足元のブラジル株式市場について | ピクテ投信投資顧問株式会社

足元のブラジル株式市場について 新興国

2018/06/11新興国

ポイント

様々な「リスク」が台頭する足元の新興国株式市場において、ブラジルの株式・通貨の下落率が大きくなっています。経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)がぜい弱とみられることに加えて、政治的な混乱が不安要素となっているとみられます。また、2016年以降の新興国株式の上昇局面において、ブラジル株式は市場平均を上回る上昇を示してきたことも、足元の下落幅が大きくなっている要因の1つと考えられます。

市場が「リスク」により敏感となる中、 ブラジル株式・通貨も下落

足元の新興国株式市場では、様々な「リスク」が台頭しています。
米国の保護主義的な通商政策をめぐる懸念に加えて、米国の長期金利・米ドルの上昇により債務負担増や輸入インフレ率上昇などが懸念されています。さらに、5月後半にはイタリア政局などの地政学リスクもあり、投資家はこうしたリスクに対してより敏感となってきていると考えられます。

こうした中、特に経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)がぜい弱とみられる国の株式や通貨の下落率が大きくなっています。ブラジルについても経常赤字国であることや、債務の拡大などが懸念されていることに加えて、政治的な混乱などを受けて、株式・通貨レアルともに下落率が大きくなっています。

5月後半より、ディーゼル油高騰に抗議したトラック運転手のストライキにより、経済に対するマイナスの影響が懸念されました。このストのきっかけは、2017年7月にブラジル石油公社(以下、ペトロブラス)が国際原油相場にあわせて燃料価格を変動させるしくみを導入したことがきっかけで、先ごろの原油価格高騰の怒りの矛先はペトロブラスと政府に向かいました。

こうした混乱の責任をとる形でペトロブラスのパレンチCEOは6月1日に辞任を表明しています。同国の主要銘柄でもあるペトロブラスの株価は5月半ばの高値から6月1日までで4割近く下落したことなどが響き、ブラジル株式市場全体の下落の要因となりました。

さらに、ストの最中に行われた世論調査では国民の9割程度がストを支持したことや、ストの解決にブラジル政府が補助して燃料費を下げる処置を取ったことなどから、ブラジルにおける構造改革の困難さが浮き彫りとなったことなども、市場の失望を誘ったと考えられます。

直近の新興国の上昇局面で 上昇率が大きかったブラジル株式

2016年以降の新興国株式市場の上昇局面において、ブラジル株式市場は、資源価格の回復や経済の底打ち期待などを背景に、新興国市場平均(図表3の新興国株式)を上回る上昇率を示し、2015年12月末~2018年5月末までで+87%の上昇(米ドルベース、配当込みベース)となりました(図表3参照)。
こうした直近の大幅上昇なども、足元の下落率が大きくなった1つの要因ともみられます。

バリュエーション(投資価値評価)をみると、予想株価収益率(PER)では14倍程度まで上昇する局面がありました。 2018年5月の下落を受けて、予想PERは過去10年間 (2008年5月末~2018年5月末)水準程度に低下しています(図表4参照)。

当面は政治動向に 注視が必要

ブラジルの経常赤字の規模は、足元で対GDP比0.5%程度の規模であり、ここ最近の原油価格の上昇などもあり、赤字幅は縮小していく可能性があるとみられます。

また、インフレ率は足元で3%程度であり、インフレ目標の 4.5%を下回る水準にあります。この点で、ブラジルは、トルコやアルゼンチンなど通貨防衛のため利上げを余儀なくされている国々と異なります。インフレ目標に対して、足元のインフレ水準は余裕がある水準であり、現時点で利上げを行う必要性はないとみられます。

経済のファンダメンタルズは改善傾向にありますが、債務の面では少し懸念が残ります。しかし、よくある新興国市場の下落の引き金となるような対外的なぜい弱性や高インフレといった問題については、現時点ではコントロールされている状態にあると考えられます。

問題は政治的な混乱が依然として続いていることです。
10月には大統領選挙が予定されています。世論調査では依然として前大統領で現在服役中のルラ氏が首位となっています。現時点では中道政党の候補者が勝利する可能性が高いとみられますが、依然として選挙結果を見通すことは困難です。

課題となっている経済改革が選挙後にも推進されていくとすれば、経済成長につながると期待されます。反対に、経済改革が進まなければ、経済にとってもマイナスとなりかねません。選挙動向には今後も注視していく必要があると考えられます。

 

 

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