低調となった2018年、2019年の展望は? | ピクテ投信投資顧問株式会社

低調となった2018年、2019年の展望は?

2018/12/14新興イン
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

2018年の新興国株式市場は低調な推移となりました。2019年に向けて、世界経済は下方修正傾向もみられるものの、緩やかながらも拡大すると予想されていることや、バリュエーション面での魅力などは今後も新興国株式の下支え要因となるとみられます。また、原油などの資源価格や米金利・ドルが緩やかな推移にとどまれば、これもプラス要因とみられます。ただし、政治要因等のリスクには引き続き留意すべきと考えられます。

2017年から一転、 低調となった2018年

2018年11月の新興国株式市場は、米中貿易戦争に対する懸念の後退などが好感されて、10月の大幅下落から反発しました。しかし、依然として、年初来ではマイナス圏内にあり、先進国株式を下回る推移となっています(図表1参照)。

2018年の新興国株式市場が低調となった背景には、 2018年1月後半に高値を付けて以降、米トランプ政権による保護主義的な通商政策により世界的な貿易戦争に対する懸念やそれによる中国をはじめとした世界的な景気減速懸念の高まり、また、米国の長期金利・米ドル上昇などを受けた借り入れ負担増や輸入インフレ懸念、各国の政治動向を巡る不透明感など、様々なマイナス材料が浮上したことにあります。こうしたマイナス材料を受けて、投資家はリスク回避の動きを強め、新興国市場から資金を引き揚げる動きが拡大したとみられます。

年初来から足元(2018年12月11日)までのセクター別の騰落率(米ドルベース)をみると、特に、2017年に上昇率が大きかったハイテク関連銘柄や貿易戦争の影響などを受けるとの見方などから情報技術セクターや、バリュエーション水準に割高感のある一般消費財・サービスやヘルスケアなどの下落率が大きくなり、市場全体の重石となりました。

一方、原油をはじめとした資源価格は年初から2018年 10月初めにかけて上昇基調にありました。こうした堅調な資源価格に加えて、バリュエーション面でも割安感のあるエネルギーセクターについては年初来でプラス圏内を維持しています(米ドルベース)(図表2参照)。

また、年初来から足元(2018年12月11日)までの国別の騰落率(米ドルベース)をみると、トルコの下落率が大きくなりました。この背景には、米国との政治的な対立やエルドアン政権に対する不安感に加えて、米ドル建て債務が多く、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)がぜい弱とみられることなどがありました。
また、その他、経常赤字などを抱える国の株式・通貨の下落率も相対的に大きくなりました。
2017年に上昇率が大きかった中国については米中貿易戦争の影響から景気減速が懸念されることなどから、市場平均に比べて下落率が大きくなりました。

一方、産油国などの資源国については相対的に底堅い推移や下落率が市場平均に比べて小幅に留まった国も多くみられました(図表3参照)。

図表1:2018年年初来の 新興国株式と先進国株式の推移、図表2:2018年年初来の 新興国株式セクター別騰落率

図表3:2018年年初来の新興国株式 国別株価騰落率

今後の見通し ①世界経済動向 ~緩やかながらも拡大見通し

米中貿易戦争を巡っては深刻化や長期化などの懸念が依然として残っています。こうした問題によって実体経済がマイナスの影響を受けるとの懸念があることに加えて、米国の金利上昇などにも企業の業績にマイナスの影響を及ぼすとの懸念もあります。

こうした中、世界の景気見通しについては下方修正傾向がみられます。国際通貨基金(IMF)による2018年10月時点の世界経済見通しにおいても、世界経済の成長率見通しは、貿易戦争懸念などを背景に2年ぶりとなる下方修正を発表しました(図表4、6ページ目の【ご参考①、②】参照)。

見通しは下方修正されていますが、現時点では依然として、緩やかながらも世界経済は拡大し、また、新興国は先進国を上回る成長が予想されています。

また、新興国と先進国の経済成長率の差が、今後、緩やかながらも拡大することが予想されている点もプラス材料と考えられます。過去の実績では、新興国と先進国の経済成長率の差が拡大した局面では、新興国株式の株価パフォーマンスが先進国株式に対して相対的に良好であったことが示されています(図表5参照)。

足元では、米国経済は引き続き良好に推移し、欧州についても底堅い推移がみられます。中国経済については、貿易戦争の影響などもあり減速懸念が高まっていますが、中国当局はこれに対して、各種景気下支え策を打ち出しており(図表6参照)、過度な懸念は和らいでいくものと期待されます。

なお、新興国企業の利益見通しについては、世界経済が緩やかながらも拡大するという見方などもあり、今後12ヵ月先の利益成長率予想は、現時点では先進国企業を上回る約+10%が見込まれています(図表7参照)。

図表4:IMFによる2019年度の経済成長率予測、図表5:新興国と先進国の経済成長率の差と新興国株式の対先進国株式 相対株価パフォーマンス

図表6:2018年半ば以降発表された中国の主な景気下支え政策、図表7:新興国企業、先進国企業の今後12ヵ月先利益成長見通し

今後の見通し ②バリュエーション 魅力的な水準にある新興国株式

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)水準をみると、予想株価収益率(PER)では引き続き先進国の代表である米国株式に対して魅力的な水準にあります(図表8参照)。

このように足元の新興国株式のバリュエーション水準は米国株式に比べて相対的に魅力が高いだけでなく、歴史的にみても割高感はないとみられます。大きく市場全体が調整した場合には、バリュエーション面での魅力がより高まることなどから、買戻しの動きが入りやすく、株価の反発が期待できると考えられます。

図表8:新興国株式と米国株式の 予想株価収益率(PER)

今後の見通し③ 原油や資源価格の動向 ~落ち着きを取り戻す可能性も

2017年半ば以降、景気回復やここ最近では米国がイランに対する経済制裁を表明したことを受けて原油供給が減少するとの思惑などもあり、2018年10月初めにかけて原油価格は上昇基調にありました。
他の資源価格についても景気回復や生産調整などを受けて同様に上昇基調にありました。こうした原油・資源価格の上昇は、新興国の中でも資源国にプラスの恩恵をもたらしてきました。

しかし、足元では一転して急落しています(図表9参照)。この背景の一つには、世界経済の見通しが下方修正されるなかで原油や資源需要も弱含むとの見方が強まっていることがあります。
一方、原油の供給面でも、当初、石油輸出国機構(OPEC)加盟国および非加盟国での減産合意は難しいとの見方があったことなどもありました。

結局、2018年12月7日のOPEC加盟国およびロシアなどの非加盟国との協議により、日量120万バレルと事前予想(同100万バレル程度)を上回る減産で合意に至っており、需給が引き締まる可能性もあるとみられます。

米トランプ政権はガソリン価格の高騰につながる原油価格を抑さえるよう原油安を求める政治圧力をかけており、今後もこの動向には注視していく必要はあると考えられます。ただし、現時点では既にガソリン価格は年初の水準を下回っています。
また、原油価格と米ドル相場は逆相関の関係にあることが一般的であり、原油安の進展はさらなる米ドル高につながり、米国景気にマイナスの影響ともなりかねないことなどから、原油や資源価格にとってマイナスとなるような政治圧力は和らぐ可能性もあるとみられます。

図表9:原油価格とCRB指数の推移

今後の見通し④ 米金利、米ドル動向 ~懸念は残るも、緩やかな推移を予想

米国の長期金利や米ドルの急上昇は、新興国、特にドル建て債務を多く抱える国および企業の債務負担を膨張させる可能性があります。こうしたことから、2018年中も米国の長期金利や米ドルが急上昇した局面では、新興国株式市場はマイナスの影響を受けました(図表10、11参照)。

米金利や米ドルの上昇が、堅調な米国経済を背景としたものであれば、こうした好景気は、貿易摩擦問題が影を落とすものの、貿易などを通じて新興国をはじめ世界経済にとってプラスの恩恵をもたらすと期待されます。

また、足元でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言から米国の利上げペースが減速するとの観測も浮上しており、米金利・ドルが今後、急上昇するといった懸念を和らげるものとみられます。米金利・ドルが今後一段と急ピッチで上昇するようなことがなければ、新興国株式市場にとってプラスのニュースとなるでしょう。

ただし、前述の通り、ドル建て債務を多く抱える国や企業にとって、米国の金利上昇などは負担の増加になるといったリスクには留意しておく必要があると考えられます。

図表10:新興国株式と米国長期金利の推移、図表11:新興国株式の対先進国株式相対株価パフォーマンスと 米ドルの実効為替レートの推移

今後の見通し⑤ 各国の政治的な動向 ~リスク要因となりかねず、注視が必要

米中の貿易摩擦を巡る動きは今後も注目されるところです。引き続き、米中は問題の解決に向けた協議を続けていますが、当面はこうした動向に対する見方を受けて金融市場が大きく変動する可能性もあるため、注視が必要と考えられます。
また、この問題がさらに深刻化・長期化した場合、実際に世界経済や企業業績に想定以上の大きなマイナスの影響が及ぶ可能性もあり、リスク要因となります。

また、米国によるロシアに対する追加制裁の可能性が残されています。
さらにはイランや北朝鮮などに対する米国の外交政策の行方を巡っても、緊張が高まる局面では世界の金融市場の重石となりかねず、リスク要因となる可能性があります。

そのほか、新興国の個別国における政治的な動向もリスク要因となりかねないため、その動向には注視していく必要があると考えられます(図表12参照)。
メキシコやブラジルは新政権が誕生しますが、政策運営については不透明要素も多いとみられます。また、主要選挙を控える国でも、結果を巡る思惑やその後の政策動向(経済改革や財政健全化等の遅れなど)などによっては市場の値動きが大きくなる可能性もあります。

図表12:新興国の主な政治日程

記載の指数はあくまでも参考指数であり、当ファンドの運用実績を示すものではありません。また、データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。)

MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。 またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。

 

当資料をご利用にあたっての注意事項等

当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、投資信託説明書(交付目論見書)等をお渡ししますので必ず内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。


ページの先頭へ戻る