パウエルFRB議長の議会証言:「今のところ」貿易摩擦に動じず | ピクテ投信投資顧問株式会社

パウエルFRB議長の議会証言:「今のところ」貿易摩擦に動じず

2018/07/19先進国

ポイント

7月17日に行われた議会証言の中で、FRBのパウエル議長は、最近の貿易摩擦の激化については落ち着いた態度を見せる一方、米国をはじめ世界の経済指標データが良好である点を強調するなどし、段階的な利上げの継続を示唆しました。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7月17日、(上院銀行住宅都市委員会で)半期に一度の議会証言を行いました。テレビ中継された議会証言の殆どの時間をFRBの銀行監督機能についてのコメントに費やしたため、金融政策の先行きを示唆する新しい情報は殆ど得られませんでした。

パウエル議長は、足元の貿易摩擦の激化にも動じない様子を見せ、優れた統率力を維持しているとの印象を議会に伝える一方で、中国からの輸入品2,000億ドル分に(10%の)追加関税が課される可能性については明確なコメントを避けました。また、堅固な成長を続けているとして世界経済についての楽観的な見方を変えず、雇用の持続的かつ力強い伸びを根拠に、米国経済も底堅いとの見方を強調しました。

パウエル議長は、国内外の良好なマクロ経済を条件とした四半期に一度の利上げ(「自動的な金融引き締め」)を停止する段階には至っていないことを示唆したものと思われます。議長の明確な発言があったわけではありませんが、次回の25ベーシス・ポイント(0.25%)の利上げは9月に実施されることとなりそうです。

FOMC参加者による政策金利予測

※政策金利予測のドットは各参加者(15名)の予測値、折れ線グラフは予測の中央値、破線(市場予想)は市場で観察される政策金利予想
出所:ブルームバーグ、FOMC関連資料のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

パウエル議長は、近い将来については利上げの継続を示唆するタカ派的なメッセージを発する一方で、来年以降の利上げについては、6月の会合後の記者会見での発言を繰り返すことで、ハト派的な政策が行われる可能性についても示唆しています。そう考える理由の一つは、近い将来の「段階的な」利上げが、「現状の」力強い成長に基づくものであることを強調していること、また、「現状の」と限定することで、先行きの不透明感を示唆していることです。

もう一つは、失業率が低位に留まる一方で賃金の伸びが「穏やか」であることを強調し、インフレ・リスクは限定的であるとの見方を示していることです。パウエル議長はコア・インフレ率が(FRBが目標とする)2%を一時的に上回る状況を(過去数四半期は2%を下回っていたため、相殺されるとして)懸念していない様子でした。

FOMC参加者による経済予測の推移

※各参加者の予測の中央値、インフレ率はコアPCE
出所: FOMC関連資料のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

「金融政策を考える上で、米国国債のイールドカーブ(短期国債と長期国債の利回り格差)のフラット化が影響を及ぼすか?」との質問に対しては、10年国債利回りは、市場が「中立金利」の理論値をどう見ているかをFRBが測る手段であって、イールドカーブだけが重要な指標ではないとの中立的な見方を示しました。

パウエル議長は、アトランタ連銀のボスティック総裁や(イールドカーブは利上げの中止を示唆していると主張する)ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁等のハト派理事ほど、イールドカーブの形状を懸念していないようですが、一部のタカ派理事のようにイールドカーブの形状が示唆する状況を完全に否定しているわけでもなさそうです。パウエル議長が重要事項として伝えようとしたのは、10年国債利回りが3%を安定的に下回っている限りにおいては、中立金利の理論値の緩やかな上昇予想を前提とした「ドットチャート」(FOMC参加者の政策金利予測)が示唆する時期を待たずに引き締めサイクルを終了するリスクが残るということのように思われます。

7月17日のパウエル議長の議会証言は、今年末までにもう2回の追加利上げが行われるとの見方を支持するものと考えます。

FOMCの投票権を持つメンバーと政策スタンス

 

出所:FED資料、各種報道等を使用しピクテ投信投資顧問作成

FRBが注目する経済指標

 

 

 

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