ギリシャ問題の影響について | ピクテ投信投資顧問株式会社

ギリシャ問題の影響について 新興国 欧州/ユーロ圏 ギリシャ

2015/06/29新興国

ポイント

ギリシャが債務不履行に陥る可能性を受けて投資家のリスク回避の動きが強まることで新興国株式市場の値動きは大きくなる可能性があります。しかし、新興国諸国の経済に対する直接的な影響は軽微であり、懸念が後退した場合には、新興国株式の割安感や中長期的な成長力が再評価され、株価が反発する公算が大きいと考えます。

特集:ギリシャ危機レポート

ギリシャを巡る協議決裂、週明けの主要株式市場は下落

ギリシャを除くユーロ圏18ヵ国は6月27日の会合において、ギリシャが求めていた金融支援の延長を拒否しました。ギリシャは6月30日に国際通貨基金(IMF)に対する債務返済(15億ユーロ)を控えていますが、金融支援の延長が拒否されたことで、債務返済の履行ができない可能性がでてきています。

こうした状況を受けて、週明け6月29日の株式・為替相場は、投資家のリスク回避の動きが強まったことなどを背景に、日本時間午後4時30分時点で主要株式市場は軒並み下落、通貨ユーロも下落基調となっています。

新興国株式にとって短期的にはマイナスも、中長期的には投資機会となる可能性

新興国株式市場は、先進国に比べると市場規模が小さいことなどから、投資家のリスク回避姿勢が強まった場合には、値動きが大きくなる可能性があります。過去、リーマン・ショック(2008年)や欧州債務危機(2011年前後)の時点においても、新興国株式市場は下落しました。しかし、その後は、世界的な景気回復や中長期的な新興国の成長力に対する再評価などから、上昇に転じました。

今回のギリシャを巡る問題でも、新興国諸国の経済に対する直接的な影響は軽微であるとみられますが、世界の投資家がリスク回避姿勢を強める可能性は大いにあることから、新興国株式市場は当面、値動きの大きい展開となる可能性もあり、注視が必要と考えます。

しかし、こうした懸念が後退した場合には、新興国株式市場のバリュエーション(投資価値評価)面での割安感や、中長期的な新興国の成長力などから、株価が反発する公算が大きいと考えられます。このため、株価下落は、中長期的な投資機会を提供するとも考えられます。


図表1:過去10年間の新興国株式市場の株価推移
(日次、米ドルベース、期間:2005年6月30日~2015年6月26日)

※新興国株式:MSCI新興国株価指数(配当込み)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

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 ※ギリシャ問題の詳細はこちらをご参照ください。

~ご参考~ ギリシャの突然の国民投票で緊迫化

ギリシャ支援交渉の決裂で、6月30日期限のIMF向け返済は滞る可能性が高くなり、また7月、8月の国債償還も、支援再開がない場合、デフォルト懸念が高まっています。今後の事態を占う上で、国民投票の行方が注目されます。

ギリシャ:債権団との交渉決裂、国内銀行の休業と資本規制導入を発表

ギリシャ支援延長を巡り2015年6月27日に開催されたギリシャとユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の会合は決裂しました。ギリシャのチプラス首相は27日、支援の条件について是非を問う国民投票を7月5日に実施すると表明すると共に、6月30日期限の金融支援を国民投票後まで延長するよう要請したことに対し、ユーログループはギリシャの要請を拒否、期間の延長に応じないことを決定しました。この動きを受け、欧州中央銀行(ECB)は、ギリシャの銀行の資金繰りを支えてきた緊急流動性支援(ELA)の上限を据え置きました。これに対しギリシャ政府は、資本規制と銀行休業に関する法令を発表しました。

どこに注目すべきか:ギリシャ、国民投票、銀行休業、資本統制

ギリシャ支援の交渉決裂により、6月30日期限のIMF向け返済は債務不履行(デフォルト)となる可能性が高くなりました(※)。また7月、8月には国債償還も控えており、支援再開がなければデフォルトする懸念が高まっています。今後の事態を占う上で、国民投票の行方に注目しています。

国民投票の内容は未公表ですが、単純化すれば債権団が提案する緊縮財政案を受入れる(=イエス)か受入れない(=ノー)かの選択になる見込みです(図表2、(2)、(3)参照)。そこで図表2で現状を確認すると、29日は(1)の段階にあたります。ギリシャの突然の国民投票を受け、債権団との交渉が決裂し、緊急流動性支援の上限が据置かれたことで、ギリシャは29日からの銀行休業を公表しています。

次に、今後の鍵となるのは7月5日のギリシャ国民投票と見られます。市場が期待(希望)するのは緊縮案受入れです(図表2、(2))。このシナリオであれば交渉再開による支援延長や融資が見込まれるからです。ただし、現政権は国民投票でノーを国民に訴えるなど債権団の緊縮案に否定的であるため、解散総選挙による新政権樹立などが必要と見られ、政局が不透明要因となるケースも考えられます。

反対にノー(図表2、(3))の場合、ギリシャ国民が緊縮案の受け入れを拒否したこととなり、交渉再開の可能性はほぼ消滅、7月、8月の国債償還は難しくなり、デフォルト懸念が高まると共に、その後の展開によってはギリシャの国内銀行の再編、さらにはユーロ圏離脱も考えられるシナリオとなります。

市場への影響は②の場合はプラス(例えばユーロ高)が想定されますが、新政権の樹立など不透明要因もあります。

一方、(3)の場合は市場への悪影響が想定されます。ただし、ギリシャ向け債権の多くは公的部門(ECB、EU、IMF)に移っていること、ECBは国債購入プログラム(OMT)などでの対応が期待されること、ユーロ圏の経済のファンダメンタルズが健全なことなどから、ある程度、影響が抑えられる可能性は考えられます。しかしながら、事態は極めて流動的であり、当面、市場の動きを慎重に注視する必要があります。

※スタンダード&プアーズは先日、ギリシャ政府がIMFなど公的債権者への返済不能となっても格付けを選択的デフォルトに引き下げない考えを示唆


図表2:ギリシャ債務危機の主なシナリオ

 

出所:各種報道等を基にピクテ投信投資顧問作成

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