新興国株式市場と当ファンドの運用状況 | ピクテ投信投資顧問株式会社

新興国株式市場と当ファンドの運用状況

2018/09/05新興イン
※投資リスク、手続・手数料等は、PDF版をご覧ください。


ポイント

新興国株式市場は2018年年初以降、様々な難局に直面しています。特に、経済のファンダメンタルズがぜい弱な国の株式や通貨の下落率が大きくなっているほか、米中貿易摩擦問題の影響などが重石となっています。当ファンドの基準価額も、こうした市場全体の流れを受けて、年初来で下落しています。中長期的な新興国市場に対する楽観的な見方には変化はありませんが、当面は米国の政策動向や各国の政治・経済情勢には注視が必要と考えられます。

2018年年初来、 逆風を受ける新興国株式市場

2016年以降、上昇基調が続いてきた新興国株式市場ですが、2018年1月後半以降、様々な難局に直面しています。
1月後半に高値をつけた後、米国の長期金利の急上昇や、米国の保護主義的な通商政策を受けて米中間をはじめ世界的な貿易戦争が世界経済にマイナスの影響を及ぼすとの懸念が高まったことなどを背景に、世界の株式市場が大きく変動しました。
こうした中で、投資家のリスク回避の動きが強まり、新興国株式は足元(2018年8月31日)まででみると、下落となりました(図表1参照)。

米国の政策動向の影響に加えて、 国内要因も引き金に

米国の金利上昇やドル高は、借入負担の増加や輸入インフレ懸念につながることから、新興国の中でも特に、経常赤字国や高債務国など経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)がぜい弱とみられる国の株式、通貨の下落率が大きくなりました。トルコ、南アフリカ、ギリシャ、ブラジルなどは経常赤字国であり、各国特有の問題もあって下落率が大きくなりました(図表2参照)。

個別の国特有の要因で下落率が大きくなったケースもありました。
2018年4上旬、米国は2016年の米大統領選挙への介入疑惑などを理由に新たな経済制裁を発表したことをきっかけに、ロシアの株式市場および通貨ルーブルは大幅に下落する局面がありました(その後、ルーブルは下落基調が続いていますが、株式市場については落ち着きをみせています)(図表2参照)。

ブラジルでも個別要因がありました。5月後半より発生したトラック運転手ストライキの経済に対するマイナスの影響が懸念され、6月半ばにかけて大幅下落となりました。
その後、反発がみられたものの、10月の大統領選挙を控え、政治的な先行き不透明感などもあいまって、年初来では下落率が相対的に大きくなりました(図表2参照)。

8月上旬には、米国との対立をきっかけに、トルコの金融市場が大きく下落する(いわゆる「トルコ・ショック」)局面を経験しました。
もともと、トルコについては、6月の選挙で再選されたエルドアン大統領の下、不透明な政策運営については懸念が大きいとみられていたことや、トルコでは企業や金融機関における資金調達の海外依存度が相対的に高く、リスクが大きいとみられていることなどもありました。
また、それ以前から、トルコ株式・通貨リラは下落基調となっていたこともあり、2018年年初来から足元まででみると、新興国の中では下落率が突出して大きくなりました(図表2参照)。

2017年の新興国株式市場の上昇を大きくけん引した中国株式については、米国との貿易摩擦問題や人民元下落などを受けて下落しました(図表2参照)。

足元の当ファンドの 基準価額動向について

2018年年初来、足元(2018年8月31日)までの当ファンドのパフォーマンスも、こうした難局に見舞われた新興国市場と同様に下落基調となりました(図表3参照)。

基準価額の変動要因の内訳をみると、年初来足元(図表3、4の期間①)まででは、株式要因・為替要因ともにマイナスとなりました。

特に、年初から6月末(同期間②)にかけては、貿易戦争懸念などから、組入比率が相対的に高位にある中国や周辺アジア諸国の下落、また、ブラジルやロシアの下落の影響を受けて下落基調となりました(図表4参照)。

なお、その後6月末以降足元まで(同期間③)をみると、様々な懸念が依然として残り、新興国通貨は不安定な動きが続いていることから為替要因のマイナスは残っていますが、株式要因はプラス転換しています(図表4参照)。

なお、当ファンドにおいては毎月1万口あたり30円(税引き前)の収益分配を行っており、2018年初来では累計240円(同)の収益分配を行っていることも、基準価額の下落要因となっています(「【ご参考】過去2年間の当ファンドにおける分配金利回りの推移」参照)。

 

当ファンドの運用: 魅力ある配当利回りの優良銘柄に投資

当ファンドでは、新興国株式の中でも、配当利回り水準に魅力があり、かつ、企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)に注目し、収益・財務基盤が健全な銘柄を選別して投資を行っています(図表6参照)。
「配当利回り」はバリュエーション(投資価値評価)指標の1つであり、配当利回りに魅力がある(=配当利回りが高い)銘柄に注目した投資は、「バリュー株投資」の1つです。

今後も、一貫して配当利回りに注目したバリュー株投資のスタイルを継続し、魅力ある銘柄を発掘し、ボトム・アップ方式でポートフォリオを構築していく方針です。

新興国高配当株式の投資魅力: 変動の大きい市場における「配当」の重要性

【「銘柄入れ替え効果」と「高配当効果」】

過去の実績では、新興国高配当株式への投資は、中長期的にみると、相対的に良好なリターンを実現してきました。背景には、割高になった銘柄を、割安感のある別の銘柄への入れ替えを継続的に行うことによって得られる「銘柄入れ替え効果」と、より厚みのある配当収入が得られる「高配当効果」などがあると考えられます(図表7参照)。

また、経済成長ポテンシャルの高さなどから、中長期的には好リターンが期待できる新興国市場ではありますが、一般に政治・経済・社会情勢の変動が先進諸国と比較して大きくなる場合があり、政治不安、経済不況、社会不安が証券市場や為替市場に大きな影響を与えることがあります。実際に新興国株式市場でも、短期的には値動きが非常に大きくなることがしばしばあります。

こうした値動き(株価ボラティリティ)が大きいリスク資産への投資においては、確実な「配当収入」が存在することは、投資家にとって安心材料になると考えられます(図表7参照)。

【優良な銘柄の選別の手がかりに】

さらに、当ファンドにおいては配当を継続的に支払うことができるか、という点を考慮した銘柄選別を行っています。

この際、財務基盤の健全性を示す指標の1つである純負債/資本比率などにも注目し、財務レバレッジをかけすぎることのない、相対的に財務状態に安定感のある銘柄を選好しています(図表8参照)。
この点では、世界的に金利が上昇した場合、金利負担の影響が相対的に小さく留まる可能性もあると考えています。

当面は注視が必要な局面が続く可能性も、 銘柄選別が重要に

中長期的に、新興国の成長性に対する見方には変更ありません。新興国には労働の担い手となる若年人口が豊富に存在しています。こうした若い労働力が所得を増やし、消費を拡大していくことなどから、新興国は先進国をしのぐ経済成長力を有していると期待されます(「【ご参考】暗雲漂う新興国株式に光明を見出す」参照)。

しかし、新興国は一般に先進国に比べて政治・経済・市場などの構造が未成熟であることが多く、世界的なリスク回避局面において株式市場や為替相場の変動幅が大きくなる傾向があります。

米国の利上げなど世界的な流動性供給が細りつつある中で、新興国から資金を引き揚げる動きが加速するとの懸念もあります。足元では米国の金利動向などによっては、引き続き経済のファンダメンタルズがぜい弱とみられる国についてはマイナスの影響を受ける可能性もあり、注視が必要です。
一方では、米国の利上げなど金融引き締めの背景が、景気回復にあるならば、そうした景気拡大の恩恵を受ける新興国経済・企業も存在すると考えられます。

また、貿易摩擦問題については、対話による解決の動きもみられるものの、先行きは現時点では不透明です。今後、この問題が深刻化・長期化する場合には、世界経済に対して実際のマイナスの影響が及ぶ可能性があることはリスクと考えられます。国際通貨基金(IMF)の試算によると、貿易戦争による景気下振れに加えて、金融市場の混乱が伴った場合、世界の経済成長率は2年で-0.5%の下振れの可能性が示されています。さらに、この中で大きな打撃を受けるとされるのは米国、続いてアジア新興国などとされています。

ただし、現時点で制裁等の対象になっている特定の中国企業を除いては、新興国企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)に対するマイナスの影響はみられていません。今後も、こうした問題の影響度は国や個別セクターおよび企業ごとに異なると考えられます。

足元では様々な要因が新興国株式市場の重石となっています。こうした市場全体の流れの中では、企業のファンダメンタルズが健全であるにもかかわらず、株価が下落している銘柄もあります。こうした場合には、中長期的にみると投資の好機とも捉えられるため、しっかりとした銘柄選別が重要になると考えています。

新興国企業のファンダメンタルズは堅調、 バリュエーション面での下支えも

投資家の新興国株式に対するセンチメントが低下する中ではありますが、現時点で、新興国企業の利益は、引き続き堅調に推移することが予想されています(図表9参照)。

また、バリュエーション(投資価値評価)水準については、予想株価収益率(PER)でみると、引き続き先進国株式との比較では魅力のある水準にあると考えられます(図表10参照)。

堅調な企業のファンダメンタルズと、相対的に魅力あるバリュエーション水準は、新興国株式の株価の下支えになるもとの考えられます。

【ご参考】 暗雲漂う新興国株式に光明を見出す

人口増加や一人当たりGDPの増加等を柱とした新興国経済の成長は、長期的に新興国株式市場のけん引役になると考えます。新興国株式市場は、米国長期金利上昇や米中貿易摩擦、トルコにおける混乱等を背景に、足元ではバリュエーションが切り下がる展開となっていますが、ピクテは新興国株式が長期的にみて相対的に高いリターンをもたらすと考えています。

人口増加や一人当たりGDPの増加等を柱 とした新興国経済の成長見通しに変化なし

新興国経済における今後のGDP成長率を見通すうえでは、GDP成長率を「数量×単価」で分けて整理する必要があります。GDP成長率における「数量」とは、人口増加率に相当します。新興国では、長期にわたって人口が伸びる見込みです。
国連によれば、世界の人口は2017年時点の75.5億人から、2030年時点で85.5億人、2050年時点で97.7億人まで増加する見込みです。この人口増加に寄与する地域は、アフリカやアジアを中心とした新興国です(図表11)。
この人口増加を後押しするのは平均寿命の伸びです。世界的に出生率は2010年~2015年時点の2.5から、2025年~2030年時点で2.4へ幾分低下しますが、平均寿命は2010年~2015年時点の71歳から、2025年~2030年時点で74歳まで伸びると予想されています。

GDP成長率における「単価」とは、一人当たりGDP成長率に相当し、一人当たりの経済力や生活水準を表す指標とも言われています。
これまで新興国における一人当たりGDPは、年率約6%のペース(1980年~2017年)で伸びてきましたが、IMF(国際通貨基金)は、2018年から2023年にかけても年率約6%のペースで伸びると予想しています。
一人当たりGDPのけん引役となるのは、イノベーションと金融の発達が挙げられます。起業を増やし新しいビジネスモデルを創出する枠組みや、金融システムの普及によって信用創造を拡大させることが、今後の新興国の発展に欠かせないと考えられます。

つまり、新興国経済は「数量」である人口が伸びていくだけでなく、「単価」である一人当たりGDPも上昇していくことが予想されており、それらを掛け合わせたGDPも中長期的に伸びていくことが見込まれます。
IMFによれば、新興国の実質GDP成長率は2018年から2023年にかけて年率約5%と、先進国の実質GDP成長率の年率約2%よりも高い成長性が予想されています。

米国長期金利の上昇や貿易摩擦、トルコに おける混乱等を背景に値動きの荒い展開

トランプ政権による減税政策やインフレ率の上昇、FRB(米連邦準備制度理事会)のバランスシートの縮小等を背景に米国の長期金利が上昇したため、新興国通貨が対円でも下落する展開となりました。
中でもアルゼンチンペソやトルコリラ、ブラジルレアル、南アフリカランドといった経常赤字国の通貨が相対的に大きく下落しました。一方、台湾ドルや韓国ウォンといった経常黒字国の通貨は、経常赤字国ほどの下落にはなりませんでした。

米中を中心とした貿易摩擦は人民元安を誘発する展開となりました。貿易摩擦懸念が高まる中、中国人民銀行(中央銀行)は預金準備率を引き下げるなど、人民元安を通じて米国の追加関税に対抗する手段を選択していると推察されます。2015年~2016年のチャイナショックでは、人民元の切り下げが株安のきっかけとなっただけに、今回の人民元安局面も市場関係者の緊張感を高める材料となりました。
しかし、前回の人民元安局面と違い、今回は中国からの資本流出が限定的であり、外貨準備高も大きく減少していないことから、世界的な株安には至っていないと考えられます。
ただし、人民元安がこのまま進めば資本流出に歯止めがかからないリスクも浮上するため、中国当局は遅かれ早かれ対策を講じてくると考えられます。実際、今年8月24日に中国人民銀行は、人民元の売買基準となる為替レート「基準値」の算出に「カウンター・シクリカル・ファクター」(反景気循環的な要素)を再導入し、人民元高誘導を行いました。

8月はトルコリラの急落が、新興国株式市場全体を揺るがすイベントとなりました。
きっかけとなったのは、トルコ当局に拘束された米国人牧師に対してトランプ大統領が即時釈放を求め、応じなければ大規模な制裁を課すと警告したことです。その後、トランプ大統領はトルコの2閣僚に対して経済制裁を実施したほか、トルコのみ鉄鋼、アルミ製品の追加関税を大幅に引き上げたことから、米国とトルコの政治的対立が決定的となりました。
そもそも、トルコは政治的対立が表面化する前から高インフレや経常赤字を背景に通貨安が進んでいました。しかし、エルドアン大統領がトルコ中央銀行による政策金利の引き上げに反対し、7月24日の金融政策委員会で市場の利上げ予想に反して17.75%で政策金利が据え置かれたため、トルコ中央銀行の独立性に対して疑問符がついたことも、市場関係者の間に不安が広がるきっかけとなりました。
新興国株式市場全体の信用リスクを表すCDSスプレッドは、トルコリラの急落をきっかけに上昇しており、今後さらに新興国全体に波及するか注視する必要があります。

今後5年間の見通し ~新興国経済に おける消費が新興国株式のけん引役に~

新興国では、今後長期間にわたって「消費」が経済をけん引する構造になると思われます。
新興国の人口動態は、先進国と比較して労働人口が多く占めています。世界銀行によれば、先進国では年金受給者1人に対し労働者が4人であるのに対し、新興国では年金受給者1人に対し労働者10人で支えている状況です。また、新興国では中間所得層が今後拡大することが予想されるほか、主要新興国において構造改革が起これば、さらに消費が伸びることも想定されます。
このような環境下、ピクテでは、今後5年間でみると、新興国株式は主要資産の中でも相対的に高い投資リターンが期待できると考えています。

新興国株式の構造は大きく変化しています。2000年のITバブル期を除き、新興国株式の代表的な株価指数であるMSCI新興国株価指数では、これまでエネルギー/素材セクターが高いウェイトを占めていましたが、2014年11月末から情報技術セクターがエネルギー/素材セクターを逆転し、その後は急速に情報技術セクターが拡大し続けました。
一般的に、新興国株式は国際商品市場に左右されやすいと認識されていますが、過去と比べてボラティリティの高い国際商品市場への影響度は大きく低下しているため、新興国株式全体の企業業績に関してもボラティリティが低下することが期待されます。

新興国株式は、人口増加やイノベーション、金融市場の発達、中間所得層の拡大等を背景とした消費拡大が企業業績をけん引するかたちで、中長期的には堅調に推移することが期待されます。新興国株式の予想PERは2018年8月末時点で11.3倍と、割高感が無いことも支援材料だと考えます。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。)

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