2020年3月のバイオ医薬品市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2020年3月のバイオ医薬品市場 バイオ医薬品

バイオ医薬品関連企業の株価動向

3月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。

3月の株式市場は、世界全域に急速かつ急激に拡散した新型コロナウイルスに翻弄される展開となりました。ウイルスの感染拡大を抑えるため、都市や州あるいは国全体が封鎖され、経済および社会活動に深刻な影響が及びました。ウイルスの感染が最初に確認されたアジアの幾つかの国で新規感染者の増加に安定の兆しが見られた一方で、欧州に次いで米国が激震に見舞われました。金融市場の反応は急激かつ強烈で、資産クラス間の相関が強まりボラティリティが急騰した結果、流動性は著しく低下しました。ベータや債務比率が高い銘柄に加え、流動性の低い銘柄や(値動きに勢いのある)モメンタム銘柄が最も大きな打撃を受けました。このような環境下、バイオ医薬品株式も下落しました。医薬品企業の経営陣が、新型コロナウイルスが、サプライチェーンや製造工程のみならず新薬候補の治験や規制当局の承認スケジュール等に及ぼす影響を理解しつつ、自社の営業要員を医療従事者との身体的接触から遮断する決定を下したこともあり、バイオ医薬品株式も下落しましたが、下落率は市場全体に比べ相対的に小幅にとどまりました。

株価が大きく上昇した銘柄では、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(米国)、シアトル・ジェネティックス(米国)など挙げられます。リジェネロン・ファーマシューティカルズは、主力薬「アイリーア」についてノバルティス(スイス)の治療薬との競合懸念が後退したことや、同社の関節リウマチ治療薬が新型コロナウイルスの治療薬候補として治験を開始したことも注目されました。シアトル・ジェネティクスは、豊富なパイプライン(新薬候補群)と堅固な財務基盤を有することから、市場の動揺時に求められるディフェンシブ性が注目されました。

株価が大きく下落した銘柄では、ナノストリング・テクノロジーズ(米国)などが挙げられます。ナノストリング・テクノロジーズは、学術機関、政府、医薬品会社等の最終顧客からの売上に対する懸念から株価が下落しました。

その他では、ギリアド・サイエンシズ(米国)によるフォーティー・セブン(米国)の買収が注目されます。買収価格はフォーティー・セブンの前日終値を90%超上回ります。

今後のバイオ医薬品市場見通し

バイオ医薬品セクターについては、短期的には新型コロナウイルスの感染拡大と秋に実施される米国大統領選挙が株価に影響を与える重要な話題となっています。新型コロナウイルスに関しては、一部の製薬企業やバイオ医薬品企業は急ピッチで開発を行っており、比較的短期間に効果のある治療法が発見されるものとみています。一方、ワクチンの開発は他のコロナウイルスについても完成しておらず、開発までには時間がかかるものと考えますが、複数の企業が開発を進めています。

現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。

バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)

バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています。(図表7参照)

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)

バリュエーション

2011年以降、バイオ医薬品関連企業の株価が大きく上昇したことから、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)は高い水準にありましたが、足元では株価の調整を受け低下しています。(図表9参照)

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