新興国社債市場:下げ相場での抵抗力 | ピクテ投信投資顧問株式会社

新興国社債市場:下げ相場での抵抗力 新興国 グローバル 新興国債券

2014/11/28新興国

ポイント

新興国社債市場は、年初来、相次ぐ試練を乗り越えてきました。下げ相場において強い抵抗力を示し、魅力的な投資の機会を提供し続ける背景を、ピクテ・アセット・マネジメント新興国社債チームのヘッド、アラン・ドゥフィーズが解説します。

Q:新興国経済は、ここ数ヵ月、減速の度合いを強めていますが、新興国社債市場にはどのような影響が及んでいるでしょうか。また、世界経済の停滞は来年の投資収益にどのような影響及ぼすでしょうか。

アラン・ドゥフィーズ(以下、AD): 米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長が量的金融緩和の縮小計画に初めて言及した2013年5月の市場の急落等、相次ぐマクロ経済ショックに見舞われた新興国市場では、社債セクターの相対的な抵抗力が証明されました。当該セクターは2014年に入ってからも、中国の国内債券市場における初の債務不履行(デフォルト)や、アルゼンチン国債のデフォルト、ベネズエラ経済の混乱、ロシアとウクライナの衝突、中東の緊張などといった、市場の暴落を引き起こして当然の出来事を次々と乗り越えてきました。

新興国社債市場が強い抵抗力を有する理由の一つは、投資家層が安定していることにあると考えます。新興国社債の3分の2程度は、長期投資(「バイ・アンド・ホールド」)の傾向が強い機関投資家が保有しており、売買動向の予測がつきにくい個人投資家の保有は数パーセントに過ぎません。このことが意味するのは、新興国社債は、短期的な資金流出を引き起こす可能性のある投資家心理の振れに影響されにくいということです。

大手機関投資家の保有が新興国社債市場の強い基盤となる状況は今後も継続するものと思われます。年金基金等の機関投資家は、その性質ゆえ、安定的なインカム収入とポートフォリオの分散効果を提供する証券を常に必要としています。新興国社債はその大半が投資適格であり、機関投資家のニーズを満たすことが可能です。

また、新興国社債の利回りスプレッドは、同等格付けの先進国債券の利回りスプレッドの倍程度で推移しており、バリュエーション(投資価値評価)面でも魅力的な状況が続いています。ここ数ヵ月のような経済の停滞が今後も続くとしても、そのことが新興国社債の投資家にとってマイナス要因になるとは限りません。穏やかな成長と低インフレの環境が続く限り、高利回り債券の投資妙味が損なわれることはないものと考えます。

Q:米国経済の回復を背景にFRBが量的金融緩和プログラムを終了したことから、米ドルが買われています。米ドル高は新興国資産を下押す傾向がありますが、新興国社債にはどの程度の影響が及ぶと考えますか。

AD: ピクテが投資対象とする企業にとって、米ドル高が常に悪材料になるとは限りません。新興国市場には米ドル高の恩恵を享受する輸出企業が多数存在します。ブラジルやロシアの鉱山会社、ブラジルの製糖会社等、売上は米ドルで、費用は現地通貨で計上する企業です。これに対し、売上を現地通貨で計上するメディアや通信セクターの企業には財務面でのマイナスの影響が出るかもしれません。

国別の影響をみると、南アフリカ、トルコ、インドネシア、ブラジル等は、米ドル高の進行にぜい弱性を示すものと考えます。一方、対米ドルのペッグ制を採用する香港や、巨額の経常黒字を有する湾岸諸国は、抵抗力を示すものと考えます。

Q:資金調達コストの低下に伴って、新興国社債の新規発行が相次いでいます。新興国社債市場の信用リスクを増す結果になったと考えますか。

AD: 新興国経済は減速基調ですが、株主資本に対する総負債の比率でみた企業の借入比率は、絶対ベースでみても先進国の競合企業との相対比較ベースでみても、従来通り適度な水準に留まっています。

総借入比率を地域別に見ると、ラテンアメリカが3倍と最も高く、アジアは2.8倍、新興欧州、中東およびアフリカは1.6倍となっています。当該数値には、信用の質が概して低い準ソブリン発行体が含まれており、これを除いた数値は大幅に改善されます。

また、利息・税金・減価償却費用控除前利益(EBITDA)で測った新興国企業の利益率は、過去の最高水準(約20%)を僅かに下回るに過ぎません。借入金の利息支払い能力を測るインタレスト・カバレッジ・レシオも良好です。したがって、新興国社債の発行体の信用状況は引き続き安定的だと考えます。当該発行体の70%程度が投資適格企業であることも注目されます。3分の2程度が投機的格付けに留まっていた10年前と比べると、様変わりの状況です。

Q:米国が景気刺激策を縮小する一方で、その他の主要先進国は金融緩和を拡大しています。先進国中銀間の政策の相違は新興国社債セクターにどのような影響を及ぼすでしょうか。

AD: 主要先進国の中銀間の金融政策スタンスの相違は、今後数四半期にわたり、市場の振れを増幅させる可能性が高いと考えます。これに、国や企業固有の要因が加わると、投資リスクが増すと同時に投資の好機が提供されると考えます。

発行体にとっては、米金利の上昇が既発債の借り換えコストを上昇させることとなりますから、デフォルト・リスクが増す場合もあるかもしれませんが、相対的にリスクの高い発行体は投資可能市場の僅かを占めるに過ぎません。発行体の大半は、米国の金融引き締めの影響を受ける公算が低いと考えます。

米国の景気拡大に弾みが付き、FRBの金融政策がタカ派色を増して一部新興国の国内金利が上昇したとしても、新興国社債に大きな影響が及ぶ可能性は低いと考えます。金融や不動産等、国内金利上昇の影響を被る可能性をもつセクターがないわけではありませんが、新興国社債の大半は米ドル建てであり、国内金利の変動に対する感応度が高くはないからです。

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