ゼロサムゲーム:貿易戦争の結末は | ピクテ投信投資顧問株式会社

ゼロサムゲーム:貿易戦争の結末は

2018/06/28先進国

ポイント

全面的な貿易戦争は、米国と中国の間だけにとどまらない状況になった場合、世界的なスタグフレーション(景気後退時期にインフレーション(物価上昇)が同時進行する現象)となり、世界の株式市場は大幅に下落することとなります。

IMF(国際通貨基金)の予想をベースとしたピクテの経済予測モデルによると、米国が10%の関税をかけ、その負担が全て消費者に転嫁された場合、世界のインフレ率は0.7%ポイント上昇する見通しです。そして世界の企業業績が2.5%下方修正し、世界株式の株価収益率(PER)も15%低下します。IMFの推計では、米国が10%の関税をかけると同時に相手国も報復関税をかけた場合、世界の貿易量は1%減少し、世界経済の生産は0.5%低下します。

結果として、世界の株式市場は15%から20%下落して、米国債の利回りはインフレ率に応じて上昇します。実際にこの状況は、世界の株式市場が3年前の状況に戻ることになります。このような状況において、最も株価が下落するのは、中国の輸出関連銘柄や米国の景気敏感銘柄であり、また割高に買われている生活必需品セクターへの影響も大きくなります。

しかしながら、貿易戦争の影響は世界の2大経済圏である米国と中国だけにとどまりません。一例として、アジアの台湾、韓国、シンガポール、欧州ではハンガリー、チェコ、アイルランドといった諸国に対する悪影響は、米国や中国をはるかに上回る見通しです。

世界的な生産連鎖(バリューチェーン)への関与率

 

出所:CEIC、トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用してピクテ・アセット・マネジメント作成
*世界貿易機関(WTO)の定義では、関与率とはその国の輸出額に占める国外で生み出された付加価値の比率(後方関与)プラスその国の輸出額に占める国内で生み出された付加価値の比率(前方関与)。日本の加工貿易の例では、後方関与は原材料の輸入で、前方関与は製品を輸出することを指します。台湾、韓国、シンガポールは中国の経済圏、ハンガリー、チェコ、アイルランドはEUの経済圏に組み込まれていることが分かります。

今回の貿易戦争に関するピクテの分析は、投資家にとってかつて経験したことを思い起こします。世界の経済の歴史は貿易障壁は株式市場に対して悪影響を及ぼすことを示しています。1971年のニクソン・ショック時に、当時のニクソン大統領は米国の産業を守るために10%の輸入課徴金を課することを決定しました。その後3ヶ月間で、S&P500 株価指数は10%下落しました。IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、貿易戦争に勝者はいないという正しい見方をしています。

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