新興国通貨、反転上昇への序章となるか | ピクテ投信投資顧問株式会社

新興国通貨、反転上昇への序章となるか 新興国 グローバル

2016/04/01新興国

ポイント

新興国通貨は、過去平均から大きく乖離した水準へと下落し、特に資源国通貨などを中心に過去平均から大きく下方乖離している通貨については、悪材料は織り込み済みであるとも考えられます。こうした中、経済のファンダメンタルズの改善や米国の緩やかな利上げペースなどは、新興国通貨にとってプラス要因となると考えられます。

ここまで過去平均を大きく下回る水準へと下落した新興国通貨だが・・・

アジア通貨危機やロシア危機などの新興国に端を発した経済危機やその後の世界経済の低迷などを経た後、 2003年以降、新興国通貨は経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)の改善や高い経済成長などを背景に、対米ドルで上昇(新興国通貨高)基調となりました。その後、リーマン・ショック前後において再び下落(新興国通貨安)し、その後急回復しました。

2011年以降、ギリシャ危機に始まる欧州債務危機などにより世界的にリスク回避の動きが強まったこと、さらに2013年以降は米国の金融政策動向などを巡って米ドル高が進んだことや、中国経済の減速なども加わり、新興国全体でみると経済成長は減速し、また、経済のファンダメンタルズについても懸念が強まりました。こうした状況を受けて新興国通貨は再び大きく下落し、足元では過去平均(期間:1999年12月末~2016年2月末)から+3標準偏差以上乖離した水準に達しています(図表1参照)。

資源国の実質実効為替レート、悪材料は相当程度織り込み済みか

また、通貨価値を複数の貿易相手国通貨に対する為替レートを貿易取引額で加重平均し、かつ、インフレ率の違いも考慮した実質実効為替レートを主要新興国別に見ると、足元(2016年2月末時点)の水準は、過去平均(1994年1月末~2016年2月末)を下回る通貨が散見されます。特に、産油国・資源国である南アフリカやコロンビア、メキシコ、ロシア、ブラジルなどの通貨は過去平均からの下方乖離が大きくなっており(図表2参照)、悪材料はある程度織り込み済みであるとも考えられます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

経済のファンダメンタルズの動向に注目すると・・・

通貨の動向を見る上で、重要な要因の一つである経済のファンダメンタルズについて、ここではインフレと経常収支(対GDP比%)をみることとします。

インフレ(物価上昇)は、貨幣の価値が低下することにつながりますので、インフレ率が高い国は一般的に通貨安の傾向が見られます。

一方、経常収支(財・サービス貿易収支と所得収支(利子配当収入等)など)は、対外的な取引を通じた損益を示す指標で、為替レートの決定に影響を与える要因の一つとなります。経常収支の赤字が大きい国は、海外からの投資資金への依存度が高くなることや、外貨準備高の減少につながることから、通貨は不安定となりやすく、通貨安の傾向になりがちです。

特に、トルコやインド、南アフリカ、ブラジル、インドネシアなどの経常赤字を抱えている国の通貨は不安定な動きとなってきました。また、交通運賃やエネルギー価格の引き上げに加え、レアル安や干ばつに伴う食料品価格の高騰などの影響を受けてきたブラジルや、ウクライナ問題を契機に西側諸国からの経済制裁を受けているロシアでは、ルーブル安による輸入物価の上昇などの影響からインフレ率の急上昇に直面していました。

足元では、新興国通貨安・ドル高による輸出競争力の高まりや内需減少などを受けて貿易収支の改善から経常赤字の縮小が見られる国も散見されます。また、インフレ率についても高インフレに直面していたブラジルなどではこれまでに政策金利の引き上げなどを行ってきておりこうした効果などから、全体的にみれば落ち着く方向にあることが予想されています(図表3参照)。こうした経済のファンダメンタルズの安定化は新興国通貨の下支え要因になると考えられます。

米国の利上げが緩やかなペースで進んだ場合も、新興国通貨を下支え

2016年3月16日、米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米経済の成長は継続し労働市場は健全であるものの、世界経済の弱含みについて言及し、政策金利の据え置きを発表し、さらに、年内の想定利上げペースを2回に引き下げました。

特に2013年以降、米国の金融政策の引き締め傾向への転換が意識されはじめたことなどを背景に、米ドル高・新興国通貨安傾向が続いてきました。2015年12月に、ついに政策金利であるFFレートの誘導目標を年0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げ、2008年末から続くゼロ金利政策が解除されましたが、こうした政策転換は市場では織り込み済みであったことなどもあり、足元まででみると、米ドル高基調には一服感も見られています(図表4参照)。

今後も利上げペースが緩やかに進むのであれば、これまで長らく続いた新興国通貨への下方圧力の一つが緩まる可能性もあるため、米国の金融政策動向、さらには大統領選挙の行方などの政治動向にも注目していく必要があると考えます。

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