グローバル・マーケット・ウォッチ:BBB格債~「堕ちた天使」に警戒 | ピクテ投信投資顧問株式会社

グローバル・マーケット・ウォッチ:BBB格債~「堕ちた天使」に警戒 先進国 欧州/ユーロ圏 米国

2018/10/22先進国

ポイント

「BBB」格の発行体は、(信用格付けランキングでは、)投資不適格債(ハイイールド債)の僅か一ランク上に位置し、投資適格債全体の半分を占めています。このような状況は、景気後退期に深刻な影響を及ぼす可能性があると思われます。

歴史が常に繰り返すとは限りません。米国社債市場はその構成が大きく変わってきており、次の危機は、いつ起きたとしても、過去の危機とは様子が異なる公算が高いと思われます。投資適格債市場では、格付けが最も低いBBB債が全体に占める比率がこの10年増え続け、過去の状況と比べると異常ともいえる水準に達しています。米国市場、欧州市場ともに、投資適格債全体に占めるBBB債の比率が50%を超えているのです(図表1をご参照下さい)。

図表1:BBB債の増加の推移、米国の投資適格債全体に占めるBBB債の比率の推移(%)

    

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

BBB債が増加し続けた理由の一つは、規制強化を背景に銀行融資が縮小する中、企業が債券市場での資金調達を増やさざるを得なかったということです。企業は、買収資金を調達するためにも銀行借り入れを膨らませてきました。通信セクターと消費セクターは、投資適格債市場に占める比率がいずれも8%前後でBBB債の大半を占めていますが、とりわけ積極的なM&A(合併・買収)活動を展開してきました。この間、自社株買いや増配の原資も社債の発行を通じて調達されました。 従って、足元の投資適格債市場は、過去と比べて、総じてリスクが高いということになります。

このような状況は問題をはらんでいます。経済が減速する局面、或いは、債務不履行率(デフォルト率)が上昇する局面では、「BBB-」債の発行体が、財務状況の悪化を理由に格下げされる傾向が強いからです。格下げされた発行体は、投資適格債市場からハイイールド債市場に転落し、堕ちた天使となります。他セクターの利益成長に追随しようと苦戦してきたディフェンシブ・セクターには、最も大きな打撃を受ける傾向が認められます。投資適格債のみを組み入れたポートフォリオ或いは投資適格債が組入れの大半を占めるポートフォリオは、強制的な売り圧力にさらされる可能性があるのです。

投資適格債市場の下げは、債券市場全体に深刻な影響を及ぼしかねませんが、ハイイールド債市場は、投資適格債から格下げされた大量の新しいハイイールド債(「堕ちた天使」)を吸収せざるを得ないことから、ほぼ間違いなく、一段と深刻な影響を受けることが予想されます。過去の信用収縮期には、米国のBBB債の5-10%、時価総額ベースでは600-800億ドル前後、が格下げとなりました。足元、BBB債の時価総額は3.1兆ドルに達していることから、今後、同程度の格下げが起こった場合には1,500億ドル以上の「堕ちた天使」が生まれることとなります。1.3兆ドル規模のハイイールド債市場は、巨額の資金を吸収せざるを得ないことになります。

図表2:BBB債優勢の市場、ICE BofAメリルリンチ米国社債指数における時価総額の推移、単位100万ドル

    

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

流動性の縮小が見込まれる局面で、これほど大量の「堕ちた天使」を市場に吸収する唯一の手段は、価格の調整です。借り入れコストが上昇する中、新発債にも影響が及ぶと思われます。

以上から、投資適格債、ハイイールド債ともに、足元の利回りが示唆する以上にリスクが高いと考えます。景気拡大期の終わりが差し迫っているとは思われませんが、景気拡大の期間が延びるにつれて、市場の下げ圧力が強まっていることも確かです。債券市場の中では、BBB債の比率が高い投資適格債市場が最も魅力に欠けると考えます。

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