欧州ハイイールド債市場、2014年の振り返りと2015年のポイント | ピクテ投信投資顧問株式会社

欧州ハイイールド債市場、2014年の振り返りと2015年のポイント 欧州/ユーロ圏

ポイント

2014年の欧州ハイイールド債市場を振り返ると、底堅いリターンと低いボラティリティとなりました。このような市場環境を提供した要因を特定し、これらの要因の今後の動向の展開を踏まえ、2015年の欧州ハイイールド債市場の動向を占います。

欧州ハイイールド債市場:2014年のリターン
米国ハイイールド債市場を上回る

2014年の欧州ハイイールド債市場を振り返ると、市場の変動性(ボラティリティ)が上昇した局面もありましたが、リターンについては2014年通年で約5.3%(ローカル通貨ベース)となりました(図表1参照)。欧州ハイイールド債市場の過去10年(04年~14年)の年率リターン約5.9%を0.6%程度下回るものの、2014年は比較的堅調なリターンとなり、米国ハイイールド債市場を3%近く上回りました。
図表1:欧州ハイイールド債市場の推移
(日次、期間:2014年1月2日~2014年12月31日)

 

※欧州ハイイールド債市場:BofA(バンク・オブ・アメリカ)メリルリンチ欧州ハイイールド・インデックス
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

次にボラティリティを見ると、2014年を通じた欧州ハイイールド債市場のボラティリティは約1.9%でした。過去10年の年率ボラティリティ、約5.8%に比べて低水準となりました。ただし、ボラティリティを期間別に見ると2014年前半(1~6月)は約1.3%と低水準でしたが、年後半(7~12月)は約2.3%へ上昇しました。年後半にボラティリティの上昇は見られましたが、2014年の欧州ハイイールド債市場の年率ボラティリティは2013年(約2.5%)を下回っています。ボラティリティは2014年、変動は小幅であったことと、期間別に変動性に違いが見られたことが特色です。

2014年欧州ハイイールド債市場の特色: 前半と後半で大違い

上記2014年の欧州ハイイールド債市場の動向を特色付けた主な要因は以下の通りです。

(1) 2014年全体を通してボラティリティが低かった理由

欧州経済は低い成長率と低水準のインフレ率となりました。過去において、欧州ハイイールド債市場は低成長、低インフレの環境下では、ボラティリティは安定的で、底堅いリターンをあげる傾向が見られます。

また、欧州中央銀行(ECB)が市場に流動性を供給する姿勢を維持したこと、金融機関の融資姿勢も全般に緩和的であったことなどがあげられます。加えて、流動性の点では、高い利回りを求める動きが続く中、欧州ハイイールド債市場への資金流入も堅調でした。

(2) 2014年後半ボラティリティが上昇

欧州ハイイールド債市場のボラティリティが2014年後半に上昇する転機となったのは、比較的質が高いと見られていた企業(エスピリト・サント銀行、フォーンズ4U等)で債務不履行(デフォルト)が発生したためです(図表2参照)。エスピリト・サント銀行の問題が表面化する2014年前半は、CCC格が他の格付けを上回るパフォーマンスでしたが、後半は失速しています。年前半の利回り追求の動きから、一転、投資家に発行体リスクを再認識する姿勢が見られました。しかし、BB格セクターは年後半も堅調に推移しており、利回り追及の動きは維持されていたと見られます。

図表2:格付け別、欧州ハイイールド債市場の推移
(日次、期間:2013年12月31日~2014年12月31日)

 

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

(3) セクター別動向では金融セクターにテクニカル要因

欧州ハイイールド債市場の金融セクターと公益、通信、ヘルスケアなどの非金融セクターとのパフォーマンスを比較すると、2014年前半、金融セクターは非金融セクターを上回りましたが、後半は他のセクターと同様となっています(図表3参照)。先のエスピリト・サント銀行のデフォルトが2014年後半不振の大きな要因と見られますが、それ以外の要因として規制当局の動きが金融セクター(特に銀行)の下押し圧力となった可能性があります。例えば、金融安定理事会(FSB)が公表したTLAC(総損失吸収能力)は大手銀行に資本の上積みを求めることとなる運びですが、長期的な銀行の収益の重荷となることが懸念されているため、ハイイールド債市場の足かせとなった可能性も考えられます。

図表3:欧州金融セクターと非金融セクターの推移
(日次、期間:2013年12月31日~2014年12月末)

 

※ BofAメリルリンチ欧州ハイイールド・インデックスのセクター別指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

(4) ハイイールド債の発行条件、債務条項のトレンド

欧州ハイイールド債市場の新規発行債の発行条件や債務条項で目に付いたのは次の2点です。

まず、発行条件では、コール期間(早期償還されない期間)の短期化(4月のAlain Affleou債)が一部で見られました。特に年前半、発行市場が好調に推移する中、発行体の中には強気の姿勢を反映し、有利な条件を要求した結果と見られます。

次に、債務条項ではポータビリティ条項(一定の条件のもと、チェンジ・オブ・コントロール条項を変更できる)を含めて発行されるケースが見られました。「チェンジ・オブ・コントロール条項(買収防衛策などのため、経営権の移動がある場合に契約内容に何らかの制限をかけること)」はハイイールド債の投資家にとり、投資先の企業の買収などによるリスクを防ぐ役割が期待されています。しかし、ここでも発行体の強気の姿勢が反映した格好となっています。ただし、年後半は市場が軟化したことで、不利な発行条件や条項を含んだ債券は減少傾向となっています。

欧州ハイイールド債市場: 2015年を占う

2015年の欧州ハイイールド債市場の見通しは、 基本的に2014年の動きを踏襲し、低いデフォルト率やボラティリティを想定しています。ただし欧州の主な政治・経済イベントが2015年1~3月期に集中しており、この時期の展開がその後の市場の方向性に大きく影響すると見ています。

(1) 政治・経済イベントは1~3月に注目

低い経済成長率と低水準のインフレ率の傾向は、2015年も基本的に変わらないと見ています。ただし、経済のサプライズがあるとしたら、2015年後半に上方修正の可能性があると見ています。理由は、構造改革のプラス効果で、先行していたスペインなどに回復が期待されること、欧米の景気回復に伴いドイツへのプラス効果、ユーロ安の恩恵をドイツ、フランス、イタリアなどが受けることが期待されること、などによります。

次に、欧州中央銀行(ECB)は2015年1~3月期にも量的金融緩和を拡大する見込みで、欧州ハイイールド債市場にプラス要因と見ています。

一方、ギリシャ動向は1月25日の総選挙、2月末の金融支援期限などが波乱要因となる可能性もあります。

(2) 資金フローは高利回り追及の動き継続

欧州ハイイールド債市場の2015年年初の利回りは2014年年初を上回っており、高利回り追求の動きは継続するものと見ています。また、欧州ハイイールド債市場のオイルセクターの比率は米国に比べて極めて低いため、欧州ハイイールド債市場への資金シフトが活発化する可能性もあります。

(3) テクニカル面、リファイナンスに落ち着き

2014年はコール償還により再調達(リファイナンス)する動きが活況で、その結果、次回のコール価格を上回る値段で取引されている債券の割合は2014年11月末で約6割と年前半の約8割から低下しました。2015年のリファイナンスは昨年と比較して低調になる見込みであるため、(クーポンの高い)短期セクターの魅力が高まると考えています。

(4) デフォルト率は低水準

欧州ハイイールド債市場のデフォルト率は、ECBの流動性供給と銀行の貸出し姿勢が緩和的であることが見込まれることから、2014年同様、低水準で推移すると見ています。

(5) 債務条項(コベナンツ)変更はバランスの取れた動き

2014年前半は、投資家に不利な債務条項も見られましたが、年後半は回帰する動きとなりました。2015年は、2014年後半同様、バランスの取れた動きを想定しています。

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