VW(フォルクスワーゲン)の動向を占う上でのポイント | ピクテ投信投資顧問株式会社

VW(フォルクスワーゲン)の動向を占う上でのポイント 欧州/ユーロ圏

ポイント

VWの排ガス不正問題は全容の解明には相当時間がかかるものと思われますが、今後の動向を占うと、短期的にリコール費用などへは対応可能と思われます。しかし、中長期的に訴訟費用などの負担が追加され、消費者からの信用を回復できない場合、リスクが相当に高まる可能性を視野に入れる必要があると見ています。

フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題:信用力低下でスプレッドは急拡大

ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が米国でディーゼルエンジン車の排ガス規制を不正に逃れていたことを認めました。VWの株価は米国環境保護局(EPA)が9月18日付の書簡で、不正を指摘して以降、3割以上下落しています。債券市場ではVWの信用力が急激に悪化、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)スプレッドは一時300bp程度まで上昇(信用力は悪化)しています(図表1参照)。VWは創業以来で最大級の危機に陥っています。

VWディーゼルエンジン不正問題に関連するこれまでのポイント

VWの排ガス不正問題は全容の解明には相当時間がかかるものと思われますが、現段階で知りうる情報を元に今後の動向を占うと、短期的には今後想定されるリコール費用等へは対応可能と思われます。しかし、中長期的に訴訟費用などの負担が追加され、消費者からの信用を回復できない場合、リスクが相当に高まる可能性を視野に入れる必要があると見ています。

VWの最近の出来事から、次の点に注目しています。

(1)不正の対象と引当金

VWは排ガス規制を逃れる「無効化装置」と呼ばれるソフトウェアを搭載したディーゼル車の台数は全世界で1,100万台と公表しています。また、(想定される)リコール費用等への対応として2015年7-9月期の損益計算書に65億ユーロの引当金を計上することも表明しています。

(2)格付け会社の反応

スタンダード&プアーズ(S&P)は9月24日にVWとその主要子会社の格付けAにネガティブウォッチ(格下げ方向で見直し)を付与しました。またムーディーズ・インベスターズ・サービスは9月24日に格付けをA2(Aに相当)で確認すると共に見通しを弱含み(ネガティブ)に引き下げています。

フィッチ・レーティングスは9月23日に格付けAにネガティブウォッチ(格下げ方向で見直し)を付与しました。

S&Pの声明文を参照すると、S&PはVWの(営業活動による資金)/(修正後有利子負債)が45%以下、有利子負債EBITDA倍率が2.0倍以上になると見込んだ場合1段階格下げすると述べており、同指標に注視が必要です。

記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

続き)VWディーゼルエンジン不正問題に関連するこれまでのポイント

(3)制裁金と訴訟費用

9月後半にはVWの米預託証券(ADR)投資家の集団訴訟の表明や、米国の自治体の一部によるVWの提訴が報じられるなど、世界中で訴訟が広がる勢いです。

また米国当局はVWの違反に対し(報道では180億ドル(約2兆円)規模とも見込まれる)制裁金を課す模様です。

2015年7-9月期に計上が見込まれる①の引当金65億ユーロはVWの財務状況(自動車部門で215億ユーロの手元流動性資金純額「2015年6月末時点」や手厚い株主資本など)からすれば吸収可能とおもわれます(図表3参照)。ただし、7-9月期に計上することで、S&Pが注目する財務比率(有利子負債EBITDA倍率等)の低下には注意が必要です。

より問題なのは、中長期の展開で、法令違反に対する制裁金(罰金)や損害賠償費用はどの程度膨らむか予断をゆるさない状況です。特に損害賠償は想定額さえ不確かで、対応には時間もかかりそうです。

(4)ディーゼル車戦略

引当金が主にリコール費用のカバーに充当されるとしても、巨額に上ることが見込まれる制裁金や訴訟費用は今後の収益でカバーされる必要があると見られます。したがって、VWのビジネスモデル(戦略)が、信用力を判断する上で厳しく問われていくことになると思われます。

欧州はディーゼルエンジンの割合が高いのが特徴です(図表4参照)。VWは欧州を代表する自動車メーカーとしてディーゼルエンジンの普及をリードしてきました。欧州当局がディーゼルエンジン重視の方針を短期的に変更するリスクは低いと思われます。しかしながら、ディーゼルエンジンのイメージ回復が長期化、消費者のディーゼル離れが進むようであれば、戦略の見直しを迫られる可能性もあり、資金調達コストが高い中で新たな投資を余儀なくされる懸念もあります。先々、財政状況が急激に悪化する可能性には注意が必要と見ています。

VWの投資戦略のポイント市場も判断に迷う

VWは不正発覚前から、中国市場への依存が高いことを理由にアンダーウェイトとする動きが見られました。しかし、今回の不正は全くの想定外で、市場でもスプレッドの水準を図りかねている様子です。VWの財政状況は短期的に健全なこと、ドイツ政府が2009年オペルを救済したように、万一の場合でもドイツ政府の支援に期待して投機的な戦略を押す声も市場の一部では聞かれます。

しかしながら、訴訟費用や制裁金が不確定なこと、将来のビジネスモデルに不安があることを鑑み、VWには当面、慎重な姿勢の維持を基本にすべきと思われます。

 

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