2017年8月のバイオ医薬品市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2017年8月のバイオ医薬品市場 グローバル バイオ医薬品

ポイント

バイオ医薬品関連企業の株価動向

8月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。
ギリアド・サイエンシズ(米国)によるカイト・ファーマ(米国)の買収(買収総額:約119億ドル(約1兆3,000億円))が発表される中、M&A(合併・買収)活動が再び注目を集め、細胞療法に特化する銘柄を中心に、多くの中・小型株が買われました。
個別銘柄では、カイト・ファーマの株価上昇が際立ちました。カイト・ファーマは、血液悪性疾患を適応症とするキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法の開発に取り組んでいます。

当療法は、患者の免疫細胞にがん細胞を狙い撃ちする遺伝子改変を加えるもので、強い副作用を伴わずに、治療効果が高いことが確認されています。月末には、ノバルティス(スイス)の小児・若年成人難治性急性リンパ性白血病(ALL)治療法(「キムリア」)が、米国初のALLを適応症とするCAR-T療法として、米食品医薬品局(FDA)から承認されています。カイト・ファーマは、今後、治療抵抗性のアグレッシブ非ホジキンリンパ腫の治療への適応で開発を続けており、今後、数ヵ月のうちに承認されることが期待されています。

その他のCAR-T療法関連銘柄では、ジュノ・セラピューティクス(米国)が買収対象銘柄として投資家の注目を集め、株価が上昇しました。ニューロクライン・バイオサイエンシス(米国)は、遅発性ジスキネジア治療薬バルベナジンの好調な売上を受け、株価が上昇しました。2ヵ月前の販売開始以降、予想を上回る売上を計上していることが市場に好感されました。

一方、ウルトラジェニックス・ファーマシューティカル(米国) は、希少疾患治療薬のフェーズ3治験に失敗したことを背 景に、株価が下落しました。治験結果の発表前から悪化し ていた投資家心理が改善されることはありませんでした。 シャイアー(アイルランド)は、予想を上回る四半期決算と 通年予想の上方修正を発表したものの、主力事業の競争 激化が懸念され、株価が下落しました。もっとも、魅力的な バリュエーション(投資価値評価)が注目され、中旬以降は 投資家心理が改善しました。

 

今後のバイオ医薬品市場見通し

バイオ医薬品セクターの騰落率は、2009年から2015年半 ばにかけて、他セクターを上回って推移してきました。1)革 命的な治療薬が市場に投入され、セクターのファンダメン タルズ(基礎的条件)が改善したこと、2)株価のバリュエーション(投資価値評価)が2009年に付けた低水準から過去 の平均的な水準に上昇したこと、3)良好な新薬のパイプラ イン動向、4)パイプラインの有望な中・小型企業に対する医 薬品大手やバイオ企業によるM&A(合併・買収)活動の活 発化等が背景にあったと考えます。ただし2015年半ば以降 は、米国における薬価引き下げ懸念が浮上し、株価の変動 が大きくなっています。このような状況の中、業界再編の動 きは、当面変わらないと見ており、バイオ医薬品企業の利益 成長率は、今後数年間、不測の事態を除き、相対的に高い 成長性が期待されます。米国における薬価引き下げ圧力の 高まりは引き続き注意が必要と考えますが、長期的投資の 観点では、魅力的な投資機会を提供する可能性があると見 ています。良好な新薬承認動向や研究・開発(R&D)の生産性の改善、M&Aの動き等が株価をけん引する状況は変 わりませんが、堅固な事業基盤を有し、優秀な経営陣を擁 する企業を厳選することは、極めて重要です。ファンダメンタ ルズは良好であり、バイオ医薬品関連企業が、未だ満たさ れていない医療ニーズへの対応を目標に革新を続ける限り、 不安要素は見当たらないと考えます。

 

バイオ医薬品関連企業の売上高は 相対的に高い伸びが見込まれる

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上 回って堅調に成長してきました。(図表5参照)

バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補 の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新 薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企 業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込ま れています。(図表6参照)

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表7参 照)

バリュエーション

2011年以降、バイオ医薬品関連企業の株価が大きく上昇 したことから、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーショ ン(投資価値評価)は高い水準にありましたが、足元では株 価の調整を受け低下しています。(図表8参照)

 

(将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更さ れる場合があります。)

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