中国:新しい都市「雄安新区」でさらなる経済発展を | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国:新しい都市「雄安新区」でさらなる経済発展を 新興国株式 アジア 中国

2017/04/13新興国

ポイント

中国政府が「雄安新区」の建設計画を発表すると、関連銘柄が軒並みストップ高となるなど、株式市場でも驚きをもって迎えられました。雄安新区は今後の都市開発戦略の実験台になると同時に、中国経済に極めて大きな長期的影響を及ぼすことが期待されます。世界の注目が集まる雄安新区について、ピクテ香港オフィスからのレポートをお届けします。

雄安新区の開発計画

中国政府は4月1日、新しい都市の建設計画を発表し、国民を驚かせました。「雄安新区」と呼ばれるこの新都市は、北京の南西100キロメートルに位置する河北省の3県(雄県、容城県、安新県)にまたがり、中国北部の2直轄市である北京、天津と結んだ正三角形の地域を形成します(図表1参照)。

政府の発表によると、開発初期段階の面積は100平方キロメートルに及び、将来的には、2,000平方キロメートルへの拡大が予定されているとのことです。中国国務院は、この新区を「国家的意義を持つ」プロジェクトと位置付け、「この千年紀(ミレニアム)にとって極めて重要な戦略」であるとしています。中国共産党機関紙を発行する新華社も、雄安新区が、中国経済の改革と発展の一里塚となった深セン経済特区(80年代に開発)や上海市浦東新区(90年代に開発)に匹敵する重要性を持つだろうと報じています。

雄安新区は、習近平国家主席が自ら主導するプロジェクトであることが広く報道されています。政府が重視していることを踏まえると、当プロジェクトが今後数十年を通じて最も重要な国家プロジェクトになる可能性もあると思われます。

雄安新区の使命

雄安新区の最も重要な使命は、膨張する人口、交通渋滞、住宅価格の高騰、資源不足など北京が抱える様々な「大都市病」の症状を緩和することです。北京は2016年に人口2,200万人を突破、1980年代初めから倍増しています。また、住宅価格は2002年から2016年の間に6倍に値上がりしています。

雄安新区の建設は、これまで政府がことごとく失敗してきた北京市の過密化の抑制を図るための最も重要な事業となることが期待されます。

政府計画によると、北京はこれまで通り、政治、文化活動、国際交流、各種イノベーション等の中心地であり続ける一方、国の首都としての役割に関連の薄い「非首都機能」は、北京から主に雄安新区へ徐々に移転されるようです。現時点では、中央政府が直接経営する国営企業(SOE)の80%以上が、北京に拠点を置いていますが、その多くは数年以内に雄安新区に移される公算が高いと思われます 注 。

(注:本稿作成中に、中国船舶工業集団が、国営企業としては初めて、北京にある拠点を、雄安新区から40キロメートルの保定市に移転する計画を発表しています)

雄安新区の第2の使命は、(深センを中心とする)珠江デルタ地域、(上海を中心とする)長江デルタ地域に匹敵する活気に満ちた経済圏を建設するために、北京・天津両都市と河北省との間の経済統合を進めることです。

国民一人あたりGDP(国内総生産)で測ると、北京・天津・河北地域内の経済格差は、長江デルタや珠江デルタの地域内格差に比べて深刻です(図表2参照)。

2016年現在の北京の国民一人あたりGDPは11万5,000元(約180万円)であるのに対し、河北省では、地級市でもある省都・石家荘市でさえ北京の半分、河北省全体では3分の1に留まります。雄安新区の開発は、河北省の経済発展を後押しすると同時に、域内の格差の是正を助けるものと考えます。

関係当局によると、雄安新区の第3の使命は、構造改革を深化させ、スマートで環境に優しい都市づくりの手立てを探りながら、都市インフラを改善し、交通網を効率化することです。

雄安新区の開発プロジェクトは、農村地帯にゼロから新しい都市を建設するようなものとだと言えるでしょう。このようなプロジェクトは、立案者に様々な難題を突き付ける一方で、事前の制約にほぼ縛られることなく、最も適切なデザインを提供できるということも確かです。新しいテクノロジーと中央政府の財政支援が約束されていることは、雄安新区が、深センや上海浦東の開発初期に比べて優位な状況にあることを意味します。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

経済への影響

雄安新区の開発は、今後10年単位でみると、極めてスケールの大きなものになるとしても(ただしスケジュールの詳細は未だ明らかにされていません)、近い将来における経済への直接的な影響は限定的なものに留まりそうです。目先1年から2年は、恐らく、実際の建設というよりも都市計画やロジスティックスに費やされると予想されます。したがって、雄安新区の開発が、2017年の中国経済の予測を大きく変えることはないと考えます。

しかし、雄安新区の開発が政策立案者の期待通りに実行されるならば、その長期的な影響は、以下の理由で、極めて大きなものとなり得ます。

1点目は、雄安新区への施設移転が河北省経済の直接的な押上げ要因となることです。北京・天津・河北省間の統合の深化が、インフラの改善と政府の支援を得て、地域全体の中期的な高成長を促進する可能性があります。

2点目は、雄安が中国の都市開発戦略の実験台になるということです。雄安新区の開発から得られる教訓を、他地域の開発に応用することが可能です。都市の環境保護を強化しつつ、ハイテク産業を育成するという経験は、中国にとってとりわけ貴重なものとなるでしょう。

3点目は、雄安新区の開発が、国営企業改革の「新ラウンド」を展開するきっかけになり得るということです。国営企業を北京から移転することは、背後にある政治のネットワークと利権政治の影響を弱める助けとなるでしょう。

雄安新区の開発からは多くの成果が期待されます。

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