為替動向:円とスイス・フランー下落幅は縮小か? | ピクテ投信投資顧問株式会社

為替動向:円とスイス・フランー下落幅は縮小か? 先進国 日本 欧州/ユーロ圏 米国

2018/03/02先進国

ご参考資料

 

2018年は、米国国債利回りの上昇にもかかわらず、円とスイス・フランが大幅に上昇する異例の展開で幕を開けました。今回の米国国債利回りの上昇は、市場のボラティリティ(資産価格の変動率)の上昇を伴うものであったことから、円やスイス・フラン等の「安全通貨」が選好されたものと思われます。

両通貨は、構造要因に起因する経常黒字とネットでプラスの国際投資ポジションを有する国の通貨という特徴を共有しています。グローバル・ベースのリスク選好が弱い環境では、経常黒字に因る通貨高圧力を抑えるための(経常黒字の再循環としての)海外投資が減少することに加え、投資資金の自国還流が予想されることもあって、円とスイス・フランには、利回りが低いにもかかわらず、上昇する傾向が認められます(グローバル・ベースのリスク選好が強い局面では、通常、利回り追求のため、海外に資金が流出します)。

グローバル・ベースのリスク選好意欲は一年を通して底堅く推移するとの見方は変わりませんが、足元の米国国債市場の動揺と世界の経済成長見通しが修正される可能性とを勘案すると、市場のボラティリティは再度上昇するリスクが増しているように思われます。したがって、円、スイス・フランともに下落するとの予想は維持しつつも、下落幅は抑えられる可能性もあります。

 

図表1 ドル・円レートと日米10年国債実質金利差

期間:2014年~2018年

出所:ピクテグループ、ブルームバーグ

 

金利差は、引き続き為替レートに影響を与える

金利差は、通常、通貨を左右する重要な要因であるとの見方は変わりません。為替レートの変動と(二国間の)金利差は一次方程式では表せませんが、金利差が通貨の先行きの信頼に足る指標であることは間違いありません。
スイス国立銀行(スイスの中央銀行、SNB)がスイス・フランの投資妙味を削ぐために金利差を使うことには留意が必要です。SNBの政策が奏功しているかどうかについては疑問が残りますが、グローバル・ベースのリスク選好等、通貨を動かすその他の要因の影響を反映していると言えるかもしれません。

足元の米国国債利回りの上昇は、米国経済の成長見通しの改善だけでなく、インフレに対する脅威や財政赤字の拡大を巡る懸念に起因すると思われます。とりわけ、財政赤字の拡大を巡る懸念が強まる中での海外投資家による米国国債売りが、安全通貨を支える一方で米ドルを下押す環境を創り出したものと思われます。

グローバル・ベースのリスク選好が堅調さを維持するとの見方に立ったピクテの基本シナリオは、市場のボラティリティの上昇が一時的なものに過ぎないとの予想を示しています。

したがって、年初来の金利差と円ドル・レート間の逆相関が長続きするとは考えていません(図表1ご参照)。ボラティリティの上昇には、金利差と通貨間の相関を弱める傾向があることは過去のデータからも確認されます。
一例をあげると、2008年9月の金融危機のピーク時には、それまで9ヵ月間続いていた金利差と為替レートの強い正の相関が、市場のボラティリティの急騰を受け、崩れています。

もっとも、足元の米国国債利回りの上昇のスピードが極めて速かったことから、グローバル・ベースのリスク選好を再度、後退させるようなきっかけがなければ、利回りのもう一段の上昇余地はないのかもしれません。

 

円とスイス・フランを取り巻く環境は変わらず

円とスイス・フランは安全通貨であることから下落幅が抑えられる可能性がある一方で、両通貨を取り巻く環境には、引き続き下落要因も見られます。
実際のところ、ピクテの基本シナリオでは穏やかなインフレを伴う堅調な米国経済を想定しており、米国への投資資金の流入が、一年を通じてドルを支えると見ています。米国株式の投資妙味が減税を追い風に大幅に改善する一方で、米国債券投資については、相対的に高い水準のクーポン収入が、予想される価格の下落に対する緩衝剤となっています。

換言すると、(経常収支、ネットの有価証券投資、ネットの海外直接投資の合計に等しい)日本の基礎収支にもう一段の改善の余地は少ないと考えるのは、有価証券投資が既にネットでプラスになっており、プラスの有価証券投資の流入が低位に留まると考えられるからです。

更に、国内のインフレ圧力が低位に留まることから、日本銀行(日銀)は「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」政策を概ね変更せず、現状を維持する可能性も考えられます。黒田東彦日銀総裁が再任されたことに加え、リフレ論者の若田部昌澄早稲田大学教授が副総裁に指名されたことも、金融政策は据え置きと考える背景です。
一方、スイス国立銀行は、スイス・フランに対する下押し圧力を抑えるため、年末時点で利上げに転じる可能性もあると見ています。

 

図表2 日本の基礎収支

月次、期間:2000年1月~2017年12月

 

※基礎収支は、経常収支、有価証券投資(ネット)、海外直接投資(ネット)の12ヵ月合計

出所:ピクテグループ、トムソン・ロイター・データストリーム

 

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

 

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