経済成長下の構造改革の進展 | ピクテ投信投資顧問株式会社

経済成長下の構造改革の進展 新興国 グローバル

2014/09/30新興国

ポイント

世界経済は、米国をけん引役に回復基調を辿るものと考えます。先進国の景気回復に伴う新興国の輸出の拡大が期待されますが、経済成長下では改革が進まなくなる場合があり、新興国投資ではこの点を見極めることが重要です。

世界経済の回復

今後数ヵ月間の新興国投資には、明るい材料と期待外れの材料が交錯する可能性もあると見ています。

楽観的な見方の背景にあるのは経済環境が好転しつつあることです。2014年上期の世界経済は低調でしたが、下期以降は、先進国経済が順調に回復し、新興国の輸出の拡大を促すことが予想されます。

米国では、製造業の回復に弾みが付き、一部住宅市場にも回復の兆しが認められます。米国の成長率は、2.5-3.0%に達するものと見込まれます。消費税率引き上げの負の影響が薄れつつある日本経済も好転が予想されます。景気低迷が長引くユーロ圏経済も、欧州中央銀行(ECB)の積極的な金融緩和策の効果を享受できるものとみています。

従って、世界三大経済圏(米国、日本、ユーロ圏:G3)の成長率が年内にも1.4%から1.8%に回復するとの予想は妥当だと考えます。かかる予想が実現すれば、新興国には強力な刺激が加わることとなります。G3の経済成長率が1.8%程度の場合、新興国の輸出の伸びは年率10%程度に達するのが通例だからです。

新興国の経済成長と構造改革

新興国経済の好転は、輸出の改善に留まらない可能性もあります。世界経済の回復と新興国経済の競争力の改善が同時に起こっているからです。

新興国の単位労働コストは、2013年に至る5年間で4.5%上昇し、先進国の1.3%の上昇を上回っていました。一方、2014年年初以降は、新興国の生産性が改善して新興国が再び優位に立ち、先進国の単位労働コストが新興国以上に上昇しています。また、新興国通貨が適正水準を2標準偏差以上下回って推移していることからも、輸出主導の新興国の成長持続が期待されます。一方で、好調な経済下では本当に必要な経済改革が進まなくなる場合があり、この点を見極めることが重要です。

新興国は、1997年のアジア通貨危機に続き10年間に及んだ景気拡大局面で、構造改革を大きく進展させたとは言えません。貿易の自由化や機構改革は、最優先課題とはみなされず、また、先進国向け輸出の拡大、低金利の継続、国際商品市場の活況等が改革の先送りを許す結果となりました。世界銀行が公表する「世界ガバナンス指標(WGI)」で測った先進国と新興国の統治基準の格差は、この15年間で拡大傾向を示しています。

例えばインドでは、モディ首相が投資の拡大と腐敗の撲滅という公約を実行するだろうとの期待が市場を支えています。一方、インドネシアは、実業界寄りの大統領選出後、構造改革の同義語となっています。このように、投資家の期待が高まっているときこそ、本当に必要な改革が実行されているのかを見極めることが必要です。

改革の波はブラジルにも飛び火しており、硬直した労働市場と公共セクターの見直しを公約に大統領選の最有力候補に浮上したシルバ候補に投資家の期待が集まっています。

改革を約束した政治家は、公約を果たすかもしれませんが、果たせない可能性も否めません。経済開発協力機構(OECD)の調査は、新興国が改革への熱意を失いつつあることを示唆しています。新興国の改革実行率は過去3年間で41%から33%に低下しているのです。OECDが新興国の長期成長に必須だと考える改革は、3分の1しか実行されていないこととなり、かかる数値は、2008年の金融危機直後の数値を下回っています。

今後数ヵ月間の新興国投資には、経済成長が好材料なのかあるいは悪材料なのかを見極めながら投資機会を探ることが重要と考えます。

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