市場編:新興国株式で今、起きていること | ピクテ投信投資顧問株式会社

市場編:新興国株式で今、起きていること

2020/04/13新興イン
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

2020年年初から足元までの新興国株式市場は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて世界的な株安となる中で歴史的な急落を経験しました。感染拡大の状況やそれによる実体経済への影響などが明らかとなるなかで、一段安となる可能性も残されており、当面は十分警戒すべきと考えます。

新興国全体:新型コロナウイルス感染拡大で、歴史的な急落を経験

2019年年末に中国・武漢で最初に感染が確認された新型コロナウイルスは、2020年2月以降、世界的な感染拡大の様相を呈しています。こうした中で、各国で移動制限や都市封鎖といったより厳しい措置がとられつつあることから、世界経済や企業業績に打撃となるとの懸念がいっそう高まっています。
このような状況に対して、各国政府や金融当局から景気下支え策が打ち出されていますが、投資家の不安心理を完全には取り除けていない状況が続いています。

世界の株式市場を2020年年初来でみると、1月半ばにそれまで市場心理の重石となっていた米中貿易問題において、両国の部分合意に至り、2月中旬にかけては、上昇する局面もありました。しかし、それ以降は、新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念が高まり、先進国、新興国ともに株式市場は急落を経験しました。
足元では3月23日を底に反転の兆しはみられるものの、2020年年初来足元(2020年4月6日)までの期間では、両市場ともに現地通貨ベースでは2割近い下落となりました。

また、下落のペースも急激であったといえます。海外投資家(主に米ドルベース)の立場からすると為替も含めた変動が投資リターンを左右するため、仮に、ここでは米ドルベースの株価パフォーマンスを使用して、過去の大きな危機時(アジア通貨危機・ロシア危機時およびリーマン・ショック)の直近ピークからの株価推移と、今回の下げ局面を比較してみます。すると、今回の下げ局面は、過去の危機時同様、特に、新興国発の危機であったアジア通貨危機・ロシア危機時の局面とほぼ同ペースでの急落となりました。

今回については、各国政府・金融当局が極めて積極的な景気下支え策を打ち出しており、このことは株価の下支えの1つになる考えられますが、根本的な問題の解決には、感染拡大を食い止め、終息させることが必要になります。感染拡大が続く限りは都市封鎖や移動制限などにより、生産活動の低下・消費の低迷が懸念され、さらに事態が深刻になれば信用収縮といったリスクもありえます。過去の危機時においては、2番底、3番底もみられました。
今回も、感染拡大の状況、各国の政策動向などに十分注視しつつ、当面は警戒を続けるべきであると考えます。

国別動向:特に資源国が大きくマイナスの影響を受ける

2020年年初来の株価動向を国別にみると、新型コロナウイルスの感染が最初に確認された中国はもちろん下落となっていますが、意外にも下落率は相対的に小さく抑えられています。早い段階から、封じ込めに向けた措置がとられ、また、潤沢な流動性の供給や景気下支え策への期待などが一つの要因として考えられるほか、生産活動が再開し、少しずつ経済の回復の兆しがみられていることなどもあると考えられます。

その一方、資源国は、株式および通貨の面で大きく打撃を受けた格好となりました。世界的な感染拡大を受けて経済が減速し、資源需要が減少すると懸念されています。さらに、原油については石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC加盟国であるロシアが減産合意に至らなかったことなどを受けて、価格が急落しました(年初来、2020年4月6日までで-61%下落/WTI原油先物)。こうした資源価格の下落と、国内の感染拡大懸念などが加わり、ブラジルやコロンビアなどの株価は下落率が相対的に大きくなりました。

また、通貨の面では、世界的な株安となる中で、投資家がリスク回避の動きを強めたことから、新興国の中でも特に相対的に経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)がぜい弱とみられる国の通貨が大きく影響を受けました。また、ここでも、資源価格の下落が経済に打撃を与えるとの懸念などから資源国の通貨も大きく下落しました。

 

 

 

今後の見通し:「工業国」と「資源国」、それぞれ異なる見方

新興国とひとくくりにいっても、成長段階や社会体制、産業構造などが大きく異なり、一言で語ることは困難です。特に、今回のような危機時にはそれぞれの国の事情によって、その影響度は大きく異なる場合があります。

仮に、新興国を大きく2つの分類に分けるとすると、中国、台湾、韓国などのアジアを中心とした「工業国」と、ブラジル、ロシア、南アフリカなど天然資源を豊富に有し、それを海外に輸出している「資源国」に分けられると考えます。

前者の「工業国」については、世界経済の減速による需要減少や都市封鎖・移動制限などによって引き起こされる企業のサプライチェーン問題や生産減少・停止などの影響が、今後さらに大きく響いてくる可能性が残されています。しかし、感染拡大の終息がみえてくれば、こうした問題は徐々に改善され、持ち前の技術力などを背景に、中長期的には成長基調を取り戻すものと期待しています。
特に、半導体や電子部品関連などのハイテク関連産業の分野では、世界の中でも欠く事のできない存在となっている企業も多く、IoT(モノのインターネット)の拡大や次世代通信技術が登場する中で、単に景気サイクルの好転の恩恵を受けるだけではなく、構造的な成長が期待できるとの見方には変わりありません。

一方「資源国」については、経済が資源需要や資源価格に依存度が高く、世界経済の変動に大きく左右されやすい傾向があります。また、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が相対的にぜい弱な国もあります。世界経済の見通しに不透明感があり、感染拡大に終息が見通せない中では、相対的にマイナスの影響を大きく受ける可能性が高いと考えられます。
しかし、こうした国々も、さまざまな経済改革などを推進し徐々に改善が見込まれる国、産業分野などもあるため、戦略的な選別投資を行っていくことが重要であると考えます。

当面は、警戒すべき相場展開が続く可能性

新興国企業の業績動向をみると、昨年2019年は米中貿易戦争の加速などを背景とした世界経済減速懸念などから、利益成長率は前年割れとなったと推定されています(出典:I/B/E/S集計アナリスト予想)。そして今年2020年については、前年対比では大きく回復が見込まれていましたが、感染拡大の影響を受けて、今後こうした見通しは大きく下方修正される可能性が高いと考えられます。このため、新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)を考える上では、利益をベースとした株価収益率(PER)ではなく、株価純資産倍率(PBR)がより有効であると考えます。

新興国株式のPBRの2020年3月末時点の水準は1.39倍と、過去平均(期間:1995年9月末~2020年3月末)を大きく下回る水準にあり、足元の悪材料をある程度織り込んでいるとも考えられます。しかし、過去の危機時をみると、さらに低い水準に低下したこともありました。特にアジア通貨危機・ロシア危機時には1倍割れ(いわゆる企業価値(解散価値)を下回る水準)も経験しています。

 

数十年前の新興国と現在の新興国では、経済・社会情勢は大きく変化しており、単純に比較することはできないかもしれません。しかし、今後の新型コロナウイルスの感染拡大状況や、それによる世界経済や企業業績に与えるマイナスの影響が明らかとなる過程において、投資家がリスク回避の動きを強めることで、新興国株式は一段安となる可能性もあります。当面は、警戒すべき相場展開が続く可能性があることを心に留め置くべきと考えます。

 

 

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。)

MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。 またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。

 

当資料をご利用にあたっての注意事項等

当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、投資信託説明書(交付目論見書)等をお渡ししますので必ず内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。


ページの先頭へ戻る