中国:新しい人民元指数を発表 | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国:新しい人民元指数を発表 新興国 アジア 中国

2015/12/15新興国

ポイント

2015年12月11日、中国人民銀行は新しい人民元指数を発表しました。今後は、対米ドルの人民元レートに替わり、13の主要通貨に対する貿易加重の人民元レートが重視されることとなります。ドル・人民元レートは、2016年を通じた元安が予想されます。

足元の人民元の推移

2015年11月初旬以降、中国人民元の対ドル・レートは、1ドル=6.32元から12月14日現在1ドル=6.46元へと下落基調を呈しており、足元数日間、人民元安が加速しています(図表1参照)。この結果、人民元は、ドルに対して2%以上、減価しており、人民元の切り下げ懸念が再浮上しています。かかる懸念が現実のものとなる可能性は低いと思われますが、中国の金融政策が大きく変わりつつあることには注視が必要です。

国際金融のトリレンマ

2015年8月11日に、中国が人民元の「基準値」の算出方法を変更した主な理由の一つは、経済学者ロバート・マンデルが提唱した「国際金融のトリレンマ」(自由な資本移動と固定相場制を維持するのであれば、金融政策の独立性は失われるとする説)に起因します。中国は、資本市場を開放して資本取引を自由化し金融政策の独立性を維持したいと考えているわけですから、厳格な為替レートの管理は行えないということになります。米連邦準備制度理事会(FRB)が12月半ばにも最初の利上げに踏み切り、2016年を通じて複数回の利上げを行うことが予想される一方で、中国人民銀行(中央銀行)はインフレ低下圧力を抑えるべく金融緩和姿勢を維持していることから、対ドルでの人民元安傾向が想定されます。中国人民銀行は、2016年を通じた対ドルの人民元レートの安定推移を担保するのに十分な外貨準備を保有していると思われますが、対ドルの人民元レートの足元のトレンドからは、中国人民銀行が頻繁な為替介入を伴う管理相場制から、為替介入を極力控えた変動相場制への緩やかな移行を図っていることが示唆されます。

中国人民銀行、新しい人民元指数を発表

2015年12月11日、中国人民銀行は、同国の「財とサービスの国際競争力をより正確に測るための手段」として、人民元指数を発表しました。指数そのものについては、世界の他の中銀も同様の指数を採用しており、特段目新しいわけではありませんが、中国の通貨政策に大きな変更が行われたことを示唆するものとして注目しています。人民元は、2005年以降、表向きは、(構成比率の明示されない)通貨バスケットに連動(ペッグ)しているとはいえ、実際上はドルに連動していることから、人民元の増価・減価は常にドルと比較されてきました。人民元指数の発表は、中国人民銀行が、ドルのみではなくバスケットを構成する複数の通貨に対するレートを注視しつつあることを明確に示しています。新しい通貨バスケットの構成比率は、ドルが26.40%、ユーロが21.39%、円が14.68%となっています。今後、中国人民銀行が、為替レートの安定に言及する際には、対ドルのみではなく、ドル、ユーロ、円を含む複数のバスケット通貨に対する人民元レートの安定を指すことになります。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

中国人民銀行は極度の人民元高を望んでいない

中国人民銀行は、2015年8月11日、人民元「基準値」の算出方法を変更し、FRBが利上げをためらっているうちに、人民元の変動相場制への移行に向けた地ならしを進めました。また、FRBの利上げの直前の12月11日に、「市場参加者が為替レートを見る際に、二国間のドル・人民元レートではなく、通貨バスケットに対する人民元レートを注視するための指針となる」として人民元指数を発表したことは、対ドルの人民元レートに対する管理を弱めることを明確に示すものと考えます。構造改革を背景としたインフレ低下圧力と経済成長モデル変更の最中にある中国にとって、貿易加重ベースの人民元高は好ましくありません。人民元は適正に評価されていると中国人民銀行が判断すれば、ドル高が進んだ場合にも、中国はドル・人民元相場の自由な変動を容認するものと考えます。換言すると、通貨バスケットの安定は、通貨バスケットに対してドルが上昇した場合、対ドルの人民元安をもたらす可能性があるということになります。

ドル・人民元レートはドル高方向を予想

金融政策の方向性の違いから、ドルは大半の通貨、とりわけ、ユーロと円に対して強含んでいます。一方、中国については、8月11日の人民元「基準値」算出方法の変更と12月11日の人民元指数の発表を受け、人民元が通貨バスケットに基づく適正値近辺で推移するよう、対ドルの人民元安が進むことが想定されます。もっとも、対ドルの人民元の大幅安が示唆されるわけではありません。先ず、強過ぎる米ドルはFRBの利上げのペースを遅らせることとなり、それがドルを損なうこととなるからです。次に、対ドルの人民元の大幅減価は、中国が望む資本市場の開放を妨げる(特別引出権(SDR)への採用が人民元の国際通貨化への一里塚に留まる)ことになりかねないからです。更に、中国人民銀行は、対ドルの秩序だった人民元安を誘導するのに十分な外貨準備を保有しています。したがって、2016年入り後もドル高が続けば、中国人民銀行は1ドル=6.70元を睨んだ人民元安を容認する公算が高いと考えます。

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