欧州と米国投資適格社債市場の比較 | ピクテ投信投資顧問株式会社

欧州と米国投資適格社債市場の比較 欧州/ユーロ圏 北米 米国

ポイント

米国と欧州の投資適格社債市場を指数ベースで比較すると、(ユーロ圏と英国を合計した)欧州と米国で規模を比較した場合、欧州は米国の半分程度ですが、欧州社債は一銘柄あたりの発行規模が平均して米国社債より大きいなど取引をする上での流動性には他の項目も考慮する必要があると思われます。

欧州と米国の投資適格社債市場比較:利回りの大きさに差はあるが

米国と欧州(主にユーロ圏)の投資適格社債市場を指数ベースで比較すると、規模の面では米国はユーロ投資適格社債市場(ユーロ圏社債)の2.5倍以上の規模となっています。ユーロ圏と英国を合計した欧州と米国で規模を比較した場合、欧州は米国の半分程度です(図表1参照)。

図表1:欧州と米国投資適格社債市場(指数)の比較
(時点:2015年4月1日)

 

※OAS:オプション・アドジャスティド・スプレッド ※円換算は2015年4 月1日の為替レートで換算
※投資適格社債市場: BofA (バンク・オブ・アメリカ)メリルリンチ適格社債インデックス(ユーロ、英国、米国)各指数
出所:ブルームバーグ、BofAのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

その他の特性を比べると、以下の点が特徴的です。

(1) ユーロのデュレーションは短め

ユーロ圏社債のデュレーションは5年程度と米国の7年程度に比べ短くなっています。過去10年の動きを見ると、ユーロ圏のデュレーションは4~5年の間で推移していますが、米国は10年前は6年程度であったのが、リーマンショックの一時期を除き長期化する傾向となっています。米国国債は超長期債の発行抑制などでデュレーションが短期化しているのと反対の動きとなっています。

なお、ユーロ圏社債のデュレーションも低金利環境下、利回りを求める投資家の需要と発行体のニーズにより長期化する傾向が見られ、年初来さらに長期化しています。

(2) 利回りはベースの国債利回りの差を反映

米国投資適格社債(米国社債)の利回りはユーロ圏に比べて高くなっていますが、差異はベースとなる両国・地域の国債市場の利回りの違いを反映しています。しかし、投資家に関心の高いスプレッド(OAS、オプション・アドジャスティド・スプレッド)で見ると(他のリスク要因を考慮すれば)差異は相対的に小幅となっています。

欧州と米国の投資適格社債市場比較:局面によるパフォーマンスの変動要因

次に、ユーロ圏社債と米国社債のパフォーマンスの違いを比べると、過去5年では米国が上回りますが、足元ではユーロ圏社債のパフォーマンスが高くなっています(図表2参照)。欧州債務危機が悪化した2011年後半、ユーロ圏社債のパフォーマンスが低迷しています。

図表2:ユーロ圏社債と米国社債のトータルリターン
(日次、期間:2010年3月18日~2015年3月18日)

 

※投資適格社債市場: BofA (バンク・オブ・アメリカ)メリルリンチ適格社債インデックス(ユーロ、英国、米国)各指数
出所:ブルームバーグ、BofAのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

一方、2013年に米国で米連邦準備制度(FRB)が量的金融緩和終了を示唆した後の市場の混乱と国債利回り上昇局面では米国社債のパフォーマンスがユーロ圏社債よりも悪化しています。

また、この期間の実績リスクを見ると、ユーロ圏社債は米国社債に比べて低く、リスク対比でのパフォーマンスはユーロ社債が健闘しているように伺えます。

次に、足元のパフォーマンスを見ると米国社債がやや苦戦しています。この背景の一つはセクター構成です。2014年後半から原油価格の下落が続く中、米国社債にはエネルギー、とりわけシェール石油関連企業が多く含まれています。一方、ユーロ圏社債は5~6%と低水準です(図表3参照)。

図表3:ユーロ圏社債と米国社債のセクター構成の比較
(時点:2015年4月1日)

 

※ユーロ圏社債、米国社債:BofAメリルリンチユーロ圏および米国投資適格社債インデックスのセクター構成割合
出所:ブルームバーグ、BofAのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

米国社債は金融セクターの構成割合が3割と4割を越えるユーロ圏に比べ低く、幅広い業種が社債市場に参入しています。石油関連企業の社債の構成割合が高かったことが足元の懸念材料とはなっていますが、産業の裾野が広い点では、米国社債市場の懐が深くなっています。

欧州と米国の投資適格社債市場比較:その他の主な項目

(1) ユーロ社債、米国社債市場の額面規模の分布

ユーロ圏と米国の投資適格社債を額面(起債規模)で比較すると、米国社債市場は額面規模が小さい社債の発行がユーロ圏に比べ多いことが特色です(図表4参照)。図表1で見たように、市場全体の規模では米国社債市場はユーロ圏を上回りますが、一銘柄当たりの規模はユーロ圏社債のほうが平均して大きくなります。

図表4:ユーロ圏と米国投資適格社債の規模別構成比
(時点、2015年3月27日)

 

※大型:規模約1500億円以上、中型:750億~1500億円、小型750億円未満。1ユーロ=130円、1ドル=119円70銭の為替レートで換算して分類
出所:ブルームバーグ、BofAメリルリンチのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

米国債券市場は自由度が高く、同じ銘柄でも様々な種類のクーポンが発行されるなど、デザイン性が高いことが銘柄の「数」を増やすため、一銘柄当たりの規模は米国が小さいと思われます。

その意味で、米国社債市場には多様性の点で通常であればキャッシュフローなどニーズにマッチした銘柄を探せる可能性が高いことが期待されます。ただし、2015年3月の国際決済銀行(BIS)四半期報告に、市場の流動性が不足したときには発行体が複数の証券を起債することで流動性リスクに直面する例として米国社債があげられています。

(2) 各市場の金融インフラ

米国の社債市場は取引に関連するインフラ整備が進んでいます。例えば、社債の証券決済機関(CSD)はDTC(Depository Trust Company)に集約化されています。一方、欧州は国ごとの証券決済機関が社債を取り扱う形となっています。しかしながら、ユーロクリアのように国ごとのシステムをグループ化するなど、統合に向けた方向でインフラ整備の構築が進行中です。

ユーロ圏社債と米国社債:最後に

以上の比較から次の点が示唆されます。

(1) 米国社債はユーロ圏社債に比べ市場規模が大きく、セクター分散も幅広く、高い利回りが期待されること

(2) ユーロ圏社債は金融、公益など通常は安定的なセクターの構成割合が高く、デュレーションも短いことから相対的な低リスクが期待されること

ただし、ECBの量的金融緩和に伴い、足元、デュレーションは長期化傾向が見られること

(3) 市場全体の規模は米国社債がユーロ社債を上回るが、一銘柄あたりの発行額は平均すればユーロ圏社債も十分に大きいと見られること

などの点を踏まえ、比較することが大切と見られます。

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