ドル建て新興国ソブリン債券の足元の状況 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ドル建て新興国ソブリン債券の足元の状況 グローバル 新興国債券 北米 米国

2015/11/24新興国

ポイント

ドル建て新興国ソブリン債券と米国国債の利回り差は、中国の景気減速懸念などを背景としたリスク回避の動きの影響を受け拡大しましたが、足元、縮小傾向にあります。新興国債券ファンドからの資金流出額も減少しており、投資家心理が改善し、リスク資産を買い戻す動きが始まった可能性があります。

米ドル建て新興国ソブリン債券と米国国債の利回り差は拡大

米ドル建て新興国ソブリン債券と米国国債の利回り差は、中国の景気減速懸念などを背景としたリスク回避の動きの影響を受け2015年9月末時点には4.3%まで拡大しました。

2015年10月末時点でも、利回り差は3.9%となっており、過去10年の平均値を上回る水準となっています。(図表1参照)。
注JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ベース

過去10年、利回り差が平均+1標準偏差を超えたのは2回

過去10年で見ると、新興国ソブリン債券と米国国債の利回り差が平均+1標準偏差を超えて拡大したのは、世界的にリスク回避の動きが強まったリーマンショック後(最大7.7%、2008年11月末)および欧州債務問題後(最大4.4%、2011年9月末)の2回です。

過去2回のケース(リーマンショック後および欧州債務問題後)を見ると、利回り差は大きく拡大したあと、縮小に転じましたが、縮小の過程でドル建て新興国ソブリン債券の代表的な指数であるJPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数(ドルベース)は上昇しています(図表2参照)。

今回も、中国の景気減速懸念などを背景としたリスク回避の動きの中で2015年9月にかけてドル建て新興国ソブリン債券と米国国債の利回り差が拡大しましたが、同10月以降は、中国の利下げ実施などを背景にリスク回避の動きが後退する中で、利回り差は縮小に転じています。

※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。

新興国債券市場には変化の兆しも

2012年以降の新興国債券市場への資金流出入の動向をみると、2012年9月からスタートした米国の量的金融緩和について、2013年5月に米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長(当時)が、縮小を示唆する発言をしたことなどを受けて、投資家のリスク回避の動きにより、新興国市場から資金を引き揚げる動きが強まりました。

その後も米国の金融政策を巡る思惑や、地政学リスクの高まり、中国経済に対する懸念などを受けて投資家心理が冷え込んだ局面では、新興国市場から資金流出の動きが大きくなりました。

直近の傾向を見ると、新興国債券市場で変化の兆しが見られます。2015年10月時点では資金流出額は縮小し、新興国ソブリン債券(米ドルベース)のパフォーマンスは改善の兆しが見えています。この背景には、投資家心理が徐々に改善し、リスク資産を買い戻す動きを始めた可能性もあることなどが考えられます(図表3参照)。

投資家心理の回復局面では、相対的にリスクの低い資産に資金が流入

一般に、投資家心理が徐々に改善し、投資対象を広げる段階において、相対的にリスクの低い資産から、投資資金が流入しやすいという傾向があります。株式より債券へと先に投資資金が流入しやすく、債券市場の回復が株式市場より先行する可能性が高いと考えられます。

実際に、過去20年間において、市場が大きく調整したいくつかの局面における新興国株式と新興国ソブリン債券のパフォーマンスを比較すると(ここでは、①アジア通貨危機やロシア危機(1997~98年)、②リーマン・ショック(2008年))、いずれの局面でも、新興国ソブリン債券が底打ちから回復に至るペースが新興国株式より速かったことがわかります(図表4参照)。

またドル建て新興国ソブリン債券は、過去2回の大規模なリスク回避局面( ①アジア通貨危機やロシア危機、②リーマン・ショック)で大きく下落しましたが、その後、成長期待など新興国のファンダメンタルズ(基礎的条件)が注目されることで投資家心理が回復する中で反発し、どちらの場合もリスク回避前の高値を回復しています。

※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。

日米欧の国債利回りは低下し、新興国ソブリン債券の相対的な魅力が高まる

足元、日本や米国、ドイツの国債利回りは、日本や欧州における量的金融緩和策の継続や、中国の景気減速懸念を背景に世界経済の先行き不安が広がり、リスク回避の動きが強まる中で、低下してきています。そのためインカム収入の獲得を目的とする投資家にとって、日米欧の国債の利回り面での相対的な魅力が低下していると考えられます(図表5参照)。

一方、ドル建て新興国ソブリン債券の利回り(円ヘッジ後)は2015年10月末時点で5.9%となっており、日米独の国債や米国社債などを上回り、利回り面での相対的な魅力は高いと見られます(図表6参照)。

価格変動(=リスク)についてみると、新興国ソブリン債券は日米独の国債や米国社債に比べ価格変動が大きな傾向にありますが、ヘッジ後の利回りを価格変動で割った数値(リスクあたりの利回り水準)を見ると、ドル建て新興国ソブリン債券の数値が他の債券よりも高くなっており、相対的に魅力的な位置にあると考えられます。

ただし、ドル建て新興国ソブリン債券については、価格変動が日米独の国債よりも大きな傾向にあり、特に急速にリスク回避の動きが強まった場合などは債券価格が大きく下落する可能性がある点には注意が必要です。

米国金利の急上昇や中国経済の減速が当面の懸念材料

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は先進国市場に比べて、借金残高が少ないこと、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べて利回り差の縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。

※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。

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