイルスの感染拡大ペースに減速が見られ、世界国債市場は下落(利回りは上昇)する局面もありました。しかし、米国の新規失業保険申請件数など経済指標が全般に大幅な悪化を示したこと、原油余剰感を背景に原油価格が急落したこと、欧州中央銀行(ECB)やFRBが流動性供給などにより金融緩和姿勢を維持したことなどが相場の支援材料となりました。その結果、世界国債市場は月を通して上昇しました。

ドル・円為替市場は、米国の雇用市場が急速に縮小するなど経済指標の悪化が続いたことや、流動性供給を積極化させたことなどから、円高・ドル安が進行しました。

運用状況と今後の運用方針

当月の投資行動としては、債券の比率を引下げて(図表V② 、株式(図表V①)やオルタナティブ(図表V③)の比率を引上げました。株式部分ではセキュリティ関連株式、デジタル・コミュニケーション株式、世界の環境関連株式などの比率を引上げました。債券部分では、カナダドル建て債(ETF)や米ドル建て新興国債券(円)、世界債券・通貨絶対収益などの保有を削減しました。オルタナティブ部分では、東証REIT(ETF)を引下げる一方、大中華圏株式(グレーター・チャイナ)株式やグローバル株式ロング・ショート戦略の組み入れを引上げました。

当月の基準価額は前月末比+277円の上昇となりました。 株式では世界ディフェンシブ株式、セキュリティ株式、ヘルス関連株式などを筆頭に、組入れていた全ての株式戦略がプラス寄与となりました(図表VI①) 。オルタナティブではフィジカルゴールドや大中華圏株式など幅広い戦略がプラス寄与となりました。2月以降マイナス寄与が続いていた東証REITについては、ファンドへの影響は中立に留まりました。 (図表VI②) 。債券では、世界債券・通貨絶対収益やカナダドル建て債(ETF)、ユーロ建て債券(円)などがそれぞれプラス寄与となりました(図表VI③) 。

今後の方針としては、引き続き慎重な投資スタンスを継続します。足下ではリスク資産を買い戻す動きが見られるものの、買い戻しが一巡した後は、景気や業績の回復力の鈍さが再認識され、相場が二番底を試す展開も否定できません。このため株式の比率を現状程度に抑制すると同時に、低ボラティリティ株式やディフェンシブ株式など、保守的な戦略を中心とするポートフォリオを継続する方針です。債券ではデュレーションを長めに維持する一方、割安感が強まっている米国投資適格債券への投資を検討します。

株式:最良の選択肢はディフェンシブ・セクター

【市場の企業業績予想は楽観すぎ】

株式市場の動揺は、数週間続きました。

S&P500種株価指数は、1ヵ月強のうちに30%以上の下げに見舞われたものの、3月23日の底値から30%以上の反発を見せており、アジアや欧州の多くの株価指数と同様、少なくともテクニカル面では、強気相場圏に復帰しています。とはいえ、目のくらむような上げ相場が展開されても株式に強気になれるわけではありません。短期的に株式に慎重な姿勢を維持するのは、市場が景気回復のスピードを過大評価しているように思われるためです。

市場のコンセンサス予想は、企業の業績予想が今年(2020年)は10%以下の減益に留まり、来年(2021年)は強い景気回復が見込まれるとしていますが、こうした見方は楽観的過ぎると考えます。

【ピクテモデルは2020年はおよそ40%の減益を示唆】

ピクテのモデルは、今年の一株当たりの利益(EPS)と配当が40%前後落ち込むことを予測しています(図表1参照)。2008~2009年のグローバル金融危機時のEPSはピクテの今年の予想と同程度の落ち込みとなりましたが、(世界が対応に苦慮する)足元のリセッションは、当時のリセッションの3倍~4倍に達するのではないかと懸念されます。

【株式はディフェンシブを選好】

株式については、ディフェンシブ(景気変動に左右されにくい)な特性を備えた市場とディフェンシブ・セクターを選好します。

【米国は最も割高でニュートラル継続】

米国はニュートラルを維持します。12ヵ月先の利益予想を用いて算出した株価収益率(PER)は、3月下旬の13倍台から4月末には19倍台と18年ぶりの水準に上昇しており(図表2参照)、世界の市場の中で最も割高な市場の一つとなっています。投資家は、米国企業の迅速な回復を見込んでいますが、今後数ヵ月については、株式アナリストの利益予想の下方修正が相次ぐと思われます。

【新興国株式はニュートラルに引き下げ】

(オーバーウェイトとしていた)新興国株式についても慎重な見方に転じ、ニュートラルに引き下げます。

中国および近隣諸国の経済活動は緩やかながら正常化に向かっていますが、ラテンアメリカはウイルス危機の最中にあります。また、資源輸出に過度に依存し、新型コロナウイルス発生前から厳しい経済試練に直面していたことが懸念されます。ブラジル等の一部の国は、巨額の対外債務と慢性的なインフレのため、経済危機対策が限られます。

債券:中央銀行による市場の下支え

【主要国・地域の国債をニュートラルへ、米国投資適格国債をオーバーウェイトへ引き上げ】

新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)が経済に及ぼす影響を抑えるために世界の中央銀行が行っている巨額の資産購入は、先進国ソブリン債および社債市場の強い下支えとなっています。

従って、ユーロ圏、スイス、英国、日本の国債をアンダーウェイトからニュートラルに、米国投資適格債をニュートラルからオーバーウェイトに、ユーロ・ハイイールド債をアンダーウェイトからニュートラルに、いずれも引き上げました。

【世界の中央銀行による巨額の資産購入が下支え】

世界の中央銀行は、前例のない巨額の資金を金融システムに注入しています。2019年末以降、FRBだけでGDP比500ベーシス・ポイント(5%)相当の金融緩和を行っており、半分弱が利下げを通じて、残りの半分強が資産購入の形で行われています。(図表3参照)FRBは、必要ならば、追加緩和を行う態勢を整えています。ピクテのモデルは、同900ベーシス・ポイント(9%)の利下げ相当の金融緩和が行われる可能性を示唆していますが、これは、(グローバル金融危機を含む2014年までの)7年間に行われた金融緩和の総額を上回ります。

その他の中央銀行には、FRB程の手立てはなかったかもしれませんが、あらゆる面で対策が打たれています。

欧州中央銀行(ECB)を例に取ると、ユーロ圏加盟国国債の今年(2020年)の純新規発行額の90%以上はECBが買い入れることになります。

中国人民銀行は、(2008~2009年の)グローバル金融危機時ほどの大型対策は打っていませんが、信用供与の形の景気刺激は、グローバル金融危機以降、最大規模のGDP比9%に相当するものです。

世界の中央銀行は、社債市場の支援策も導入しています。FRBは、米国の投資適格企業の今年(2020年)の資金調達ニーズの70%強に相当する社債を買い取り、更には、ECBともども、これまでタブー視されてきたハイイールド債の一部の購入に踏み切っています。

【金はオーバーウェト継続】

金はオーバーウェイトを維持します。世界各国の巨額の財政刺激により、将来、いずれかの時点でインフレ率が上昇する状況も予想されますが、投資家は、経済の麻痺的状況がもたらす損失の程度を見極めようとしており、目先はデフレを懸念しているようにも思われます。このような投資環境は、貴金属等、安全資産を下支えます。

資産配分比率決定の分析ポイント 4つの柱

ピクテでは資産配分比率決定の分析ポイントとして4つの柱を用いています。その4つの柱は、1)マクロ経済分析、2)流動性分析、3)センチメント(テクニカル)分析、4)バリュエーションです。たとえば、株式の投資配分を決定するにあたってもすべての要素が常に株式のオーバーウェイトを同時に示すわけではありません。投資判断決定には、こうした異なる観点からの投資判断決定のポイントを勘案することが重要と考えています。

1)マクロ経済分析~景気対策の効果を示唆する兆し

ピクテの景気循環分析は、世界経済が2020年には3.3%のマイナス成長に陥る一方で、翌2021年には約6%のプラス成長に回復することを示唆しています。 (図表1-1参照) 。各国政府は、経済の縮小を抑えるため、前例のない大規模な景気対策を打ち出しており、世界全体の財政出動は、GDP比3.9%前後と、2009年(グローバル金融危機時)の2倍以上に達することが予想されます。 (図表1-2参照)

こうした景気対策の効果を示唆する兆しが現れ始めていることから、ピクテでは、米国、オーストラリア、スイスならびに中国およびその他新興アジア各国の短期経済見通しを、従来よりもやや積極的な(少なくとも悲観的ではない)見方に修正しています。

一方、上記以外の地域については、十分な景気対策が講じられていないと考えます。ラテンアメリカの一部等では、貿易収支やその他の既存の課題が景気回復を妨げています。また、ユーロ圏を含むその他の地域には、景気対策を拡充する余地が十分に残されていると考えます。

これまで明らかに他国に遅れを取ってきた中国が追加の景気対策を講じ始めたことは朗報です。実体経済に供給される信用と流動性を測る「クレジット・インパルス」(GDP比の与信の伸び率)は、3月には9%強と、過去10年で最高の水準まで増加しています(図表1-3参照)。

2)流動性(資金動向)~今後、世界のGDPの約10%超の流動性供給

ピクテの流動性指標は、米国の強力な金融緩和により、上昇基調を示しています。米連邦準備制度理事会(FRB)は、利下げと資産購入を併せて、既に、500ベーシス・ポイント(5%)相当の金融緩和を行っていますが、年末までに大規模な追加緩和が予想されます。これが実現すれば、(2008~2009年の)グローバル金融危機時を含む前回の7年の景気サイクル中に実施された金融緩和の累計を上回ることとなります。(図表2-1参照)

ピクテの流動性インデックスは世界株式のバリュエーション(投資価値評価)の上昇を示唆しています。(図表2-2参照)

3)センチメント(テクニカル)(市場参加者動向)~リスク性資産選好へ

リスク性資産を選好するピクテのセンチメント指標もこうした見方を支持しています。投資家の株式のポジションは買われ過ぎの状況には程遠く、また、マネーマーケット・ファンドへの資金流入額が過去最高を更新していることからも、待機資金が潤沢であることが示唆されます。世界のマネーマーケット・ファンドの純資産は、過去1ヵ月で1兆ドル増加しています。

4)バリュエーション(相対的価値分析)~主要資産は総じて魅力が薄れる

主要資産クラスのバリュエーションは、3月末時点と比較すると総じて魅力が薄れており、先進国国債は特に割高です。ピクテのバリュエーション・モデルは、今後1年の株価のリターンが債券のリターンを、10%~15%上回ることを示唆しています。

ドルは割高

米ドルの過去の均衡点からのかい離を見ると、相当割高な水準で取引されている可能性があります。 米ドルは米国の経常・財政収支の対GDP比との関連性が高く、この比率が低下するならば米ドルの傾向も下向き(ドル安)になる可能性があります。

過去の経験則からすると、今後米ドルが下落する可能性が示唆されています。

ピクテの為替モデルによればドルは各主要通貨に対して適正値から割高となっており、この水準は過去30年間でも高い水準です。過去の実績では高い水準をつけた後、ドルは下落する傾向がみられました。通貨の適正価値を測るピクテのモデルは、大方の先進国通貨および新興国通貨に対してドルに割高感があることを示しています。

新興国通貨は、景気先行指数は新興国のほうが先進国よりも状態が良く、バリュエーションの観点からも魅力的です。ピクテのバリュエーション指標は、新興国通貨が購買力平価ベースで20数年ぶりの割安水準にあることを示唆しています。

米連邦準備制度理事会(FRB)の流動性供給は主要国・地域の規模を上回り、リーマンショック時を上回る規模の流動性供給が想定されます(2頁図表3参照)。これは、ドル安・円高要因となると考えられます。

ただし、足元ではドル売り・円買いのボジションが積みあがり(2頁図表2参照)、決済通貨としてのドル需要逼迫とのバランスから、短期的にはドルはこのボジションが解消するまでは底固いと見ています。 (図表5-1~5-3参照)

 

 

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