中国:インフラ関連銘柄投資の魅力 | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国:インフラ関連銘柄投資の魅力 グローバル 新興国

2017/07/11新興国

ポイント

中国のインフラ関連企業は、国内の交通・輸送関連投資、「一帯一路」構想、「雄安新区」建設プロジェクト、各種のPPPプロジェクト等を追い風に、今後数年にわたって、国内外からの新規契約受注獲得の勢いを維持するものと思われます。また、受注が売上に計上されるまでの回転期間の短縮も予想されます。したがって、中国のインフラ関連セクターの見通しは良好と考えます。もっとも、インフラ投資は、立案期間が長期に渡ることに加え、年間売上の変動が大きいこと等から、中期的なプロジェクトとして捉えることが必要です。また、銘柄選択においては、計画を成功させた実績のある企業を厳選し負債面に留意することも重要です。

 

インフラ関連投資の継続 :中国では、高水準のインフラ投資が中期的に継続すると見られます。「第13次5ヵ年計画(2016-2020年)」には、交通・輸送セクター関連投資に15兆元(2.2兆ドル)を投じ、その大半を道路や鉄道の開発・整備に充てると述べられています。また、主要プロジェクトの一つとして注目される「雄安新区」建設計画も、高水準のインフラ投資の継続を示唆しています。

 

官民連携プロジェクト(PPP)の拡大 : 中国政府は2013年以降、PPPプロジェクトが受注だけで終わることなく確実な実施にむけて注力する姿勢を示すなど、PPPを積極的に推進しています。PPPに対する政府の姿勢の転換は、インフラ関連企業が新規受注を増やす後押しとなり、受注から売上計上までの期間の短縮(回転率の改善)につながるものと予想されます。

 

「一帯一路」構想 : 一帯一路構想は、アジアと中東・欧州間の貿易および投資の拡大を目指す重要プロジェクトです。一帯一路構想は潤沢な資金が約束されており、地政学面での中国の領域の拡大と、余剰生産能力の輸出を意図するものと考えられます。

 

魅力的なバリュエーション : 中国のインフラ関連企業のバリュエーション(投資価値評価)は、妥当な水準にあります。建設セクター構成銘柄(H株)の予想株価収益率(PER)は足元で8.0倍と、過去10年平均に比べて魅力的な水準であり、2009年に付けた直近の最高水準を大きく下回っています。一部の銘柄の負債比率が高いことに留意は必要ですが、今後、高水準の利益成長率が負債比率の改善を促すものと予想されます。

 

インフラ関連投資の継続

中国景気の減速や過剰投資に関する否定的な報道が 散見されますが、中国経済は高成長を維持しており、 高水準のインフラ投資を中期的に持続させる環境を整 えているというのが現状だと考えます。

「第13次5ヵ年計画(2016-2020年)」に盛り込まれた 財政支出計画のみならず、「雄安新区」建設プロジェク トや「一帯一路」関連プロジェクト、官民連携プロジェクト (PPP)の増加トレンドを追い風に、インフラ関連投資の 一段の拡大が見込まれます。このような状況を勘案し、 インフラ関連セクターには強気の姿勢で臨みます。

中国の総固定資本形成は、2016年半ばに底を打った 後、堅調なインフラ関連投資を一因に増加に転じてい ます。インフラセクターの2017年1-4月の売上高の伸 びを主要製品別に見ると、クレーンが前年同期比+96%、 大型トラックが同+80%、掘削機が+99%といずれも好調 です(図表1参照)。中国のインフラ関連企業 の先行きは明るく、新規受注および売上の持続的な伸 びが見込まれます。

中国は、投資に過度に依存する経済から、投資と消費 の均衡の取れた経済への構造転換に取り組みつつあり ますが、改革の実現には時間を要します。一方、2017、 2018両年度のGDP(国内総生産)成長率は高水準を 維持するものと見込まれ、総固定資本形成も、緩やか に減速しつつ、中期的には高水準を維持すると思われ ます。中国政府は経済の急速な減速を不本意と考え ていると見られることから、そのような状況には公共投 資等の反循環的な財政支出で対応する可能性も考え られます。

第13次5ヵ年計画(2016-2020年)

高水準のインフラ投資支出が中期的に継続するであろ うことは、交通・輸送セクター関連投資に15兆元(2.2兆 ドル)を計上した「第13次5ヵ年計画(2016-2020年)」 からも明らかです。

第13次5ヵ年計画には鉄道投資だけで4.2兆元が計上 され、第12次5ヵ年計画の3.55兆元を18.3%上回りま す。また、増額の可能性も考えられます。第10次、第 11次、第12次5ヵ年計画に盛り込まれた鉄道関連投資 の当初の目標額が、それぞれ、66%、84%、26%と、い ずれも増額されているからです。

第13次5ヵ年計画では、鉄道網を3万キロメートル延伸 し、15.1万キロメートルとする計画を立てており、2020 年末には、人口100万人以上の都市の80%以上が高 速鉄道で結ばれることとなります。中国鉄路総公司は 2017年中に、新規建設(2,100キロメートル)、複線化 (2,500キロメートル)、電化(4,000キロメートル)等、35の鉄道建設プロジェクトの着工を計画しています。

地下鉄建設投資も期待されます。第13次5ヵ年計画に 盛り込まれた地方政府の地下鉄建設計画は総計 8,765キロメートルに及び、第12次5ヵ年計画終了時の 4,052キロメートルの2倍を上回ります。この結果、2020 年末には、地下鉄網を有する都市の数が現在の21か ら40に増加することとなります。鉄道建設と同様、地下 鉄建設投資の増額の可能性も考えられます。

第13次5ヵ年計画の終了以降も、高水準のインフラ投 資が継続されると思われます。経済協力開発機構 (OECD)の「国際交通フォーラム」が行った研究には、 中国の鉄道/道路輸送稼働率が人口密度の高い国の 中でもとくに高く、先進国・新興国を併せた世界ランキン グで、鉄道が1位、道路が2位と報告されています。この ことからも、中国のインフラ投資の中期的な先行きが良 好であることが示唆されます。

雄安新区

中国のインフラ関連企業は、交通・輸送関連プロジェク ト以外からも恩恵を受けることが期待されます。中国政 府は、2017年4月1日、北京の南西100キロメートルに 位置する地域に、環境に優しいスマートシティ、「雄安 新区」を建設することを発表しました(図表2参照)。「雄 安新区」は、香港に隣接する深セン経済特区ならびに 上海市浦東新区に匹敵する一大経済圏に発展する可 能性を秘めています。2022年に北京で開催される冬 季オリンピックを控え、雄県と、北京ならびに河北省の 張家口市、石家荘市と結ぶ道路の建設が既に始まっ ています。

 

官民連携プロジェクト(PPP)の拡大

官民連携プロジェクト(PPP)の拡大トレンドもインフラ投 資の追い風になることが予想されます。

中国の最初のPPPは1980年代に遡りますが、政府が PPPを真剣に促進し始めたのは2013年に入ってからの ことです。2014年には複数のPPP関連規制の改定が行 われましたが、とりわけ注目されたのは、保険会社や資 産運用会社等の金融機関や年金基金のPPP参加に係 るものです。2015、2016両年に政府が発表したPPPは 11,260件、総額13.5兆元にのぼります。2016年12月 には、最大級の案件の一つである杭州市と台州市間の 旅客線(全長269キロメートル)の建設工事が始まりまし た。これは、民間出資51%、総額449億元、期間30年 のBOT(建設・移転・運営)方式のプロジェクトです。

加えて、政府が、入札さえ行えばよいとの姿勢から、監 査チームや作業チームを立ち上げる等、プロジェクトの 確実な実施に注力する姿勢に転じていることから、PPP の実施状況は改善されつつあります。足元、実施段階 にあるPPPは1,351件(総額2.2兆元)と、2016年の298 件(総額0.4兆元)から大幅に増加しています。また、資 金調達段階にあるPPPも986件(総額1.5兆元)にのぼり ます。

高まる、民間セクターの投資意欲

PPPに対する民間セクターの投資意欲も高まっていま す。保険会社によるインフラ投資は2016年半ばまでに 8,940億元に達しており、そのうちの3,990億元が交通・ 輸送プロジェクトに投じられています。PPPは、相対的に 安定した長期リターンを提供する傾向が強いことから、 保険会社の長期の資産・負債管理に魅力的な投資対 象となっています。また、従来型資産クラスの長期の想 定リターンが低位に留まっているため、資産運用会社に とっては、従来型資産クラスの代替資産としてPPPの魅 力が高まっているようです。

中国政府が PPPへの参入および資金回収を容易にし たことも、資金調達を促す一因となっています。2017 年1-3月期には、中国財政部政府社会資本合作セン ターと天津市金融資産取引所が、国内初の資産取引 プラットフォームを設立しました。加えて、国家発展改 革委員会と中国証券監督管理委員会は、PPPを担保 とする複数の資産担保証券(ABS)の設定を認可しまし た。これにより証券化された最大のプロジェクトは道路ト ンネル建設プロジェクト(11.58億元)です。

PPPの増加に伴い、インフラ関連企業の新規契約受注 も増加すると予想されます。企業がPPPの売上を計上 するのは、プロジェクト完了期間を経た2~5年後です。 つまり、PPPの受注が増えれば、受注から売上が計上さ れるまでの期間の短縮が期待できるということです。

「一帯一路」構想

「一帯一路」とは、「シルクロード経済ベルト」・「21世紀 海上シルクロード」の略称です。アジアと中東・欧州間の 貿易および投資の拡大を目標に、地上・海上の開発と 交通インフラを建設するもので、2013年9月に習近平 国家主席が提唱しました。

一帯一路関連のプロジェクトですでに開通した鉄道の一 つが、上海-昆明高速鉄道です。2016年12月28日に 一番列車が発車した上海-昆明高速鉄道は、延伸が 計画されています。完成すれば、隣国のラオス、タイ、 マレーシアを経由して、中国とシンガポールを結ぶことと なります。ラオス-中国間の投資総額は400億元で、う ち70%を中国政府が出資、建設資材と技術は中国企 業が提供します。タイ国内の建設は間もなく開始される こととなっており、マレーシアとシンガポールは、2017年 10-12月期までに共同入札を行い2018年1-3月期中 には建設に着手すると伝えられています。

一帯一路構想は、地政学面での中国の領域の拡大と 余剰生産能力の輸出を意図するものと考えられます。 中国が、2017年5月14-15の両日、北京で開催した一 帯一路国際協力サミット・フォーラムには、29ヵ国の首 脳ならびに政府要人の他、100ヵ国以上の代表、世界 銀行等の国際機関が参加しており、2013年9月以降、 64ヵ国が一帯一路協力契約に調印したこと、また、調 印国の人口が総計32億人に達したことが報告されてい ます。中国はこの他、一帯一路沿線諸国との間で、自 由貿易協定31件を締結している他、経済協力圏56件 ならびに経済回廊6件を設置しています。

一帯一路構想に寄せる沿線諸国の強い関心は、当該 各国のインフラ需要を反映しています。アジア開発銀行 (ADB)は、2016年から2030年にかけて、アジア域内だ けで累計23兆ドル相当の投資が必要となり、その82% がエネルギーならびに交通・輸送関連投資になるだろう と試算しています。中国の一帯一路構想は、中国の資 金とインフラ投資のノウハウを武器に、こうしたニーズを 最大限に活用するものです。

 

潤沢な投資資金

一帯一路構想は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)なら びにシルクロード基金からの融資と投資に支えられてい ます。2015年、中国が設立したAIIBは、現在77の加盟 国を擁しており、中国が議決権付き株式の32.4%を保 有しています。一方、シルクロード基金は2014年に設 立された国営投資ファンドです。一帯一路関連のプロ ジェクトは、2016年中に、AIIBから17億ドルの融資を、 シルクロード基金から35億ドルの出資を受けていますが、 両者は、一帯一路向け融資ならびに投資を、2020年 までに現在の10倍の規模に拡大することを計画してい ます。中国は、前述した一帯一路国際協力サミット・フォーラムで、新規の資金調達(総額8,800億元)計画 を発表し、1,000億元をシルクロード基金の資本注入に 充てること、また、残りは、主要政策銀行ならびに国営 商業銀行による融資となることを発表しています。

もっとも、一帯一路構想の下で実施されるプロジェクトが AIIBとシルクロード基金だけに依存しているわけではあり ません。前述のフォーラムでは、1,892件のプロジェクト に対する投資累計額が189億ドルに達していること、ま た、18万人前後の雇用が新規に創出され、うち、4分の 1が中国人の雇用だったことが発表されています。

一帯一路構想は長期プロジェクトではあるものの、既に 成果が出始めています。鉄道関連プロジェクトを例に取 ると、2017年1-4月期の中国・欧州間ならびに中国・ア ジア間の鉄道貨物輸送は、それぞれ、前年同期比 +163%ならびに同+64%の伸びを示しています。中国・ 欧州間の鉄道貨物輸送は海上貨物輸送と比べて、所 要日数が半分で済むことに加え、コストを30-40%程度 抑えることが可能です。

一帯一路の成果は、国営/民間企業双方に及び始め ています。中国の2016年の海外からの新規契約受注 総額は2,440億ドルと、2013年の1,720億ドルを上回り、 うち、52%が一帯一路の案件です。インフラ投資は、タイ、 インドネシア、フィリピン等、中国以外のアジア各国でも 拡大基調にあり、マレーシアはとりわけ有望です。

 

リスクの軽減

一帯一路構想に大きな政治リスクが伴うことは明らかで す。政情が相対的に不安的な地域が含まれるからです。

とはいえ、経済回廊、経済圏、自由貿易圏の設立等を 通じた中国政府の支援を受けて、中国企業は、海外進 出に伴って生じるリスクを軽減することが出来るはずで す。沿線諸国の一部が、5-7年程前までは、中国から の投資に懸念を示していたことは事実ですが、恐らく、こ こ数年の新興国経済の減速や投資獲得競争の激化を 背景に、懸念は払拭されつつあります。

魅力的なバリュエーション

インフラ投資ニーズの大半は中国国内に限られている わけですが、そうした中、インフラ関連企業に海外で事 業を展開する機会を提供しているのが一帯一路です。

インフラ関連企業のバリュエーションは妥当な水準にあ ります。(海外投資家にとってアクセスの容易な)香港 市場上場(H株)の資本財セクターの予想株価収益率 (PER)は足元で11.4倍と、過去10年平均を僅かながら 下回っており、過去10年の最高水準を大きく下回りま す。また、セクターの内訳を見ると、建設サブセクターの 足元の予想PERも8.0倍と、過去10年平均に比べて魅 力的な水準にあり、2009年に付けた直近の最高水準 を大きく下回っています。

 

負債比率を巡る懸念

投資家の懸念材料の一つは、一部の中国企業の負債 比率が高いことですが、このような状況はインフラ関連 セクターの一部の銘柄にも当てはまります。従って、銘 柄の厳選は必須です。もっとも、高水準の利益成長率 が維持されれば、売上げや純利益の伸びにつながり、 それが負債の削減を促すこととなるため、高水準の純 負債資本比率をさほど懸念する必要がなくなる可能性 もあります。利益成長率が低水準で、なおかつ急激に 悪化している場合には、高い負債比率が重大な懸念材 料となりえますが、中国の現状はこのような状況にはあ りません。少なくとも、2017年、2018年の実質GDP成 長率は高い水準を維持することが見込まれるからです。

インフラ投資は、中期投資として捉えることが重要です。 立案期間が長期に渡るため、売上が計上されるまでに 12-18ヵ月を要することもあり、多くの投資家にとって、 相対的に長期の投資期間が必要となるからです。また、 インフラ・プロジェクトには遅れがつきもので、土地の取 得や整備等の支障が起こることも考えられるうえに、売 上げが計上できる局面に達しても、金額が当初予定か ら大きく変動する状況もありえます。従って、インフラ・プ ロジェクトを手掛けた実績があり、プロジェクトに伴う各種 の課題に総合的かつ一貫した対策を持って対処するこ とができる企業を厳選することが重要と考えます。

 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。

 

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