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金はいつ反転するのか
塚本 卓治
2020/03/18

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概要

3月9日をピークに「安全資産」であるはずの金が売られている。3月16日にはピークから10%近い下落となった。なぜ金は下落しているのか、そして、金はいつ反転するのか。リーマンショックの頃、今回と同様に、米国株式と金が共に大幅下落したケースを分析すると、金は株より先に動き出し、8割のケースで大幅同時安の13週目に、金はプラスのリターンに転じた。



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なぜ金は下落したのか

3月9日をピークに「安全資産」であるはずの金も売られ、3月16日にはピークから10%近い下落となった。本来なら、金利低下や将来的なマネーの拡大への期待は金価格にはプラス要因のはず。

この下落の背景にあるのは、金の流動性の高さだ。株式などリスク資産の大幅な下落により、資金の手当が必要となり、特に年初来上昇してきた金は「換金売り」のターゲットにされやすかったと考えられる(図表1参照)。

同様の動きは、リーマンショック前後のときにも見られた(図表2参照)。景気後退局面に入る前に利下げが開始され、当初金は上昇するも(A)、米国株式が下落を続ける中で下落に転じた(B)。ただ、いち早く底をつけ、株よりも先に上昇に転じ、大きなリターンを提供した(C)。

 

 

リーマンショック時、金は先に底をつけた

リーマンショック時、金と米国株式が同時に大幅に下落したケースが5回あった(注1)。それぞれにつき、その13週後、26週後、そして52週後の金のリターンを検証してみた(図表3参照)。

①のケースでは、金と株が大幅下落した13週後に株はさらに下落、金のリターンは横ばいだったが26週後にプラスに転じた。それ以外の4つのケース(②~④)では、13週後に株はマイナスに留まる中、金はプラスのリターン(図の左上)となり、52週後は金・株式共にプラスとなった(図の右上)。

このように、あくまで今回同様VIX指数が高まったリーマンショック前後の分析ではあるが、金と株が共に大幅に下落したあと、13週間後に8割のケースで金のリターンはプラスに転じた事が確認できた。今回も換金売りが原因とするのであれば、「安全資産」としての魅力、金利低下や景気対策としてのマネー拡大期待に支えられ、今後は、金本来の動きに回帰する可能性は十分あるのではと考える。

 

 

 

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塚本 卓治
ピクテ・ジャパン株式会社
エグゼクティブ・ディレクター 運用本部 投資戦略部長

日系証券会社にて債券およびデリバティブ業務に従事した後、外資系運用会社および日系ファンド・リサーチ会社にて投資信託のマーケティングを担う。通算20年以上にわたり運用業界で世界の投資環境を解説。ピクテではプロダクト・マーケティング部長等を経て、現職。経験豊富なストラテジストが揃う投資戦略部を統括する傍ら、自らも全国の金融機関や投資家を対象に講演を行う。マサチューセッツ工科大学(経営学修士)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト


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