ユーロ圏の景気に停滞が見られる中での、今後のECBの金融政策 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ユーロ圏の景気に停滞が見られる中での、今後のECBの金融政策 欧州/ユーロ圏 先進国

2018/04/25先進国

ご参考資料

 

ポイント

4月26日の欧州中央銀行(ECB)理事会において、ECBの経済状況に対する広範な評価が変更される可能性は低いと思われます。ECBの金融政策正常化に向けたスタンスは引き続き、(景気回復に)自信を持ち、辛抱強く、継続的に、規律が保たれ、かつ段階的に、というECBのガイダンス原則に則ったものとなるでしょう。

口頭でのメッセージ発信は容易に行うことができるため、ドラギ総裁は、利上げ開始時期を遅らせねばならない非常事態(貿易摩擦やユーロ高など)について言及することもあり得ます。より明示的にハト派的な政策スタンスが示された場合には、利上げ開始時期が遅れるという市場の見通しを裏付けるものとなります。

いずれにせよ、ECBは経済予測の更新を行う6月14日の理事会に向けて、インフレ率や製造業購買担当者景気指数(PMI)などの経済指標を注視するでしょう。

 

ユーロ圏の軟調な景気モメンタムやインフレ率の低下が話題となっていますが、ECBの金融政策見通しについては、結論を急ぐことはありません。確かに、足元数ヵ月間で景気のダウンサイドリスクが再び意識されるようになり、ECBの政策担当者も頭を悩ませているものと思われます。

 

一方、最近の経済指標はハト派を勢いづかせる軟調な内容となっているものの、その程度は、ECBがコミュニケーションの変更によって市場の期待を調整することが可能な範囲となっています。ECBウォッチャーが知ることとなるのは、金融政策正常化は、規律が保たれ、継続的に、辛抱強く、段階的に、予見可能な、臨機応変に、測定可能な、と様々な言葉で形容されるということです。全て言い尽くしてしまったら、彼らは何を付け加えるのでしょうか。

 

口頭でのメッセージ発信は容易に行うことができるため、ドラギ総裁は、利上げ開始時期を遅らせねばならない非常事態(貿易摩擦やユーロ高など)について言及することもあり得ます。また、第2四半期に強い景気指標の反発がない限り、6月の理事会でECBスタッフの見通しを引き下げる可能性もあります。重要なのは、ドラギ総裁は暗に市場の利上げ予想が後ろ倒しになることに裏付けを与えようとしているとも考えられるということです。

 

図表1 ECBの初回利上げまでの月数(市場予想)

 

出所:ピクテグループ、ブルームバーグ

 

ただし、予期されていたよりも大きなGDP(国内総生産)ギャップ、という考え方に基づいて述べられてきたECBのレトリックには、限界が近づいてきているとも考えられます。このことは、ECBのクーレ理事が、構造改革のポジティブな効果やサプライサイドの潜在的な成長力を考慮すると、ECBの限界貸出金利は市場が予想しているよりも高い水準であるべきだと述べたことにも現れています。

 

足元では、ECBは軟調であった第1四半期に続く経済データがどうなるかを注視しているものと考えられます。この点について、経済指標は今後も強弱入り混じるでしょうが、これまで、失業率は、ECBが予想するよりも広範にかつ早いスピードで低下しています。また、コアインフレ率(図表2 スーパーコアインフレ率をご参照ください)と賃金は緩やかながら着実に上昇しています。

 

ユーロ高は懸念材料ですが、コアインフレ率へのより大きな影響はほとんど見られていません。3月のエネルギーを除く産業製品のインフレ率が速報値から下方修正されたのは、主に服や履物などの準耐久消費財の影響によるものであり、消費者物価全体の動向への明らかな示唆はありません。もちろん、ECBが緩和姿勢の維持に対する短期的な弁明の材料として為替レートに言及する可能性はあります。一方で、原油価格の上昇が、ECBスタッフの経済予測の更新が行われるという点でより重要な6月の理事会に向けて、インフレ率を緩やかに上昇させることもあり得ます。

 

図表2:ユーロ圏のコアインフレ率

 

出所:ピクテグループ、ECB、Eurostat

 

コンセンサスの形成には未だ時間がかかりそうです。早いイースター休暇が旅行関連サービス価格に与えた効果が剥落することなどにより、4月のHICPインフレ率(5月3日速報値公表予定)が、より大きく下落した場合や、貿易関税への懸念によって景況感の反発が打ち消され、5月のPMIが悪化する場合、インフレ率には下落圧力がかかります。更に、6月のEU首脳会談でユーロ圏の改革について合意に至ることができなかった場合、ECBに対して金融緩和縮小をより緩やかに行うように政治的な圧力がかかる恐れもあります。

 

いずれにせよ、第1四半期に見られたユーロ圏の軟調な景気モメンタムやインフレ率の低下が第2四半期にも継続するか否かなどが、今後のECBの政策動向を占う上でのポイントとなりそうです。

 

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

 

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