アジア株式投資の魅力 | ピクテ投信投資顧問株式会社

アジア株式投資の魅力 新興国 アジア

2015/02/16新興国

ポイント

足元で、インドや中国などの構造改革の進展に注目が集まっている一方、中国経済の減速を懸念する向きもあります。こうした状況下、アジア株式(日本を除く)への投資魅力やリスクなどについて、ピクテのアジア株式担当シニア・ファンド・マネジャー、アヴォ・オラが解説します。

インドや中国等、アジアの構造改革に対する投資家の楽観的な見方は正当化されると考えますか。また、そのような見方はどの程度、投資対象に反映されていますか?

アヴォ・オラ(以下、AO):インドと中国の構造改革に対する投資家の強い関心は正当化されてよいと考えます。インドでは昨年、産業界寄りのナレンドラ・モディ首相が選出され、国内経済が一変しています。モディ首相は、労働法の抜本的な見直し、燃料補助金の削減、eガバナンスの導入等、一連の前向きな改革を既に実行に移しており、このような改革が、国営企業の透明性と機動性の改善を促すものと期待されます。新政権の改革は小さな改革に過ぎないように見えるかもしれませんが、インド企業を大きく成長させる可能性が秘められています。一例を挙げると、特許庁に1,000人の役人を新規採用したことで、20万件と推定される認可待ちの特許申請数が削減されると考えます。ピクテでは、モディ首相の都市整備計画に特に注目しています。都市部の開発には、必要資金の調達に金融セクターの貢献が必須ですから、インドでは銀行銘柄などが注目されると考えられます。

中国株式投資についても、改革が注目されます。中国政府が目標の一つとして挙げているのが資本市場改革ですが、中国の資本市場は、国際的な基準に照らすと、ごく最近まで、外国人投資家のアクセスが困難な市場に留まっていました。昨秋導入された国内主要市場とオフショア市場間の売買を可能とする上海・香港相互乗り入れ制度は、このような状況を変えつつあります。中国市場の一日の平均売買代金が急増していることから、国内市場の国際化の恩恵に与ることが期待される金融銘柄が注目されると考えます。現預金の水準に対して株式市場の時価総額が著しく低いことからも、株式市場の拡大が予想されます(図表1参照)。


図表1:各国の現預金に対する株式市場時価総額の比率
(2014年12月末時点(注)

 

※各国株式市場の時価総額(浮動株)÷各国のM2(オーストラリアはM3)で算出 ※各国株式市場については、3ページに記載
(注):株式市場の時価総額はすべて2014年12月末時点、現預金は2014年12月末時点で取得可能なデータを使用
出所:ブルームバーグ、ピクテ・アセット・マネジメント・リミテッド

【図表1の 各国株式市場の時価総額(浮動株)】
米国:NYSE総合指数、香港:香港ハンセン指数、英国:FTSEオールシェア指数、オーストラリア:ASX全普通株指数、シンガポール:シンガポールFTSE STオールシェア、台湾:加権指数、フィリピン:フィリピン総合指数、インドネシア:ジャカルタ総合指数、日本:TOPIX、タイ:タイSET指数、韓国:韓国総合株価指数、マレーシア:FTSEプルサマレーシアEMASインデックス、中国:上海総合指数
それぞれの時価総額(浮動株)を使用

データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

国営企業改革も注目されます。政府は、効率性の向上や民間投資の誘致に加え、利益率の水準、投資収益ならびに企業統治(ガバナンス)の改善を目指しています。国営企業の抜本的な見直しが必要であることについては疑問の余地がありません。当該企業の総資産利益率は民間企業を大きく下回ります。その結果、国営企業は、利益率や自己資本利益率等の指標に基づいて、海外の競合企業と比較されることが多くなっており、今後は、増配を通じた株主還元の改善が期待されます。

中国経済の減速は、アジア株式市場にどのような影響を及ぼすと考えますか?

AO:中国経済の減速がアジアの一部に影響を及ぼす可能性はあります。域内の素材ならびにエネルギー関連企業は打撃を被る公算が大きいと考えます。資源需要の最大の担い手である中国の購買力が減退しているからです。例えば、タイのゴム輸出業者やインドネシアの素材関連企業は、利益予想の下方修正を余儀なくされるでしょう。

とはいえ、アジア株式への投資に際して、中国経済の減速の影響をさほど気にする必要はないと考えます。経済成長が従来の水準をある程度下回るという現象は、輸出および投資主導の経済から消費主導でより均衡の取れた経済への転換期に特徴的な現象だからです。こうした転換は、産業セクター内での再編をもたらすことが予想されますから、業界の再編・統合を生き残る勝者を見極めることが投資収益を獲得する鍵となると考えます。

ピクテでは、セメントや鉄鋼関連企業では今後、2~3年で勝者と敗者が明確になると見ています。当然のことながら、勝者となりうるのは低コストで財務規律の厳格な企業であると考えられます。

輸出や投資と消費との均衡を目指す中国経済の転換は、国境を越えた近隣諸国にも影響を及ぼします。中国企業は、利益率の低い廉価品の製造を、企業の労働コスト競争力がより強い、ベトナム、インドネシア、タイ等の企業に移管しています。

中国全域で個人消費支出の伸びが加速するのと同時に、アジア域内を含む海外に旅行する中国人観光客の伸びも顕著となっています(図表2参照)。ピクテでは、このような状況に着目し、域内の空港運営会社やレジャー関連企業にも投資魅力があると考えています。

図表2:中国からの海外旅行者数の推移
(期間:1994年~2013年)

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント・リミテッド
データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

中国企業を含むアジアの企業は、利益率の低い廉価品製造から、より付加価値の高い製品の製造やサービスの提供に軸足を移しているとのことですが、幾つか例を挙げていただけますか?

経済の転換が既に起こりつつあることを示唆する多数の例が散見されます。ここでは、企業というよりは、一国の経済全体の転換の例を見てみたいと思います。

輸出・投資主導型経済から消費主導型経済への転換の最初の例は、1970年代にハイテク産業への転換を図った韓国に見られました。アジア、なかでも中国が「革新」を重視していることは、特許申請件数が年々増加していることからも明らかです。世界知的所有機構による統計では、2013年1年間において中国の特許申請件数は前年比+26.4%と韓国の同+8.3%を上回る増加率を示しました(なお、米国は同+5.3%、欧州の同-0.4%)。アリババ集団や小米科技(シャオミ)等の中国企業は、中国全土はもとより国境を越えた近隣諸国をも席巻した革新の典型例です。

アリババは、短期間のうちに、流通総額で測った世界最大の電子商取引(eコマース)企業に発展しています。同社の世界市場での成長の可能性が、巨大かつ確固とした国内の事業基盤を構築することが出来たという事実に因るものであることが注目されますが、そのことこそが、リスクを取って海外市場に打って出る力をアリババに与えたものと考えます。低コストの携帯電話メーカーであるシャオミも、アリババと同様の道のりを歩んできました。国内市場ではコスト・リーダーとしての存在感が際立っており、低価格機種をインド等の新興国に輸出する一方で、(絶対水準は低価格に留まるものの)相対的に見ると高価格機種を国内市場に提供し、アップルやサムソン等の高価格製品に対抗しています。また、この間、相対的に見て利益率が高く、高度のアプリケーションや端末を開発しています。

アジア企業の利益成長は回復基調ですが、株価のバリュエーション(投資価値評価)に織り込まれていると考えますか?

AO:アジア企業の2014年の利益成長率は前年比+10%程度でしたが、現時点で2015年については同+10%~+15%のレンジへと成長モメンタムの改善を見込んでいます。

また、先進国企業の利益成長率予想との比較感でも、2015年はアジア企業の利益成長率が上回ると予想されています。

アジア企業はその大半がエネルギー集約企業であり、世界の他地域の企業以上に、原油価格の大幅下落の恩恵に与ることが予想されます。ピクテでは、原油価格の25%の下落がアジアの年間経済成長率を0.8%押し上げるものと予測しています。エネルギー価格の下落は、利益率の上昇を通じて、消費者の可処分所得を増やすこととなりますが、更に、安定的なドル高が、アジア企業の世界市場における競争力を高めるという追加的な恩恵を提供しています。このことは、足元の株価バリュエーション(投資価値評価)に十分には織り込まれていないと考えられます。

欧・米の株式市場の好調な展開に対し、アジアの株式(日本を除く)市場のバリュエーションは、株価純資産倍率(PBR)で見ても株価収益率(PER)で見ても、過去の水準に比べて低水準に留まっています。どちらの指標も、長期平均を0.5標準偏差程度下回っているからです。ピクテの予想通りアジア企業の利益成長率が達成できるとすれば、増配傾向も強まると考えられます。アジア企業は、総資産に対して巨額の現金を積み上げており、他地域の企業の現金水準を大きく上回ってます。

今後のアジア株式投資に係るリスクについて、ご説明いただけますか?

ピクテでは、マクロ経済関連リスクと個別企業レベルのリスクの双方を、回避あるいは軽減したいと考えています。マクロ経済関連リスクでは、引き続き、米国の金融政策を注視しています。米国の利上げは、インドネシア、タイ、フィリピン等のアジアの債券市場に影響を及ぼす可能性があり、それが、株式市場への連鎖反応を引き起こさないとも限りません。

もっとも、原油価格の大幅な下落は、米国の金融引き締めによる負の影響を一部相殺すると考えます。

マクロ経済関連リスクでは、中国経済の動向も懸念されます。中国経済の足元の成長速度は持続可能だと考えますが、信用市場の流動性の状況、中央銀行の金融政策、不動産市場の展開等については、引き続き、注視が必要だと考えます。

一方、個別企業レベルのリスクでは、原油安、原油以外の国際商品動向、ドル円レート等が、企業収益に対し、プラスとマイナス、両方の影響を及ぼしていると考えます。中国の石油関連企業や輸出型企業については、ブラジルやロシア向けの輸出比率が高い企業で、利益見通しの下方修正が懸念される企業を見極めるべく、分析を行っています。このような企業への投資は、当面控えるべきだと考えます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

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