新興国通貨はどこに向かっているのか | ピクテ投信投資顧問株式会社

新興国通貨はどこに向かっているのか

2018/07/25新興国

ポイント

2018年4月半ば以降の新興国通貨の急落は、2013年の量的緩和縮小時を上回っています。

現状、ピクテは新興国通貨は売られ過ぎと見ています。現在と2013年当時の状況を比較して、新興国通貨の現状を検証します。

 

新興国通貨の急落は2013年の米国の量的緩和縮小時とは状況が異なる

ピクテの見方では、今年4月半ば以降の新興国通貨の状況は、米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和縮小が国際収支の危機につながる懸念から発生した2013年当時の急落とは状況が異なると見ています。むしろ、4つのグローバルかつ特異な要因が、経常収支赤字国と黒字国両方に影響していると考えます。新興国通貨の下落は、以下の要因で説明できるでしょうか。

①世界的な金利上昇と強い米ドル(主として経常赤字国に影響)
②貿易摩擦(主として経常黒字国に影響)
③人民元の下落(経常黒字国と資源国に影響)
④ポピュリズムの台頭(全ての新興国に影響)

 

ポイント1: 世界的な新興国通貨の下落

新興国の通貨は、全体として年初来10%下落していて、2013年当時の4%と比較すると下落率が大きくなっています。

米国の量的緩和縮小の2013年当時との違いは、通貨の下落が全世界に及んでいること、ならびに経常赤字国、黒字国双方を巻き込んでいることです。経常黒字国も通貨の下落から逃れられませんでしたが、これは他の国の状況が伝染したものではありません。原因は貿易摩擦と、中国ならびに弱い人民元との経済的なつながりによるものでした。(図表1参照)

 

データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

 

ポイント2: 5年前と比較して経常収支が全体的な影響を及ぼす

2013年と異なり、新興国通貨の状況は国によって大きく異なります。一部の新興国通貨は、日本円のような先進10カ国(G10)の中でも強い通貨をアウトパフォームしています。一方、最大の下落をしているのはアルゼンチンを始めとする経常赤字の4カ国です(図表2参照)。

 しかしながら、対外債務が必要になることの裏腹に経常赤字となっている新興国の通貨は下落しています。ところが、全ての経常赤字国の通貨が、現在大きく下落しているわけではありません。主たる要因は、国際収支が危機に瀕しているアルゼンチンとトルコの2カ国です。一般的に経常赤字国は、対外債務を急速に減らし、世界的な高金利に備えているためこの2カ国は例外です。

 

データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

 

ポイント3: 中国からの悪影響はなし

貿易摩擦との関連を誰もが認めるように、中国政府が貿易加重平均の通貨バスケットに対する4%の切り上げを容認した後に、やや人民元安の動きとなりました(図表3参照)。これは、例えば米国のような中国の貿易相手国にとって、人民元高・米ドル安によって中国からの輸入が抑えられる結果が期待されます。

今後を楽観できる一つの要因は、中国のファンダメンタルズの改善によって、年初来の資本逃避は非常に限られているということです。2017年1月以降、中国政府の資本流出入の管理がより厳しくなっています。特に海外からの直接投資の入出金については厳しく管理されていることから、資本逃避のリスクは低下しています。

 

データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。

 

結論

多くの新興国は、近年経常収支の赤字を減らして、対外的なショックからの耐久力を強めています。一方、中国の成長力は鈍化していますが、2013年と比較して経済のファンダメンタルズは改善しています。

貿易摩擦による緊張は継続し、ポピュリスト政権、つまり国民寄りの政策を優先するブラジルのカントリー・リスクも存在します。しかしながら、ピクテの見方として新興国通貨の下落は行き過ぎていると考えます。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

 

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

ページの先頭へ戻る