中国株式市場:金融市場改革の勝者と敗者 | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国株式市場:金融市場改革の勝者と敗者 新興国 アジア 中国

2015/01/20新興国

ポイント

中国は、金融市場改革を推進し、国営企業の競争力の向上を促す開放型経済の構築を目指しています。中国の金融市場改革の恩恵に与るためにどのような株式投資を行ったらよいか、ピクテの中国株式ロング・ショート運用チームを率いるシニア・ファンド・マネジャーのラン・ワン・シモンが解説します。

中国は金融市場改革を急いでいるように思われます。中国の経済開放は、海外投資家にどのような投資の機会を提供すると考えますか?

ラン・ワン・シモン(以下、LWS): 海外投資家は、中国政府が最近導入した制度の大きな恩恵に与るものと考えます。上海・香港株式市場間の相互乗り入れ制度は、両市場の投資家に、史上初めて、互いの市場での直接投資を可能とした制度であり、小さくはあっても(経済開放に向けた)重要な一歩となりました。

海外投資家は、適格機関投資家の免許を申請しなくても、一日20億ドルを上限として中国株式を直接購入出来ることとなりました。当制度は、人民元の一段の兌換性を可能とし、米ドルに対する人民元の長期的な増価を促す公算が高いと考えます。

また、機関投資家に比べて頻繁な短期投資を繰り返す傾向の強い個人投資家主体の中国市場に、幅広い投資家の参入を促す一助となるものと考えます。個人投資家の短期売買は、中国市場(上海市場・深セン市場)の売買代金回転率が米国市場の7倍に達することからも明らかです(図表1参照)。


図表1:国別市場別売買代金回転率の推移
(期間:2003年1月~2014年12月)

※浮動株調整時価総額に基づいた売買代金回転率(年率ベース)。韓国、米国、台湾ならびに香港各市場の浮動株調整時価総額は国際取引所連合(WFE)のデータ、浮動株調整要因はMSCI国別株価指数に基づく。
出所:国際取引所連合(WFE)、ブルームバーグ、当該国証券取引所、ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

中国市場では、株価が異常な動きを示す傾向が強いのです。株価の上下動が激しいことは、2014年12月初め、上海総合株価指数が、一日のうちに3年半ぶりの高値を付けた後、急速な下げに転じ、5年ぶりの値下がり率を記録した例からも確認されます。

2000年代初めの台湾の株式市場も国内個人投資家主体の市場で、売買代金回転率が時価総額の8倍に達していましたが、足元の中国市場は、当時の台湾市場と同様の局面にあると考えます。台湾市場では、その後、機関投資家の市場参入が進むに連れて、売買代金回転率も低下しています。

投資家層の多様化が進む局面は、中国市場の発展の鍵となる局面です。相場の勢い(モメンタム)等のテクニカル指標よりもデータや企業価値分析が株価動向を左右する、より洗練された市場に導くこととなるからです。また、海外投資家の観点からしてもより魅力ある市場になると考えます。

国内経済の一段の減速が予想される局面で投資家が中国株式を買いたいと考える理由は何でしょうか?

LWS:経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は、常に株式市場のパフォーマンスに反映されるわけではありません。ピクテは、株式投資家として、経済の急成長を望んでいるわけではありません。持続不可能な成長は、まさに持続不可能なのです。企業が純利益を伸ばすことの出来る、穏やかな環境が好ましいと考えます。

過去10年程度のGDP(国内総生産)の二桁成長が証明する通り、中国企業の売上高は大幅に成長してきましたが、増収を持続するため、企業は常に、株式あるいはファンド出資の形での資金調達圧力にさらされてきたのです。

このような状況は、既存の株主に報いる状況とは言えません。企業は利益率の悪化のため価格決定力が無いに等しく、多くの産業が設備過剰に苦しんできました。その結果、大きな市場シェアを持つ寡占企業が不在だったのです。

足元、中国経済は緩やかな減速基調にあることから、業界の再編・統合が予想され、業種セクターや地方経済に寡占企業の出現を促すものと考えます。中央政府の推進する改革は、国内企業の旺盛なM&A(合併・買収)活動に現れています。例えば、中国第2の石油企業である中国石油化工(シノペック)は、2014年9月、小売り部門の株式の30%を174億ドルで売却しましたが、これは2014年最大のM&A案件となりました。また、2014年通年の国内企業間のM&Aは、前年比+24%の1,470億ドルに達しました(注1)

(注1)出所:ブルームバーグ、2014年12月9日現在、中国国内企業のM&A案件総額、公表ベース

過去の例を見ると、必ずしも経済成長と株式リターンの間に強い相関があるわけではありません。例えば、欧州株式市場は深刻な景気後退局面にあった1980年代後半から1990年代前半にかけて、10年に及ぶ強気相場を展開しました。この時には、業界の再編・統合が重要な役割を果たし、適者のみが生き残りました。一例を挙げると、スイスの製薬会社は十数社から僅か二社の大企業(ロシュならびにノバルティス)に集約されています。こうした動きは中国の株式市場でも起こる可能性があると見られます。

現在、中国企業の再編・統合の動きは未だ極く初期の段階にあり、完了するまでには5年程度を要することもあると見られます。このため投資家には長期にわたって、絶好の中国株式投資の機会が提供されると考えます。

政府は、成長の主な源泉を、輸出から国内消費に転換しようとしています。投資家は、ニュー・エコノミー企業のみに注力すべきだということでしょうか?

LWS:そうとは限りません。インターネット等のニュー・エコノミー・セクターは確かに活況を呈しており、売上ならびに利益の双方を伸ばしていることは一目瞭然ですが、オールド・エコノミー・セクターにおいても特異な投資の機会が散見されます。政府は環境問題を懸念しており、セメントや鉄鋼等の重工業セクターを合理化することで企業数を削減したいと考えています。安徽コンチ・セメント等の複数の企業が、今後5年程度のうちに、オールド・エコノミー・セクターの勝者として浮上するものと考えます。

暫くの間、金融セクターには弱気だったと理解していますが、見方は変わらないでしょうか?

LWS:昨年は弱気としていた銀行株セクターを、今年に入ってニュートラル(ベンチマーク並の投資比率)としました。市場は悪材料を織り込み済みであり、金融銘柄を弱気とする理由は殆どなくなったと考えます。一方、株価が割安で高配当利回りの公益株はオーバーウエイト(ベンチマークより高い投資比率)としています。

低迷する住宅セクターでは、資金繰りの悪化や経営破綻等の複数のイベント・リスクを想定しています。また、不動産セクターも政策リスクを抱えています。中国人民銀行が、市況梃入れのため、規制の緩和・解除を実施しているためです。

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