米国における薬価改革の動き | ピクテ投信投資顧問株式会社

米国における薬価改革の動き グローバル バイオ医薬品

ポイント

米国では薬価抑制のための法案が今後、議会で審議される予定です。またトランプ大統領もかねてから、薬価について発言を繰り返しており、今後も米国における薬価抑制の動きが注目を集める可能性があります。このような動きの中で、ピクテでは革新的なだけでなく、医療制度全体に付加価値をもたらすような企業が注目を集めるとみています。

 

改革が必要とされる米国の医療保険制度

米国は医薬品関連の世界最大の市場です。

米国の医療保険制度は、主に民間医療保険と、メディケア(主に高齢者向け)やメディケイド(主に低所得者向け)など政府が提供する公的医療保険によって成り立っています。

民間医療保険の場合は、薬価の交渉が行われることが通例であり、患者の個人負担は全くないかあっても少額に留まります。これは製薬会社が個人負担分を支払うことが法律上、認められているからです。

一方、公的医療保険の場合は、状況が異なっています。患者に多額の個人負担費用が発生し、一部の高額医薬品の場合は、1万ドルを上回ることもあるため、自己破産や治療の中断を余儀なくされることも珍しくありません。

このような状況にあることからメディケアは患者の自己負担を抑えるために抜本的な改革を必要としています。

「薬剤費抑制のための処方薬薬価引き下げ法案」

先頃、米上院金融委員会は、「薬剤費抑制のための処方薬薬価引き下げ法案」を可決しており、以下に記載した興味深い提案がなされています。

1)メディケアの患者負担の仕組みを変更し、費用の一部を製薬会社の負担とする、(特に高額の経口薬の場合は、製薬会社が20%程度を支払うことを検討する)

2)(バイオ医薬品の後発薬である)バイオ後続品(バイオシミラー)の使用に対する優遇策を設ける

3)医師に対する払戻金(リベート)制度の見直しを行う(現状では、薬価の一定割合が払い戻されるため、高額の注射薬・注入(点滴)薬を処方するほどリベートが増える仕組みになっている)

4)インフレ率を上回る薬価の引上げに上限を設ける

 上記の法案が可決した場合の主な変更点は、高額の経口薬の費用の分担ですが、高額医薬品を服用できる患者が増えれば、販売数量が増加し、売上の増加につながることから、製薬会社への影響は一部相殺されることも考えられます。

法案は、今年下期中の議会での審議が予定されており、ペロシ下院議長と民主党の支持が得られるかどうかにかかっていますが、その公算は大きいように思われます。

米トランプ大統領による薬価に関する提案

一方、トランプ大統領も、薬価について米国は「悪い取引」をしていると発言しており、解決策として、大統領令による医薬品の輸入をあげるなど、取り組みを行おうとしています。

大統領が具体的にどのような施策を導入したいと考えているのかは不明ですが、他国で支払われている価格の最低水準に基づいた医薬品の購入を可能にする「最恵国条項」を考案中であるとも発言しています(ただし、そのような薬価の設定に法的な根拠はありません)。

もっとも、メディケア・アンド・メディケイド・サービスセンター(CMS)も同様の手法を検討しており、医師が注射・注入する一部医薬品を国際的な価格に固定する実験を試みています。薬価の交渉は、第三者の仲介者に依頼することが予想されますが、仲介者の報酬は定かではありません。

とはいえ、重大なリスクというよりは表面的なリスクがあるに過ぎないと考えます。

ヘルスケア制度全体に恩恵をもたらす革新的な企業が今後注目される

薬価抑制の動きが話題となる中で、米国においてもこれまでの出来高払い方式ではなく、治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)を求める声が大きくなっています。

このような制度の下では、他社と差別化された、真に革新的なだけでなく、治療効果が高くトータルの医療費引き下げにつながるなど医療制度にとって付加価値を提供するような医薬品を開発・製造する企業が薬価引き下げの影響を大きく受けず、注目を集めるものと考えます。

 

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